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多角的な観点を身に付けるための思考法

多角的な観点とは何か分からずに困っている人向け。

本記事では、自身がITエンジニアとして仕事をする上で身に付けてきた、多角的な観点を利用した問題解決手段について解説します。

ロジカルシンキングに通じる話なので、ロジカルシンキングを身に着けたい人は、ぜひ次の本を読んでみてください。

多角的な観点とは何か

多角的な観点とは、「複数の視点」や「視座の高さ」を活用して、物事を多角的な方向から捉えることです。

多角的な観点を持っていると、物事を解決する手段に「気づく」ことができるようになります。

本格的に物事を解決するためには、気づきを前提に、論理的思考力を活用して問題解決のストーリーを作る必要があります。

しかし、多くの人は「多角的な観点」がないので、「論理的思考力」があったとしても、問題を解決することができません。

自分の視点のみをベースにした、問題解決手段を提示しても、相手の事を考えていないので、相手に受け入れられません。

あなたが持つべき多角的な観点とは

仮に、あなたが「下請け」の立場で仕事をしているシステムエンジニアだとします。

ビジネス上では、「顧客」→「元請け」→「下請け(自社)」の関係ができあがります。場合によっては、「他社」と協業することもあるでしょう。

多くの人は、自分の所属してる組織である、「下請け(自社)」の観点でしか仕事をしません。

図:ビジネス上の会社関係

例えば、「元請け」から次のような仕事の依頼があったとします。

「顧客が、現在利用しているシステムに機能追加をしてほしいと言っている。プログラムを改修して、機能を追加してほしい」

仕事の依頼を受けた場合、「下請け(自社)」の観点でしか仕事をしていない人だと、次のように、受け身で面倒くさい仕事をする羽目になることが大半です。

①「できない理由」を探して言い訳し、結果的にプログラム改修をさせられる。
②「はい」といって引き受けて、元請けの文句を言いながら、作業量が多いプログラム改修をする。

顧客が「機能追加をしてほしい」と言った際、それぞれの思考回路は次の通りです。
【各社間の思考回路】
顧客 :「この機能が使えたら、業務がやりやすくなる」
元請け:「次のシステム提案や関係構築を鑑みて、顧客要望をかなえたい」
下請け:「機能追加なんて、大変だしやりたくない」

この時、顧客の目的は「業務を効率化すること」です。
プログラムを改修することが目的じゃありません。
元請けも、他の方法が分からないから、目の前にあるシステムのプログラムを改修しろと言っているだけです。

仕事を元請けに依頼された場合、「下請け」の立場として、正しい思考回路は次の通りです。

【下請けの立場での正しい思考回路】
①「顧客の目的は、機能を追加して、業務を効率化すること」(顧客観点)
②「顧客に要求された機能は、プログラム改修じゃないと、実現できないのか?」(下請け(自社)観点)
③「どうも、この機能は、プログラム改修をしなくても、簡単な”バッチ”を作れば実現できそうだ」(下請け(自社)観点)
④「もっと簡単な方法で、運用手順を作成すれば、機能追加しなくても、要求を実現できそうだ。これなら、自社の作業コストも少なく、すぐに実現できる」(下請け(自社)観点)
⑤「元請けの立場としては、顧客の要望を満たせれば良いから、プログラム改修ではなくて、一番作業が少ない”運用手順”で解決する手段を示そう」(元請け観点)

等と、多角的な観点から思考を深めていくのが正解です。

他社が絡む場合は、ここに「他社」を動かすための思考も必要になってきます。

例えば、「他社にプログラム改修しろと言っても動かないだろう。なら、”顧客はプログラムを改修しろと言っているが、運用手順で何とかできる方法があるから、運用手順だけ作ってくれないか”」もしくは「顧客がプログラム改修しろと言っているが、松竹梅の案がある。メリットとデメリットを考えて、作業量も少なく、一番適切だと考えうる中間の案ではどうか」と交渉する等です。

「下請け(自社)」観点しかもっていない人は、「他社のプログラムを改修しないとできないんだから、他社がプログラムを改修して当然。他社にプログラム改修の要求は出すが、できないと言われればそれまで。他社ができない以上、うちもできない」等という思考回路です。

これでは、問題は永遠に解決しません。

もっと言うと、余計に問題がこじれて、最終的には顧客や元請けから「いいから、言われた通りにやれ!」と言われ、一番作業量が大きい仕事をやる羽目になるだけです。

そうではなく、自分から、多角的かつ論理的な問題解決手段を考えて、相手に「提案」をしましょう。そうすることで、自分の身を守ることにもつながりますし、周りの評価も高まります。

これまで説明してきた内容が、「複数の視点」を持つ、「視座を高くする」と言った言葉の意味です。
最後に、図:「ビジネス上の会社関係」を再掲します。
図の矢印のように、より「上」と「横」に、あなたの思考を広げましょう。

図:ビジネス上の会社関係

以上、多角的な観点を身に付けるための思考法でした。

より詳しい内容を知りたい方は、次の本で、ロジカルシンキングをぜひ学んでみてください。

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