見出し画像

飲酒で赤ら顔になるわたしが、とうとうコロナにかかって出会ったおもてなし

お酒を飲んで赤ら顔になる人は、コロナにかかりにくいらしい。
「飲酒で赤ら顔」といえば、胸を張ってわたしのことである。
赤ら顔になるくせに、お酒の場では楽しく調子に乗って飲んでいる。
赤い顔が恥ずかしくないのか?
恥ずかしい。すこしは。
でも楽しいが勝る。圧倒的に、楽しいが勝るから赤ら顔で飲む。
「土井さんってどんな人?」って聞かれた人たちが、多分わたしを語る5番目ぐらいには「お酒飲んで真っ赤になって、楽しそうな人」って言うと思う。

ところで、お酒を飲んで赤ら顔になる人は、コロナにかかりにくいらしい。
「飲酒で顔真っ赤になる人は「コロナにかかりにくい」 佐賀大が研究」

赤ら顔になる自分を祝福したのは、生まれて初めてである。
ビバ赤ら顔。

果たして、わたくし2020年のコロナ禍からずーっと感染せず、「このまま逃げ切れるんだな」となんとはなしに思い込んでいた。
昨年末までは。
2023年も暮れかかった仕事納めの後、突然の強烈な悪寒とともに40度の発熱である。体温計を見た瞬間、観念した。ああ。4年も逃げたのに。つかまったか。

感染が確定した翌日には、隔離した娘も発熱した。
そもそも娘には別の症状でクリニックにかかる予定があった。発熱した旨を伝えるのが昨今のマナーである。
熱で朦朧としながら電話をした。
「明日の予約をしていた〇〇の母ですが、」
と言ったところで
「あら。」
と声が返ってきた。

「はい」ではなくて、「あら」である。
電話の向こうから
「なにかあったんですね。聴きますよ。」
という、心の声が聴こえた、気がした。
優しい、あったかい、たよりになる。いろんな感情がごちゃまぜだ。
なにしろこっちは、高熱で電話している。すこしのことでも心にしみるぜ。

あれこれ話して電話を切ったあと、なんであんなにあの「あら」がありがたかったんだろう。と考えた。
マニュアルじゃない感じがしたんだ。
一個人として話してくれてるんだな。ひとつひとつに心を反応させてるんだなーって。
あんな対応できるからにはきっとベテランさんだろうと思いつつ、実際に受付で顔をあわせたら30歳に届くかどうかという若いお嬢さんだった。
天性のコミュ力か。
素の力の圧倒的パワーよ。

マニュアルに縛られるな。あなたらしさを出して接客するって、すごいのだ。

※写真は、「あー、これで年末年始は全部キャンセルか・・・」と朦朧としながら眺めていたクリニックの発熱外来待合室のデジタルサイネージ。
せめて画像が富士山で、めでたい気がしてよかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?