夏枯れの森@いつもの森
とくに目指すものがない。
あえていうなら幻のオオムラサキ探索なのだが、もう無理やり理由をつけているような気がしている。
正直にいえば、ここで森にいかなかったから見逃してしまう「何か」があってはいけない、という強迫観念のような気がしてきた。
実際の森も、春から初夏のいい季節が過ぎやたら暑い。暑くて湿気る。
なんと駐車場から里の家まで、一度もシャッターを切ることなくきてしまった。こんなことは初めてである。
花はなく、蝶は飛ばず、虫もいなけりゃ、キノコもない。
緑が眩しいといえなくはないが、すでに見慣れてしまっている。
里の家まできて初めてシャッターを押したのが赤い花
美しいと思ったのだが、民家から顔をだして咲いている。栽培しているのかもしれない。
シャッターを押すほど感情が高ぶらないから、やたら疲れるのだ。
普段の、心奪われる出会いにシャッターを切る、そのことが心身の疲労を麻痺させていることに今更ながら気づく。
遠方に赤い花、もしくは実?が光の中に浮かぶのが見える。
そこにその赤があることは知っている。だからトキメキはない。
仕方がない。本来の無理やりだけどたてた目標に戻るか。
オオムラサキが出現すると聞いた低山に登る。
クヌギ系の樹木の樹液を匂いをたよりにチェックする。
午前中でかなりの樹液がしたり落ちている。
すでにオオムラサキからクワガタかカブトムシに妄想は飛んでいるのに、それさえいない。クワかカブトかどころか、カナブンさえいないのだ。
妄想はオオムラサキに戻り、山頂にいけば蝶は飛ぶ、という経験則から山頂まで行ったのだが、何も飛ばない景色(遠景は名古屋の街並み)をボンヤリみていただけだった。
結局山頂までいき登山口に戻るまでワンショットも撮らずにきた。
なんだかな、なんだろうなぁ、という思いが足を重くする。
登山口付近にいたバードウォッチングのアベックはどっちにいこうかと相談しているようだったが、「どうせなんもいてへんでぇ」と声に出さずにつぶやいて通り過ぎた。
通り過ぎたとたんに現れたんだけどね。オオムラサキじゃないよ、サンコウチョウがさ。
眼の前の枝に止まった。アベックを振り返ることなくカメラを向ける。
かなり暗くスローシャッターでブレブレなので、ISO感度をあげて撮り続ける。
ちょこまかと動き、もちろんこれは、というショットは撮れないんだけど、30秒ぐらいは楽しませてもらったかな。
それにしても、昨年まで全然会えず、まったく撮れなかったサンコウチョウが毎回会って、毎回撮れるのは不思議だな。逆に去年結構撮れたオオルリが今年は全然遭遇しない。
まあ、オオムラサキも今年じゃないんだよな、、、
きっと20年後に違いないorz
振り向くとさっきのアベックがすぐ後ろで双眼鏡を覗いていた。
よかったね、ちゃんと会えてさ。
そうだ、オオルリといえば昨年の営巣を思い出す。
だから、同じところを見てみたら巣があった。
苔でつくられた巣だけど、すでに苔が芽をだしている。
すでに巣立ったか、捨てられた巣なのかもしれない。
正直、サンコウチョウも三度目ならそれほどトキメクことなく、淡々とサンコウチョウだなぁ、と思う自分がいた。トキメクことが出来ない自分が悲しい、などと思いながら歩いているとトラノオに出会う。
数少ない花なんだけど、やはりトキメかない。
少しアングルを考えてみるか。
なんかちょっといい感じかな。
なんて無理やり笑みを浮かべながら歩いていくと、観察会の人が脇の道からでてきて「オオバノトンボソウは花」などと記録ボードに書き込みながら歩いていく。もちろん耳がダンボである。
別にそのまま脇に入っても咎められることはないはずなのに、なぜか観察会の人がみえなくなるまで行き過ぎるのを確認してから、その脇に入ってみた。耳がダンボは後ろめたいのかしら、おほほ。
少しまえに撮ったのはコバノトンボソウだったはず。
オオバノトンボソウとは違うんだ。
一株しかなかったので、じっくり花をとった。
トンボソウとは、きっとトンボから来ているのだろうが、まるでトンボ感がない。むしろ足のはえかかったオタマジャクシっぽい。
オオバノオタマジャクシソウ、、言いにくいったらないな。やはりトンボでいいや。
本日唯一初出会いで、よかったと思う。
オオバノトンボソウは咲いていたものの、全体的に花はかなり少なく、蝶や虫も少ない。なかなか夏枯れの森だった気がする。
最後の最後に駐車場でトンボなんかを撮ってそうそうに帰宅した。
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