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◎手帖P22「天然醸造の醤油」

2020/12/16.23 OA

和食に欠かせない調味料の醤油。「天然醸造」という作り方でお醤油を作っている兵庫県養父市にある、1910年創業「大徳醤油」の代表取締役社長の浄慶さんにお話を伺いました。 

私が大徳醤油に出会ったきっかけが「手作り醤油キット」。そうなんです、2018年〜今年の春にかけて、大体16ヶ月くらいかけて、家で醤油を作ってみたんです。本当に出来るんだってびっくりしました。お味噌はもう何年も家で作り続けているんですが、お味噌よりもさらに材料が少なくて、こんな簡単に本当に?という感覚。


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そんなわけで、ずっと気になっていた大徳醤油さんに、ようやくお邪魔することができました。


大徳醤油では、麹を作るところから自社で行っています。蒸した大豆、炒って砕いた小麦、少しの麹菌を合わせて、麹むろで温度管理をして麹を作ります。その麹に塩と水を加えて熟成させて絞ると醤油の完成です。醤油蔵に自然に住み着いた微生物の力だけで長い時間をかけて熟成させる、昔ながらの伝統的な作り方を「天然醸造」と呼んでいます。醸造期間を短縮するために、培養微生物を加えたり、加熱したりしない作り方です。いい香りが漂う醤油蔵の壁にはびっしりと菌がついていてふわふわなんですよ。

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創業当時の1910年頃は、どこの醤油蔵も麹作りから自社でやっていたそうです。だんだん醤油の市場価格が下がってきてしまって、その価格で販売するためには手間を省き醸造期間を短くしてたくさん作るしかなく、自分のところで麹から作るのが難しくなってきました。麹作りから長期間熟成させて作る醤油屋さんが少なくなってきている。なので、残っている醤油屋さんは、お商売よりも、未来に伝統の技術を残していくという使命があるんじゃないか。。。。そこをなんとか頑張らなくてはと思っているそう。

昔はお醤油は高級品だったそうですが、今は低価格のものになってしまったので、これから醤油蔵を始めようとしても設備投資したものが回収できないので、新しく始めるのは難しい。やっぱり残っている蔵が頑張らないと!

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醤油を家で作るキットは、実は30年近く前からある商品で、大徳醤油の醤油作りを知ってもらう、伝えるために販売し始めたそうです。私は実際にやってみると、あんなにシンプルな作り方なのかと驚きました。微生物に酸素をあげるためにかき混ぜるだけ。だから「カブトムシを飼うみたいな感覚で醤油作りをやってみて欲しい」と浄慶さん。「難しくはないけど、ただただ時間がかかるもの。そういうものだと知ってもらいたい。」とのこと。確かに!

そもそも醤油の材料の麹作り自体4〜5日かかるし、夜も様子をみないといけないし、なかなか大変。(キットには完成した麹が入っているので安心です!)こんなに時間がかかるものだと思ったら、伝統的な作り方をして、体に良い微生物がたくさん含まれているものがお値段が高めなのは納得だし、シンプルなだけに良い材料を使わなくてはいけないのも納得。醤油の販売価格にも納得できます。ある調査によると、1人が1年に使う醤油の量は1.8リットル(一升瓶1本分)。それが2000円したとしても、1回外食をするくらいの金額で、1年間毎日体に良い微生物を取り入れることができるなら、そんなに高い買い物ではないかもしれないですよね。

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元々の日本人は、麹を作って長期熟成させる調味料、醤油みそみりん酒お酢などを毎日少しづつ摂取していたのが、健康長寿の秘訣だったのかもしれませんね。浄慶さんは「天然醸造にもう一度、目を向けてみて欲しい。味だけではなく、体に良いとされる微生物を自然に取り入れることができます」とおっしゃっていました。


SDGs 17の目標


そんな大徳醤油の取り組みはSDGsの17の目標のうち
「2 飢餓をゼロに」
「3 すべての人に健康と福祉を」
「11 住み続けられるまちづくりを」
「12 つくる責任 つかう責任」
「14 海の豊かさを守ろう」
「15 陸の豊かさも守ろう」
に当てはまっているといえるとのことでした!

食品を作る仕事なので、大前提として「3健康」「12 つくる責任 つかう責任」に繋がっています。

今は、醤油の材料である大豆が、日本全体で見るとほぼ外国産なんだそうです。ですが、日本で食べるものは日本の原料を使って作りたい。と言うのも、外国産の原料を使うというのは、海外からお金を払って食べ物を奪っていることになっているのでは?日本は少子化が進んでいますが、そうではない国から食糧を奪っていることになってない?だから国産のものを使う意識を持ちたい。「2飢餓をゼロに」に繋がること!

「コウノトリ醤油」地元の農家さんが無農薬減農薬で育てた、生物のが生きられる環境のなかで育てた大豆や小麦を使って作られている醤油。→「15陸の豊かさ」にも繋がるかも。

「麹の魚醤」コウノトリの大豆、小麦で麹を作って、但馬の漁師さんがとった魚(甘海老、カニ、イカ、のどぐろなどなど)の中で売り物でならないような魚を使って、但馬の地域の農業と漁業を発酵で繋ぐことをやりたい。→「14漁師さんの生活と、海の豊かさを守りたい」

「有機・地域・伝統がキーワード」地域の生産者さんと一緒に新商品を作っていく。生産者さんから相談もらうこともあって、そこに答えたいと思っている。→「11まちづくり」に繋がる。


もはや商売ではない!微生物と一緒に伝統を未来へつないでいく大徳醤油さん。醸造で守りたいのは有機、伝統、地域なんですね。

「大徳醤油」のお醤油や「醤油手作りキット」はインターネットで購入する事が出来ます!詳しくは「大徳醤油」のHPをチェックしてみてくださいね。

▼大徳醤油
https://daitoku-soy.com/

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