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「お店番がしたい!」どんどん参画したくなるまちのちいさな図書館。

静岡県焼津市のシャッター通り商店街の空き店舗ではじめた私設図書館「みんなの図書館さんかく」(以下、さんかく)を開館してから約1年半が経過しました。

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「私設公共」を掲げ、一箱本棚オーナー制度という不思議な仕組みを導入し、月2千円を支払う本棚オーナーは56名、図書カードを作った人は370名、月に200人以上が来館する場所に育っています。

そんな図書館の実験をまとめたnoteをきっかけに、同じ仕組みを導入した姉妹館が24館に広がり、いまでも全国から月に5件以上の視察が来てくれています。

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さんかく、参画。

「さんかく」の名前は、企画や計画から参加する意味の「参画」からきていて、いろんな人が参画する場所を目指して運営しています。

例えば、さんかくの手前にはチャレンジショップが併設していて、「自分でお店をやってみたい」「週末だけカフェをやってみたい」という挑戦(チャレンジ)をしてもらえる場所になっています。

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チャレンジショップは無料で出店することができて、その代わりに図書館のお店番をしてもらうことで、人件費をかけずに図書館を開館させています。

(その他のさんかくの詳しい説明は下の記事に書いてあるので、ぜひ読んでください)

この他にも、さんかくに置いてあるお菓子はみんなの持ち寄りだったり、そもそも集まっている本も地域の人からの寄贈だったりと、みんなの参画でどうにか成り立っている図書館です。

お店番はしたいひとがする。

その最たる仕組みは、お店番をしたいひとがするという方法です。

コミュニティスペースの1番のネックは、運営が疲弊してしまうことだと考えています。さほど儲かる場所でもないのに、毎日毎日お店を開かないといけません。

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こうしたコミュニティスペースを運営した経験があるひとであれば、ちょっと疲れてきたタイミングで「あれ、わたしってなんのためにこの場所やっているんだっけ?」と我に返ったことがあるはずです。

であれば、疲弊しない方法でやる!を鉄則にすれば良いと考えました。

だから、「大変なことはみんなでやる」「面倒なことはしない」「無理をしない」などのルールを決めて、持続可能な運営モデルを模索しています。

だからお店番はするのは運営団体のメンバーだけでなく、やりたい!と手をあげたひとができるように仕組みをつくって、随時お店番を募集しています。

お店番をしてもバイト代は出ないし、なんならお店番をしているひとの何人かは月2千円の棚代を支払う本棚オーナーです。(本棚オーナーのことがわからないひとは上のnoteを読んでね)

でも、不思議なことに次から次に「お店番がしたい!」と手を挙げる人が出てきて、運営側がいなくても週5-6日は開館する図書館になってきました。

「お店番をさせてもらえませんか?」

そして、これまでは「お店番しませんか?」とお誘いする方が多かったのが、最近は「お店番させてもらえませんか?」と相談をもらうことが多くなりました。

話を聞いてみると、移住者の方だったり、仕事をひと休みしている方だったり、自営業の方だったり、どの方も「ここでお店番をしているとなんか楽しそう」と口を揃えて話してくれます。

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とくに多いのは移住者の方で、引っ越してきたばかりの右も左もわからない土地で、お店番という役割を得て、さまざまな人と出会い、まちの情報がたくさん集まるこの場が魅力的なようです。

また別の方は、接客業の仕事をされていたんだけど、人間関係に疲れてしまい休職中で、「利害関係のない接客がここだったらできるかもしれないと思って」と相談に来られました。

さんかくでは、名前の通りみんなが積極的に関わり、「お客さん」を生み出さないことを意識しています。ですから「利害関係のない接客」と解釈してくれるひとがいるんだと嬉しく思って、快くお願いしたこともありました。

まちが育て、まちを育てる。

さんかくを立ち上げるときに、「まちが育て、まちを育てる」のキャッチフレーズを付けました。まちのひとに育てられ、長い目ではまちを育てていくような拠点にしたい。そんな思いを込めました。

たったの1年半の時間ではありますが、まちのいろんな方が訪れてくれて、参画してくれて、「お店番がしたい!」と思えるような場所に育ってきたことは本当にありがたいことだと考えています。

ぼくはコミュニティづくりは焚き火、キャンプファイヤーのようなものだと思っています。魅力的な火にはみんな集まりたくなるし、そうでなければみんないなくなってしまいます。

これからも地に足をつけて、小さくても魅力的な火を灯し続けたいと思います。

みんなの図書館さんかくのHP

全国に広がる一箱本棚図書館!

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