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住宅購入時における情報量の差について考えてみた

「絶対に失敗したくない家づくり」は、なかなかうまくいかない。
もう少し掘り下げてみます。
どんなにインターネットで調べたとしても、住宅購入において、購入する人の圧倒的な情報不足はなくなりません。
それはネット以外、住宅会社のスタッフに聞いたり、設備メーカーのショールームにいったり、先輩の家づくり経験者に聞いても、情報量不足はなくなりません。
それだけ、家づくりにまつわる情報量が多いということです。

人生で家づくりをするのは1度(ふつうは)

人生で家づくりをするのは、ふつうは1度です。
そのため、過去の経験を活かして家づくりをすることができません。
ちょっと他の経験で、考えてみましょう。
初めて行ったレストラン。
初めて行った旅行先。
事前にガイドブックやSNS、友人からの口コミで情報を調べたとして、事前の計画通り、思い通りにうまくいくことはどれくらいありますでしょうか。
レストランにでは、「次はあのメニュー頼んでみよう」
旅行先では、「今度は反対のエリアにも行ってみたい」
よくあることでしょう。
そのように何度も購買経験を繰り返すことで、購買者自身は自分の目的・好みと購入する商品の特性を理解し、自分の目的と商品価値を調整していきます。
そして、「この店は良い店だ。この商品は良い商品だ。」となるのはどのような時か。
自身の購買目的と商品特性がマッチするか、購買目的以上の商品価値を感じられた時だと思います。
それは何度も購買体験を繰り返すことにより、経験が蓄積し、修正されていった結果、実現できることだと思います。

しかし、家づくり、住宅購入において、過去に体験した経験を購買のための教訓として活かせる機会がありません。
家づくりは人生で1度キリだからです。
中には2回目、3回目という方もいるかもしれませんが、多くとも3回くらいではないでしょうか。
3回で本当に自分の目的・好みと商品特性を理解できているかは微妙です。
この過去の購買経験が使えないということこそが、そもそも家づくりが難しくなる要因だったりします。

売り手と買い手の間に存在する圧倒的な情報量の差

一方で、住宅会社の社員は、何件もの住宅を販売しています。
家づくりにおいて様々な経験をしています。
一般的にハウスメーカーの営業担当者で年間5件前後、地域の住宅会社の営業担当者で8件前後のお客様と契約し、引き渡しするのが一般的です。
業界年数が伸びればその分、経験は増えていきます。
その結果、予算の高い安い。
家族構成。
土地がある人。ない人。
二世帯。三世帯。
住宅会社のスタッフであれば、よく遭遇する20パターンくらいの家づくりは何年か住宅会社に勤務していれば、経験できるでしょう。
そして、良くも悪くもそのようなお客様向けの一連の対応パターンや解決策も身につけることができます。

さらに住宅会社の下にいる専門業者や製造メーカーに目を向けてみましょう。
例えば、キッチンメーカーにはキッチン一筋何十年の方、電気屋さんには電気一筋何十年の方、〇〇屋さんには・・・。
というようにそのパーツのみで何十年も携わってきたプロの方達がいます。
その方達は住宅会社の営業スタッフ、もっといえば技術スタッフでも知らないような細かな知識を身につけています。
毎日その商品に関わっているのですから、当然といえば当然です。
それだけ住宅、住宅を構成するパーツ・建材・設備は多種多様。
さらに日進月歩しています。
つまり「住宅購入者<住宅会社<専門業者」と圧倒的な情報量の差が存在するわけです。

伝えらえる情報量

それでは、そのような家づくりにおいて住宅のパーツ(建材・設備)に関わる情報をどれくらいの時間をかけて住宅購入者に伝えられるでしょうか。
住宅会社によって差がありますが、住宅会社の収益を考えていくとひとりの顧客に費やせる期間は出会ってから契約まで、3〜5ヶ月ほどだと思います。
もちろんそれ以上、費やすこともありますが、その結果、他のお客様か住宅会社の社員か、はたまたお客様自身かどこかに金銭的、時間的無理が生じている可能性が高いと言えます。
話をもどして、3〜5ヶ月の限られた期間、限られた打合せ回数で住宅会社のスタッフがもっている家づくりの情報全てをお客様にお伝えするには無理があります。
また、お客様自身でも学ぶにせよ、プロが何年もかけて学ぶものを数ヶ月で学んでいただくことは無理があります。
結果として、家づくりすべての情報を得て、失敗なきように挑むことはできません。

そして、プロでもしらないこともある

さらに言えば、プロである住宅会社の社員、専門業者のスタッフによっても知識量は様々です。
入社3年目のスタッフと20年目の部長であれば、持っている知識と経験に大きな差があるのは当然です。
そして、ベテランスタッフのほうが知識量は多いかもしれませんが、最新の情報やデジタル的な内容は若手の方が詳しかったりもします。
また、そもそも業界的にまだ未知のこと、発展途上のものもあったりします。
昔まだ私が若手だった頃に出会った住宅会社の社長、年齢70歳前後の方が講演会で「みなさん、住宅は日々勉強です。いまだに私も知らないことがたくさんあります。」とおっしゃっていたことは、当時、20代後半だった私には大変印象的でした。
50年以上家づくりに携わってきて、講演するくらい成功している住宅会社の経営者が「知らないことがたくさんある」とのこと。
家づくりはそういうものなのです。

では、どうすれば。
それはまた次の回に書いてみたいと思います。


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