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ドリップコーヒーのお湯の注ぎ方?

滋賀県湖南市のコーヒーロースター、DONGREE店主のドリーです。

普段、僕はお店でドリップコーヒーのワークショップを開催していますが、「美味しいコーヒーの淹れ方は、注ぎ方ではありません」という伝え方をしてます。

お湯を注ぐ前に、コーヒーの味ってほとんど決まっているからです。

どうしても、ハンドドリップコーヒーって見た目から入るし、僕も丁寧にドリップをしているプロのコーヒーマンに憧れは持っていました。今も他所のコーヒー屋さんが自分とは違う淹れ方で、違う器具で、丁寧にドリップをしている姿を見ると、かっこいいなー、と思います。
それもまたドリップコーヒーの楽しみの一つでもあるでしょう。

ただ、コーヒーの味にフォーカスした場合、特にスペシャルティコーヒーが当たり前のように飲めるようになった今では、「注ぎ方」だけでは、それぞれの個性を引き出した美味しいコーヒーを淹れることはとても難しいのです。

コーヒーの味作り、とくにハンドドリップの場合に必要なのは以下の5つを計ること!
どれか一つからでもいいので、実践すると、味がどんどん変わります。

『ドリップコーヒー、味作りの5大要素』

1・豆の量 (飲みたいコーヒーの量!)
2・豆の粒度 (どれだけ味の種類を引き出す?つまりコク)
3・湯温 (どれだけ味の量を溶かし出す?つまり刺激!)
4・時間 (お湯にどんな味を含ませる?明るい酸味〜フラットお味〜苦味まで)
5・湯量 (濃さ。カルピスは何倍希釈がお好き?)

まずもって、これらを計ることをしなければ、コーヒーってベストを目指せないんですね。
注ぎ方では絶対無理。

なので、僕はワークショップでは注ぎ方は雑談程度にとどめ「計って飲み比べる」ことを大事にしています。そこにワークショップの1時間をあてています。

『とはいえドリップコーヒーには、もちろん注ぎ方も大事です』

基本の味は上記の5大計る要素で決まるとはいえ、注ぎ方でもハンドドリップのコーヒーの味は変わります。
いわゆる「淹れる人によって味が変わる」の要素も、実際はあります。

ハンドドリップの『注ぎ方だけ』を伝えるのであれば、まずは大きく2種類です。前提としてドリッパーの形状はハリオ V60などの『円錐形』で説明しています。

サークルプア (ドリッパーの中を回転させながら注ぐ)

センタープア (ドリッパーの中心のみを注ぐ)

です。

サークルプア

『サークルプア』の特徴は、その名の通りお湯を回転させ、コーヒーの粉全体から高い抽出効率でドリップする方法。よく言えば味がたくさん含まれるし、過抽出で雑味まで含まれてしまうリスクもあります。
最近も言われるのかわかりませんが、僕が若い頃によく言われていたのが「"の"の字を描く」ような注ぎ方が、まさにこちらのサークルプアです。
コツとしては、ドリッパーの中心部(円錐の一番深い部分)が一番コーヒーの粉が詰まっているので、中心に注ぐお湯の量を多めに意識すると、より抽出効率は高まります。

センタープア

対して『センタープア』の特徴は、真ん中だけを注ぎ続けるドリップ方法。円錐形の一番深い部分目掛けて一直線にお湯を注ぐことで、よりクリアで明るい味わいを作れます。リスクとしては、コーヒーの粉全体から十分味が含まれずにドリップ が終わってしまう未抽出状態。

前半サークルプア→後半センタープア

それぞれに一長一短ある注ぎ方ですが、DONGREEでは、どちらも使ってハンドドリップコーヒーをお作りします。
実際、僕だけが抽出するのであれば、コーヒーの焙煎度合いや品種、焙煎日からのコンディション変化によって、様々に細かく変えたりはします。
ただ、数名のスタッフとのレシピ共有も図りやすいのと、一番安定した抽出だと思うので、採用している方法です。

具体的には

お湯30gを全体に注ぎ、30秒蒸らし

サークルプアでお湯50g注ぐ

センタープアで60gを2回注ぐ

200gのお湯を注ぎ、落としきったら完成

蒸らしをして、一番味が含まれやすい最初の1投目を丁寧にサークルプアにすることで、フレッシュで美味しい味を効率良くお湯に移します。2投目からのメインの味が出終わったあとの後半は、センタープアに切り替えて余計な味(ネガティブな苦味・雑味など)が含まれない工夫をしているわけです。

他にも点滴やらシャワー状のドリップ器具もあり、ほんとに様々ではありますが、まずは抽出効率の観点で、注ぎ方を変えてみると分かりやすいと思います。
良かったらご参考ください〜。
あと、やはりコーヒーの味の基本は『計る』なのでお忘れなく!
注ぎ方だけにこだわると、抜けられない沼です笑 (店主2年間経験談)

そんな沼にはまらずとも、1時間で理論と体感で誰でもわかるワークショップやってます。計るハンドドリップをしたことない人、計ってるけど今いち意味が分からない、という人。ぜひご参加お待ちしてます。

【DONGREEのコーヒーワークショップのページ】

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