見出し画像

パポラバ星から宇宙人がやってきたお話①

皆さんはパポラバ星を知っていますか?

パポラバ星とは宇宙の遥か彼方にある星のことで、そこでは住民(宇宙人)全てが皆同じような生活を送っていました。

そんなパポラバ星にて、1人の宇宙人がとあることを企んでいました。
彼には、どうにかしてこの星を抜け出して地球に住みたいという思いがあり、地球の住民と入れ替わろうというのです。
そのために彼は約5年もの間この薬の開発に力を注いでおり、とうとう今日この薬が完成したのです。
この薬は、5年もの年月をかけただけあってとても使い勝手が良く、「〇〇と入れ替わりたい」と言って飲むことでその人と入れ替わることができ、逆に戻りたくなったらすぐに戻れるというものでした。

その日の夜、彼はパポラバ博物館の地球人データ室に忍び込み、誰と入れ替わるのかを検討することにしました。
なんとこのパポラバ博物館には、全ての星のすべての住民のデータが格納されているのです。

「決めた決めた!このミヨリっていう女の子にしよう!」

そのデータによると、ミヨリはインテリアが趣味の女子大生で、誰もが羨むような可愛らしい素敵な良い部屋に住んでいるとのことでした。
彼もその部屋に惹かれてミヨリを対象に選んだのです。

「そうと決まれば早速地球へ声を届ける準備をしなければ!」

彼は家に帰って音声装置をいじり始めたのでした。

**

その頃、何も知らないミヨリは趣味のインテリアを楽しんでいました。
彼女の日課は、毎日自分の部屋を少しずつアレンジしてそれをインスタグラムにアップすること。
最近ではだいぶんフォロワーも多くなってきて今まで以上に力を入れていました。

**

そんなミヨリがある日ドライフラワーの飾りを作っていたときのこと。

「ミヨリ、聞こえるか?」

「誰?」

「私はパポラバ星に住む宇宙人。今日からお前の代わりに私が地球で生活する。そしてお前は私の代わりにパポラバ星で暮らしていく。」

「何を言っているのか分からないけど嫌よ!帰って!」

「いいや、そうはいかないよ。私が自分で決めたんだ。じゃあ後はよろしく頼むよ。
《私はこのミヨリと入れ替わりたい》」

次の瞬間、彼の望んでいた通り、宇宙人とミヨリは入れ替ったのでした。

**

しばらくしてミヨリは目を覚ましました。
そこは壊れかけた機械や異臭を漂わせる薬品だらけの冷たい部屋でした。

**

一方その頃宇宙人は窓から差し込む夕日を浴びながら部屋いっぱいに飾られた白や黄色のドライフラワーを眺めて幸せな気持ちに浸っていたのでした。

続く

よろしければサポートお願いします!児童文学作家を目指しておりまして、頂いたサポートはそのための勉強に使わせていただきますm(_ _)m