衝撃、国の審議会の若者登用率はたったの1.12%、9割の40代以上が引っ張る日本。
昨年4月にこども家庭庁が創設され、こども・若者の社会参加や意見反映の施策が徐々に進みはじめています。こども家庭庁のもとには、こども家庭審議会と呼ばれる審議会が設置され、現役大学生など20代の委員も多く活躍しています。
自分自身も20代でありながら、こども・若者参画及び意見反映専門委員会の委員長を拝命し、こども家庭庁の中心で国のこども・若者の参画、意見反映を推進する立場にあります。
審議会というのは、研究者を中心に専門家が集められ、国の方針について政策分野ごとに意見を伝える会議体のことで、国の政策の方向性に大きな影響を与えます。
そんな中、国のこども・若者の審議会への委員登用率が1.12%であるという残念な数字が発表されました。この数字は10代から30代の委員比率であり、10代に限っては0%、20代では0.32%です。(報告書はこちら)
つまり、これまで国の審議会の委員の98.88%は40代以上が取り仕切るという実態だったのです。(1,883人の委員のうち21人のみが10代〜30代)
専門委員等で1.51%、有識者等で1.85%
国には審議会とは別に専門委員会や懇談会などといった個別的な政策に関する審議を行う会議体も設置されています。議論の網羅性や全体性が異なると理解していただければ良いかなと思います。
そのなか専門委員等では10代から30代の委員登用は1.51%(7,107人の委員のうち10代1人、20代11人、30代95人)、有識者等では1.85%(3,848人の委員のうち10代0人、20代6人、30代65人)という結果になりました。
審議会、専門委員等、有識者等を全体で見ると、10代はなんとたったの1名です。ちなみに、この1名は自分が委員長をしているこども・若者参画及び意見反映専門委員会の高校生委員1名です。
また、私自身も国の審議会、専門委員会を3つ兼任しており、他にも兼任している20代30代の委員も多くいます。今回出た数字は延べ数であるため、実数ではさらに小さな数字になります。(今回の報告書では明らかになっていません)
一方で、委員任命という形でなくても10代や20代のこども・若者にヒアリングをするなどして、審議会での議論に当事者の意見を反映させる取り組みをしている審議会が一定数あることも明らかになりました。
一方で、こども家庭審議会は28%の登用率
これだけ見ると悲しい数字ですが、こども家庭庁のもとに置かれたこども家庭審議会の10代から30代の委員登用率は28%となっており、約3割が若者委員となっています。国の審議会で最も平均年齢が若い審議会です。
こども・若者施策について、おおよそ3人に1人が若者という比率の会議で審議が進んでいることは、大きな前進と言えるでしょう。
裏返せば、こども家庭審議会がなければ、全体比率の1.12%という数字はより低くなっていたわけなので、どれだけ議論が高齢化していたのかを考えるとゾッとしてしまいます。
こども・若者=専門家?という視点も
一方で、国の審議会や専門員会等はテーマによっては非常に専門性が求められるものも多いです。例えば、原子力規制委員会には火山部会や放射線審議会といった会議がありますが、こういった会議に10代・20代が参加する必要があるかというと疑問があります。
今後の未来やこども・若者にとって当事者性が高い議題について、若い世代が議論に参加することに意義があります。しかし、何でもかんでも若者を参加させれば良いわけではなく、ここはもう少し議論が必要です。
また、年を重ねるほど経験することが多くなるため、年齢と専門性は比例していくのが一般的です。専門家だからこそ出せる意見や論点があり、国の審議会は叡智を結集させていくものであることから、そういった視点も忘れてはいけません。
それにしても、10代から30代で1.12%は低すぎると思いますが…。
こどもの意見反映は国や自治体の義務に!
ご存知の方もいるかもしれませんが、2023年4月に施行されたこども基本法では、こどもの意見反映の義務化を国や地方公共団体に課しています。
これをもとに国だけではなく、全国の地方自治体でこども・若者の意見反映施策が取り組まれはじめており、大きな政策転換が起こっています。
今回の数字は残念でしたが、こうしてこども・若者の委員比率が見える化されたのもこども家庭庁の施策であり、この数字をもとにこども・若者委員の登用についての改善が期待されます。
また、今回は国の委員比率ですが、ぜひ各自治体でのこども・若者の委員の登用率も見える化して、生活により近いところでこども・若者の声が反映される仕組みをつくってほしいと思います。
こども・若者の参画を一丁目一番地で推進しているのが、こども・若者参画及び意見反映専門委員会の役割でもあり、大きな責任を感じます。引き続き、一歩ずつ日本のこども・若者の参画を進めていけるように取り組んでいきます!
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