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道徳、正義について 〜 モリエール 「人間嫌い」 より

純粋な人や、世間知らずな人ほど
「道徳を重んじたり、正義を尊(たっと)んだり、といったコトが
 当たり前であり、優先されるべき!」と思い込んでいる。

だが実は
「(道徳や正義は、特殊な状況で "時として現れる" ものであって)
 腐敗や馴れ合いこそ、通常の状態(≒デフォルト)と心得るべき」であろう。

なぜなら
「もし、道徳や正義が
 当たり前であったり、世の常であるのなら
 そもそも、道徳や正義といった言葉や概念は存在しない」からだ。

であるからこそ
「不条理な現実に即して、自分なりの哲学を磨くコトが重要」になってくる。諦念をもって、逆転の発想から、大人になれよ!とのメッセージか。

このような考えが、バルザックやゾラの小説でも根底にあるような気がしている。「純粋なキミは、社会の仕組みを知るのが遅すぎた…」なんてセリフがあったような。
当方、不惑も半ば頃。遅ればせながら、長年の靄が晴れたような気分に。

"あとがき"でモリエールの舞台を
「劇場では笑ったけど、家では大いに泣いた。」って人がいると書いてあるが
ありえる話だと思う。後から "切なさ" がジワジワと心を侵食する。

漱石の「坊ちゃん」のような、この物語の主人公、アルセストこそ小生自身であり「これは、僕を描いたドラマだ!」というヨルシカの曲「レプリカント」の歌詞が浮かんだ。

以上

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