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レジの店員さんに感謝すると毎日が楽しくなる話

皆さんはお店で買い物をするとき、
レジの店員さんにお礼を言っていますか?

私は必ず、「お世話様でした」と言うようにしています。
自分のためにレジを打ってくれてありがとう。
あなたの貴重な時間を、自分のために使ってくれてありがとう。
そんな気持ちを込めて、感謝を言葉にしています。

この「お世話様です」という言葉は、
私の人生を変えたとあるご婦人にもらった言葉です。
人に感謝して生きるのって素敵だな~ってお話です。

※参考(もっと分かりやすいマーヴェラスな漫画)

私がレジの店員さんに感謝したくなる理由

生まれて初めてのバイトの思い出

私は大学生のとき、
池袋にあった某大手バラエティショップでバイトをしていました。
緑の背景に白い手のマークと言えば、誰でも分かるお店です。
今は無くなってしまったので、ちょっと寂しい気持ちもあります。

大学に入学してすぐに面接を受けた、初めてのバイト先です。
色々なことを教わりましたし、楽しい思い出がたくさんあります。
働いてお金を稼ぐのは初めての経験だったので、
毎日が楽しくて刺激的だったのを良く覚えています。

それなりに大きなお店ですし、人通りも多い場所なので、
1日シフトに入っていると色々なお客様がお見えになります。
私はバラエティフロアの配属だったので、
お客様の買い物を見ているだけでも楽しいものがありました。

近隣の学校の学生さんがボードゲームやカードを買っていったり、
中年の男性が一番くじを箱買いしていったり、
若いお姉さんが試験管のゴム栓を大量にまとめ買いしたりしていました。

あんまり行きたくない苦手なフロア

慣れるまではバラエティフロア専属だったのですが、
3か月ほどすると、他フロアに応援に行く日もありました。

とにかく色んなフロアに行くのですが、特に憂鬱だったのは、
文具のフロアと工具のフロアでした。

文具のフロアでは、紙のバラ売りがありました。
文具店にあるような質の良い紙をバラで買えるのですが、
これを折れないように丸めたり、厚紙で挟んだりするのが大変でした。
とにかくお客様が多いフロアで、レジに列が出来ることもしばしばです。
その状況の中で紙を包むのは、プレッシャーのかかる大変な仕事でした。

工具のフロアは、近くの工事現場に来ている職人さんや、
恐らくこれから出勤であろう方が多くいらっしゃいました。
土日になると、いかにもお父さんといった方も多かったです。
きっとDIYの趣味をお持ちなのでしょう。

私がこの2つのフロアが苦手だったのは理由があります。
どちらのフロアも共通して、態度の悪いお客様が多いのです。

だいたいこんな顔してるお客さんね

完全に私見ですので、お叱りは甘んじて受けますが、
実際私はそう感じていたのだから仕方がありません。

態度の悪さにはちょっとした違いがあって、
文具:中高生が多く、特にヤンキー風の子供がこちらを見下してくる
工具:気が短い職人さんが多く、声を荒げる人もそこそこいる
と言った具合です。

色々なお客様に鍛えて頂きましたが、
仕事の中で思ったことがあります。

レジを打つのは当たり前?

それは、「自分がレジを打つのは当たり前なのか?」という疑問でした。
言い換えれば、お客様は神様か?という疑問にも通ずるものがあります。

「私は会社からお給料を頂き、
そのお給料はお客様からの売上から出ている。
だから自分がレジを打つのは当たり前のことである。」

理屈で考えればそうなのですが、
何か引っかかると言うか、腑に落ちないものがあったのです。

お客様の中には、理不尽な要求を突き付けてきたり、
こちらが抵抗できないのを良いことに高圧的な態度を取ったり、
一言で言うと、「良くないお客様」がいらっしゃいました。

運悪く自分のレジにそのような方が来たら、
平謝りしたり上司を呼んでやり過ごすしか無いのですが、
「なぜ自分がこの人たちのお会計をしないといけないんだ?」
という疑問がついて回りました。

レジを打たない自由

半年くらいバイトを続けて、この疑問に一応の答えが出ました。
それは、「レジを打ってやるかどうかはこのオレ様の気分しだい」
ということです。

はい、いきなり偉そうになりました。
ちょっと前までバイトなんて初めてのウブなボーイも、
半年もすればこんなもんです。時の流れは残酷ですね。

別にふざけている訳ではありません。
そうではなく、「レジを打つかどうかは自分の自由」だと思ったのです。

確かに私は会社に雇われて、お給料をもらって仕事をしています。
しかしそれはただの契約でしかなくて、
自分の「心」は誰も操ることが出来ないのです。

なので、「あ、もうレジとか打ってらんねーわ、帰ろ。」
と思うことを、誰も止めることは出来ません。
(もちろん実際にそうするかは別の話です。)

確かに自分は今、会社との契約でレジを打っている。
しかしその契約を続けるかどうかは完全に自分しだいなのです。
人に迷惑がかかるとか、その辺の話は一旦おいて、
内心の自由を誰も侵害出来ないのはまぎれも無い事実です。

私がレジを打つのは当たり前のことでは無かったのです。
会社との契約があり、そして何より私に、
「レジを打とう」という意思があるから成り立っていることだったのです。

人生を変えたご婦人の言葉

そんなこんなで、某バラエティショップでは一年くらい働きました。
そのあとは、レジを打たない自由を行使させてもらいました。
今思えば、「辞めても良い」という感覚を知る勉強でもありました。

