見出し画像

CCP

Tシャツ1枚をつくるのに必要な水の量は2,900リットルと言われる。災害時に派遣される給水車1台分だ。バーチャルウォーター換算の話は、アパレル業界に限って驚きの数値を見せる訳ではないが、日頃から給水車をイメージしながらTシャツに袖を通したりしないので、かなりのインパクトがある。

さらに、廃棄される衣類は、世界で年間9,200万トン。これは生産された服の約60%に相当する。作っておいて半分以上がゴミになる訳だ。それから、国内で1年間に供給される衣類の製造から廃棄までの工程で排出される二酸化炭素(CO2)も、推計で9,500万トンらしい。フードロス然り、ファッションロス問題も、ファストファッション問題と並ぶ大問題であり、環境負荷は甚大だ。

ところで、サイクリング・アウトドア・アーバンをキーワードとするファッションブランド『ccp(シーシーピー)』をご存知だろうか?(2021年12月墨田区立花から台東区台東へ移転)。普段の生活にも馴染むけれど、活動的なシーン(自転車やアウトドア)にも対応する独創的なウェア。そのデザインはシックでオシャレ。いわゆるピチピチのレーサージャージだけがサイクリングウェアではないってこと。

ccpは2001年の創業以来『自分たちが着たい物を作る』という軸からブレず、アーバンサイクリストの要望にも応えてきた。自分たちも自転車に乗りながら、生まれでたアイデアを形にするその姿勢は多くのファンを魅了し、今では海外との取引も増えている。

ウエアの他、バイサコ(サコッシュ)やキャップ、フェイスシールドなどオリジナル商品が並ぶ。バイサコは収縮性があるのでポケットに忍ばせ、サイクリング先でのお土産入れにも重宝する。もちろんどれも普段使いにも○
一切の無駄を削ぎ落とした牛革100%のサイクリング・フィンガーグローブ。一度使うと手放せなくなるそう
背負えるフェイスシールド『BARRICADE(バリケード)』。フィッシングベストみたい。冬のライドでも活躍しそう

筆者もロードバイクに乗り始めた2012年頃からその存在に注目してきた。今回移転を控えた墨田区の店舗に(最初で最後)お邪魔し、スタッフの木島めぐみさんにお話を伺った。

「ブランドを大きくするとか…、は考えていないです。需要を計り過剰生産もしない。共感いただけるお客様たちの分だけ適正な価格で提供したいので。まず自分たちが欲しいと思うもを作ることから始まります」。

ブランドが醸造すればこそのプロパー価格。いやそのポリシーがあってのブランドというべきなのだろうか。

カウンター越しに見えるアトリエ
店舗奥のアトリエを覗かせて頂いた。壁にかかるパターン、使い込まれたミシン。独創的で唯一無二のデザインはこの空間で産まれる。デザイナーの佐藤さんはモデルとしてもHPによく登場するので初対面の気がしないw
流行に左右されず、何年経っても定番として使い続けられるアイテムがccpのテーマ

流行に左右されず、何年経っても定番として使い続けられるアイテムが、ccpのテーマ。ccpの製品は全て日本製。“物作りの全てはコミュニケーションから始まる”。提携工場とのコミュニケーションから、新たなアイデアが生まれることもよくあること。

“まっとうな商いとしての立ち位置を探しながら、続けて行く事の一番は、お客様が満足して長年信頼頂ける事”

ccpホームページより

これはccp木島 努代表の言葉。


大量生産・大量消費の行く末が明るい未来ではないことを、私たちも薄々感じているはず。

生産者とユーザーが顔の見える距離にいる。それは、お互いに喜びの言葉を伝え合うことのできる距離。

昨今『サステナブル』という言葉をよく耳にするが、ただ“まっとう”にやれば良いのではないのか。ファストファッションブランドだけが悪ではなくて、そういう“価値”にお金を払う私たちユーザー、つまりは自分も環境破壊やファストファッション問題に加担しているということ。

めぐみさんとは同郷でした。ローカル話も楽しかったです

ccpの場合、自分たちの価値観を主軸に、本能的に持続可能を実践してきたのだと思う。

仕事も遊びもボーダレスに楽しむのがccpのスタイル。

最近ではクラウドファインディングを立ち上げて、富士吉田に貸切キャンプ場をオープさせたのだとか。アパレルに限定しないccpの活動に、今後も目が離せない。

CCP
東京都台東区台東3-27-4
tel.03-5834-3743

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?