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【カスタマージャーニーって必要?】顧客像の作り込みについての「いち考察」

本記事の要約
・カスタマージャーニーとは顧客になりうる人のモデリング、及び想定ライフスタイルを持つ人が顧客になるまでの道程を想定することである。
・かスタマージャーニーに固執するよりは提供する商品やサービスの「ベネフィット」に着目し、そこから顧客になりうる特性を考えるべきだ。
・何よりも大事なのは顧客候補の「生の声」を早期に得ることである。そのターゲット選定にカスタマージャーニーを活用すべきである。


事業の企画をする際によく言われる「カスタマージャーニー」の作成。

マーケティング的に言えば「消費者の購買行動の分析と特定」の策定が所謂「カスタマージャーニー」に当てはまり、


• デモグラフィック属性(性別、年齢、住所、家族構成など社会学的な分類)
• 環境(住環境や生活スタイル、教育など)
• ライフスタイル&性格(デモグラフィック属性&環境で定義される顧客パーソナリティ)
• 知覚(ライフスタイル&性格が影響を与える要素、何に興味を持つか)
• 態度(ライフスタイル&性格が影響を与える要素、興味を持った際のふるまい、すぐ買う or 熟考する or 比較する・・etc)
• 選考(ライフスタイル、知覚度、態度の変容をベースに決まる商品の選考特性)
• 状況(予算規模)
• マーケティング刺激(広告や営業、口コミ、プロモーションなどによる刺激)


を整理分析する行動が「カスタマージャーニーの作り込み」になると思います。


例えばテレワークでの遠隔就労サービスの提供を題材とした場合、そのサービスを利用するターゲットを簡易的にモデリングしてみます。

「34歳、主婦、家族は4人で旦那は自動車メーカーでエンジニアを行っている。世帯年収は630万円、子供は7歳の男児と5歳の女児、平日は7時に起床し朝食を準備、8:30には旦那、子供を送り出し、午前中には掃除・洗濯を終え12時に昼食。通常は16時より晩御飯の準備をするため13時~15時の2時間までは時間にゆとりがある。近々マンションの購入を検討しており、2時間だけでも働くことを希望している、そんな中、目にしたテレワークでの勤務募集の広告をきっかけに空き時間での勤務を開始する・・・・」

かなりざっくりですがこんな感じにパーソナリティや個人設定を作り込んでいき、その人のライフスタイルに提供するサービスが合致するのか、どのようにそのサービスと出会い、何をきっかけにそのサービスを利用していくのか、その際どんな刺激(広告宣伝など)を与えるとマッチング効率が上がるか、などを考えていくこと、逆説的に言えば顧客になり得るのはどんなライフスタイルの人なのかを考察していくのが「カスタマージャーニー」と呼ばれるモデリングなのだと思います。

 
ただ、この「ライフスタイル」というのは正に「千差万別」の要素なので、細かくすればするほど個人を限定されてい来ます(=市場が縮んでいく)。

端的に言えば、世帯年収630万円の4人家族、且つ子供は小さく、稼ぐ理由がある、という人が果たしてどれだけいるのか、もしいたとしてその人にどうやってアプローチ(広告宣伝)するのか、これが説明できないと50点のマーケティングだと思います。


個人的には上記の消費者個人の特性同定よりはサービスの提供するベネフィットに対して反応する個人特性、例えば遠隔就労サービスのベネフィットの一つにある「成果報酬型なので時間の制約がなく、自分の任意の空き時間で就労ができる」というものがありますが、このベネフィットに賛同いただける個人特性、例えば日夜忙しく働くビジネスマンと幼児の子育て真っ最中の主婦は全く違うパーソナリティを持っていますが「空いた時間で副収入を得たい」という点で共通している可能性があります。この「提供サービスのベネフィットに対してマッチングするライフスタイル」を明らかにする方が市場(顧客)をとらえるという観点では正しいと思っています。
 
その為、変にカスタマージャーニーなど「推測でのマッチング特性の想定」よりは「アンケート調査」などで提供サービスに関心を持つ人の「関心点」を軸に顧客特性明らかにをしていく(どんなパーソナリティがある人か、例えば1日の余暇時間がどれくらい、収入規模がどれくらい、収入拡大の目的はこんなものがあって・・・みたいな)ことが重要になると思います。
 
そのうえで、ニーズの強い顧客特性を持つ人たちが「いつ」「普段どんな情報ソースにアクセスし」ているかを把握し、
 
認知拡大(ターゲットに届く広告宣伝)→興味(参加キャンペーン施策)→調査(ランディングページなどの情報提供)→比較(同業他社に対する強味訴求)→そして購入(登録の簡易さ)→使用(業務内容の分かりやすさや業務開始の簡易さ)→愛用(リファラルのし易さ、SNSでの発信性)


のフローにうまく乗せていく、ボトルネックを定量的に把握・解消していくことを丁寧にやっていくことが重要になると思います。 

当然かスタマージャーニー自体が否定される必要はなく、初期のアンケート調査のターゲット選定やそもそものサービス構築にあたって「どんな人の課題を解決するものなのか」を明確化するためにかスタマージャーニーは効果的であると思います。

ただ、あまりにも想像だけで「顧客像」を作り込んでしまうのはサービスと実態の乖離を大きくする可能性があるため、やはり早期にPMF(プロダクトマーケットフィット)を行い、実際の顧客候補の生の声を得ること、それを加味して顧客像を作ることが重要と思います。

当たり前の話ではありますが、同じやるなら妄想マーケティングではなく「意味のあるマーケティング」をやりたいところです。

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