危険なビーナス(東野圭吾)読後所感
『危険なビーナス』東野圭吾/講談社文庫2019年8月9日出版
今回は『危険なビーナス』の読後所感になります。テレビドラマにもなりましたので、有名な物語かと思います。
庶民的な階級とはかけ離れた「八神家」という親族、家が舞台の物語です。裕福で恵まれた一族ではありますが、皆、己のことが第一という陰謀渦巻く不気味な一族として描かれています。
でも、陰謀は庶民からすれば近寄りがたいものと映るのですが、八神家の者たちにとってはそれが日常であるかのようです。
外部の第三者と交わって展開される物語はないのですが、一族にして人間関係が複雑に絡み合うといった展開で描かれています。
物語は、獣医の伯朗にかかってきた弟の嫁と名乗る女性からの電話で動き出します。始まりは、これからこの小説はどう動いていくのだろうと予想できないものになっています。
物語の中は、様々な人間の陰謀、エゴが渦巻く、展開が繰り広げられます。美しいストーリーとは程遠い展開ですが、一族とはこういうことが蠢いているのかもしれないと思わせる展開です。
結末は、さすが東野圭吾、驚く展開です。伯朗の母の事件、弟の明人の事件、すべてが解き明かされます。そして、解き明かされると同時に、もう一つの重要な事実が突き付けられます。
原作の小説の結末は、ドラマとは少し違う部分がありますが、そこはドラマの脚色のととろとなります。
一件、伯朗が中心人物のようなのですが、文庫本の装丁が、ビーナスの絵になっていることから、最後の最後まで謎に描かれている一人の女性が主人公だったのだと感じさせてくれます。
休日にコーヒーを飲みながら、デジタルツールを遠ざけて、浸りたい物語です。コーヒーは個人的に好きなので、定番の読書スタイルになっていることからの一案です。
今回の読書ノートはこんな感じで書いています。
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