気の合う同期と飲みに行ったり、
化粧品フロアの女の子に淡い恋心を抱いたり、
その恋が玉砕したり…。
楽しい思い出がいっぱいで、今も懐かしく思い出します。

とは言え、楽しいばかりでもありませんでした。
初めてのバイトです。うまくいかないことも、辛いこともありました。

季節は冬。朝から冷たい雨が降り続いて、
どんよりした日のことだったと思います。
仕事で大きなミスをしました。
レジのお金が大幅に合わないのです。
恐らくは、千円札を1万円として打ってしまい、
どう考えても多すぎるお釣りを出してしまったようでした。

怒られました。そりゃ怒られます。
小売店がその違算分を取り戻すには、大変な売り上げが必要です。
申し訳なさと自分への腹立たしさで、いたたまれませんでした。
だいたいお客様も、何も言わずに受け取っていくなんてあんまりだ…。

それでも仕事は仕事なので、
二度と同じミスが無いように気を張りながら、
レジには立ち続けました。

そんな時、バラエティフロアには似つかわしくないほど品の良い、
素敵なご婦人がいらっしゃいました。
かなりのご高齢でしたが背筋はしゃんと伸びていて、
足取りも軽く商品を見て回っていました。

何をお買い上げだったかは忘れたのですが、
確かふ〇っしーのグッズをお求めだった気がします。
お孫さんへのプレゼントかな、包装はいらないのかな、
と思いながらもお会計を済ませ、
いつも通りにありがとうございましたと述べ、お辞儀をしました。

その私に向かってご婦人が、
「こちらこそ、お世話様でした」とおっしゃったのです。

お金だけでは無い、労働の価値

衝撃でした。
それまでも、「ありがとう」と言ってくれるお客様はいました。
「お世話様でした」とは、何て素敵な日本語だろうか!!

レジを打つかは、基本的には私が決めることです。
そして私は、給料という対価を得るために、
レジを打つという選択をしているに過ぎません。

お客様はその選択に対し、金銭によって対価を支払います。
しかし、金銭だけで全ての対価が支払えるのだろうか?と思うのです。

私はその時間を使って、ゲームをすることも勉強することも、
旅行に出かけることも出来ます。
それらの選択を手放して、「レジを打つ」ということを選んだのです。

もちろん金銭の対価として、私はその時間を提供します。
しかし、あえてレジを打つという選択をしたことは、
金銭の他にも、社会的に大きな利益を生み出しているはずです。

  • 社員さんには、自分の仕事に専念できるように時間を提供

  • お客様には、少しでもレジが早く進むようにマンパワーを提供

  • 会社には、利益を残せるように労働力を提供

このように、単純に金銭で測れる以外にも、
多くの利益を生み出しているのです。

だからこそ、お金を払えば偉い、もらう方が弱いというのは、
ちょっと違うと思うのです。
だって、私たちがレジを打たなかったならば、
お客様は買い物をすることが出来ないの
ですから。
持ちつ持たれつのはずです。

まとめ
「なぜ店員さんに感謝した方が良いのか?」

「レジを打たない自由」の話に戻りましょう。
私は本来、あなたのためにレジを打つ必要はありません。
嫌になったら、今にも仕事を放り出して、家に帰っても問題ありません。
会社には怒られますが、それだけのことです。

でも、私はそうしません。
なぜか?
私がレジを打たないと、あなたが困るからです。

それは思いやりの心です。
私が帰っても、他の誰かがレジを打ってくれるかも知れません。
でも、あなたの心には嫌な気持ちが残るはずです。
そうはさせないぞ、という、思いやりの気持ちなのです。

あなたが今日、何気なく買ったコンビニのコーヒー、
スーパーのお刺身、本屋さんの雑誌。
それらがあなたの手に届くまでに、
お金ではない利益がたくさん生まれています。

その最後を担うのが、レジの店員さんです。
物流の最後の出口、お金では無い利益の総まとめの役割なのです。

ピンとこなければ、
ニコニコ笑顔の店員さんと、
仏頂面の不愛想な店員さんの、
どちらにレジを打ってほしいか考えてみてください。
それが、お金ではない利益です。

あなたはその店員さんから、
嬉しい気持ちや元気のおすそ分けといった、素敵な利益をもらいます。
しかも本来であれば、店員さんはそこにいなくても良いはずなのです。
あなたが買い物をするときに、困らないようにそこにいてくれるのです。

では、あなたは受け取った利益に対して、
何をお返しすれば良いでしょう?

ここまで読んで頂いたら、分かると思います。
「お世話様でした」と、お礼を言ってみましょう。
恥ずかしかったら、会釈だけでも大丈夫です。

店員さん、喜ぶと思います。
私も嬉しかったです。
そうすると店員さんは、機嫌がよくなります。
次のお客様にも気持ちよく接することが出来ます。

お店を出るあなたの足取りも軽やかです。
感謝の言葉で、世界がハッピーになりますね。

どうせなら、人に感謝して、自分も感謝されて、
お金では無いけど素敵な利益を生み出していこうじゃありませんか。
そんな利益がもっと世界に増えれば、今より豊かな社会になるはずです。
そう思って、この記事を書き増した。

長い文章でしたが、読んでくれてありがとうございました。
…いや、「お世話様でした」!!

#わたしの習慣

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