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土居豊の文芸批評

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土居豊の文芸批評 作家・土居豊が「文芸批評」として各種ジャンルの作品を批評します。 不定期に掲載。 マガジンとしてまとめる記事は、有料記事です。同じテーマの批評をまとめ読みがで…
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2024年3月の記事一覧

土居豊の文芸批評・アニメ編 映画評『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

土居豊の文芸批評・アニメ編 映画評『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 (1)ガンダムの半世紀近い歴史を、背負って立つ心意気 本作は、前にも書いたように、「ガンダムSEED」と「ガンダムSEEDデスティニー」の両方を観てきた人は絶対に観るべき映画だ。テレビ全100話の長いシリーズの、それぞれの愛の形を描き分けてみせた最終回だった。 主役の2人の男女、キラとラクスの全裸?のキスで幕を閉じるラストシーンは、全編のテーマを見事に集約していた。 本作の見どころは、それぞれ

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土居豊の文芸批評 アニメ編新海誠・震災3部作を観る〜『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』

土居豊の文芸批評 アニメ編 新海誠・震災3部作を観る〜『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』 ⒈ 『君の名は。』は観客を選ばない大衆的な映画だ (1) 話題の映画『君の名は。』を観た。この日は家族で観たが、小学生女子のわが子も意外と楽しんで観ていた。周りの席は中高生が半分以上で、やたらうるさかった。このにぎやかな映画館の雰囲気は、昔よくあったアイドル映画と同じだ。とはいえ、映画『君の名は。』を多くの若い人々が映画館に観にきているのは、映画の将来にとっては良い。 で

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土居豊の文芸批評 映画編 『ゴジラ−1.0』と、『シン・ゴジラ』

土居豊の文芸批評 映画編 『ゴジラ−1.0』と、『シン・ゴジラ』 ⒈ 映画『ゴジラ−1.0』は、日本映画そのものである (1) 映画『ゴジラ−1.0』と、『シン・ゴジラ』は、どちらも日本を舞台としたパニック映画でありながら、皇居の存在を描かない。というより、描けないのだ。 少なくとも「−1.0」の方は、太平洋戦争末期から戦後数年という時間軸が明確なので、皇室の存在に一切触れていないのでは映画としてリアリティ以前の段階だ。 そもそも、最初の『ゴジラ』第1作からお約束のように

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土居豊の文芸批評 ドストエフスキー『罪と罰』 ラスコーリニコフの老婆殺しは、妹推しの兄が切羽詰まってやっちまったこと

土居豊の文芸批評 ドストエフスキー『罪と罰』 ラスコーリニコフの老婆殺しは、妹推しの兄が切羽詰まってやっちまったこと (1)なぜ、いま、ドストエフスキー? 唐突だが、ドストエフスキーを語ることにする。 それというのも、筆者は長らく村上春樹作品を批評してきたが、村上作品の根底には、ドストエフスキーからの影響が色濃いからだ。 村上自身、中学時代からドストエフスキーを読んでいたし、英語で米国ハードボイルドのペイパーバックを読むようになってからも、ドストエフスキーの長編を愛読して

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