住宅と省エネ

省エネとは、消費エネルギーを抑えることを言うと思いますが、空調や湯沸かし、電気製品等の高効率化もだし、建材等の製造にまつわるCo2排出削減も省エネだとは思いますが、ここでは建築(住宅)の断熱性能について簡単に説明します。

「断熱性能等級」という言葉をよく見かけると思いますが、これは品確法という法律の中で定められた基準で、断熱性能を段階的にランク付けしたものになります。

現在(令和4年11月)は、等級1~7までありますが、つい最近までは等級4が最高でした。

では、断熱性能はどう評価しているのかですが、外皮(外壁、屋根、床下)の熱の通しやすさの家全体の平均=UA値(外皮平均熱貫流率→小さいほど性能が高い)を計算し、基準値以下になるように設計します。

UA値の基準は、地域によって違うので、同じ等級でも北海道と温暖な地域だと基準がゆるい=断熱性能ちょっと低くてOK等の違いがあります。したがって、同じ断熱性能等級でも、建設コストも違ってきます。

関東以南を例に、等級ごとのUA値基準を見てみると

等級3→1.54以下
等級4→0.87以下(北海道だと0.46)
等級5→0.6以下(北海道だと0.40)
等級6→0.46以下(北海道だと0.28)
等級7→0.26以下(北海道だと0.20)

となっており、北海道の値と比較するとずいぶん違うことがわかります。等級6までは必要ないと個人的には考えておりますが(やりたい人はやればいいし悪いことではない、程度の問題として!)、関東以南で0.46だと等級6になりますが北海道では等級4(標準的水準)なんですね、自分もいま初めて知りましたが(笑)

ここで、じゃあ等級はどこを狙うのがいいの?って話になると思いますが、これは人それぞれ考え方があるので、自分の考えと予算を踏まえて決めればよいと思います。そもそも地域区分的に、関東と九州南部が同じくくりになってますからね、環境が同じなわけないんで、等級だけでは計れないです。

自分の考えは、等級4でいいじゃんって考えてます。競争が激化して値段が下がれば5でいいじゃんって感じで。どうしても寒ければもう一枚羽織ればいいじゃんって思います(極寒の地域とかだと考えが違うかもしれません)
等級4は関東以南の地域であれば、それなりのサッシと断熱材を入れとけば勝手にクリアできてるぐらいの水準です。これからの時代は、法的にも断熱性能の基準が5~7まで新設され、世界的な脱炭素の動きもあいまって、サッシや断熱材等のメーカーや、住宅メーカーもこぞって広告や営業トークに断熱性能をガンガンに使ってくることが加速していくと思われますので、全部鵜呑みにしてたらオーバースペックに大金払うことになります(笑)

ちょっと建築家目線の愚痴を書きますが、そもそも、建築というものは開口の取り方や庇の取り方、小屋裏を大きくすれば断熱的に効果があるよなとか、通気層をこう設ければ断熱に効果あるよなとか、様々な建築的仕掛けによって環境に立ち向かう学問だと思いますが、世間というかチラシや広告、営業マンがワーワー言ってるのは、高性能の建材をペタペタ貼り付けてハイできました~!みたいな、で、お客さんはそんなに詳しくないから「超高断熱にしなければ人間じゃないじゃないですか!!」みたいな感じで高額商品買わされる、みたいな(笑)

勘違いしないで欲しいのは、建材の性能が上がることは良いことで、求めるなら断熱性能は高い方がいいです。情報を鵜呑みにしないで、自分なりに調べて判断して欲しいってことです。お金の面で言えば、電気代ってどれぐらい下がるんだろ~って。

ちなみに、現在は断熱等級は好きなようにしていいですよ~ですが、2025年には等級4以上が義務化されますので、等級4が法的な最低ラインの標準仕様となり、それ未満の性能の建物は建てられなくなります。


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