和式トイレのスタバがあるかよ
■朝、仕事で用があったので、会社に寄らず直行していた。
■用事を終えて電車に乗ろうとすると、めちゃくちゃトイレに行きたくなった。
■私も人間なのでお便所くらいは行くのだ。
※話逸れるけど「おべんじょ」って言葉の響き、面白すぎませんか?口に出して言いたくなる。「べんじょ」もなかなかだけど「おべんじょ」には勝てない。「オベン」の時点でもう口角上がるのに「ジョ」。「ジョ」て。それで着地できてるつもりか?「おべんじょいきなさい」とか言われたら爆笑してしまう。「お台所」も相当面白い。漂うババア感。「おだいどこ」になるともうダメ。完全に笑わせにきてる。ろの消失。「サイゼリ」みたいなもんじゃん。ヤくらい言えよ。ヤ?アだっけ?こんだけ全国展開してるのに未だにアかヤか曖昧な時点で面白い。もうお腹一杯です。
■駅の案内表示を頼りに、お便所にたどり着いたところまではよかった。
■世の中には、見た瞬間に「あ、外れだ」とわかるトイレがある。今日のはまさにそれだった。入口からしてもうなんか暗~くて、何年も改修とかしてなさそうな、座る人のために便座をあったかくしておこうとか、便座を離れたら自動的に水を流してあげようとか、そういう思いやりが一切なさそうな、”負”のトイレだった。
■当然ウォシュレットもないだろうな、お尻を洗ってあげれば人が喜ぶだろうという発想自体なさそうだし、などと案じながらおそるおそる個室のドアに手をかけて、私はあやうく卒倒しかけた。
■和式だった。
■私は和式トイレを使うという行為がこの世で12番目くらいに嫌いである。だって意味がわからないから。歯磨きのあと高いところからペッて水を吐く人くらい嫌だ。今更どうあがいても洋式のシステムに勝てる見込みがないし、用を足すためだけにあんなスクワットみたいな体勢を強要される意味がわからないし、まず顔から排泄物までの距離が近すぎる。あんな至近距離で見るもんじゃないだろ。用を足しながら、コレ何を見せられてんの?と冷静になってしまう。見えないように目線を上げたら上げたで首が痛いし。欠陥だらけかよ。和式には和式の需要があるのはわかっているけど、嫌なものは嫌なのだ。
■少しクラクラしながら、隣の個室を開けた。
■私は目を疑った。
■そこには和式トイレが涼しい顔で鎮座していたのだ。
■何が悲しくて1日に2回もそのツラを見なければならないのか。
■まさか、ここのトイレ、全部和式?
■信じられない思いで個室を開けていくと、疑惑は確信に変わった。4つあるトイレは全て和式だったのだ。
■そんなバカな。ここは江戸か?時が止まった駅か?竹でお尻ふくのか?施工主呼んだらちょんまげの奴来るんじゃないのか。目を覚ましてくれ。
■令和よ?もうみんなキャッシュレスで買い物してんのよ?
■追い討ちをかけるように、各個室から最悪な匂いがしている。あとなんか床に最悪な色の水も流れている。名前をつけるなら"憎悪"。憎悪の微粒子が私の鼻の粘膜に貼りついてくる。勘弁してくれ。こういうとこで用を足さなくていい生活のために毎日働いてんだこっちは。個室4つ連結してぷよぷよのように消えてほしい。
■本当に嫌だったので、私はそこで用を足すのを諦めることにした。ここは日本だ。綺麗なトイレが街中に点在している。探せばすぐにたどり着くはずだ。
■ほらもう見つけた、駅の階段を降りたところにスターバックスがある。ラッキーラッキー。スターバックスが私たちに与えてくれるのはコーヒーだけはない。スタイリッシュで居心地の良い空間である。そんなスタバが提供するトイレなら、きっと間違いないだろう。さっきの憎悪トイレで用を足すくらいならコーヒー代300円なんて安いものだ。
■恥ずかしながら、私の限界は迫っていた。コーヒーという利尿作用のある飲み物が視界に入るだけでも、脳から「Hurry Up」という指令が体中を駆け巡った。端正な顔立ちの店員さんが私のコーヒーを作ってくれている間、今日だけはカップに小粋な一言は書かないでいいから早く渡してくれ、とロマンのかけらもないテレパシーを送っていた。余裕がないとき、人は外道だ。金に困った人間が、花を愛でる心を忘れてしまうように。
■やっとコーヒーが渡された。受け取るや否や、私は食い気味に「お手洗いはどちらですか」と聞いた。こっちには時間がないんだ。なりふりなんて構わない。恥も外聞もあるもんか。
■店員はにこやかに答えた。
「こちらの店舗内にトイレはないので、一旦外に出ていただき、階段を上ったところにある駅のトイレをご利用ください」
掴んだ瞬間に 指をすり抜ける
恋に破れるたび 思い出す (It’s You)
まるで無限のループ
必ず君へ還る
壊れたレコードみたいに (It’s You)
太陽が花を愛でるように
風が波を起こすように
包み込む優しさ (Your Love)
乾いた大地に注ぐ雨
君を想い続ける定め
だから今夜も
I am calling (I am calling)
私は誘導されるがままに駅に戻り、最悪な匂いのトイレのお世話になった。結局、謎の往復をして300円払っただけだった。
コーヒーって、こんなに苦かったっけな…
なんか、前にもカフェとトイレの話をした気がするな。
脳みその引き出しの少なさがうかがえる。
違う。こんなはずじゃなかった。もっと素敵な、キラキラしたことも書きたい。
しばらくトイレの話題はやめよう。なぜなら汚いから。
お先に失礼します。