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長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

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長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、…
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2024年2月の記事一覧

長夜の長兵衛 霞始靆(かすみはじめてたなびく)

佐保姫  畑の果てに並ぶ山々は、すぐそこにあるようでいて遠く、丘のようでいて高い。このよ…

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長夜の長兵衛 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

獺祭魚  やわらかな香りが肺腑におくりこまれてゆく。土のよろこぶ気配に触れられるようで、…

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長夜の長兵衛 魚上氷(うおこおりをいずる)

薄氷  金兵衛の屋敷では朝早くから人の出入りが賑やかしい。二間四枚立ち、襖を新調したので…

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長夜の長兵衛 黄鶯睍睆(うぐいすなく)

初音  断然、儂は白なのだ。冬から春へ向かう気配がきりりとするように思うて。  安兵衛は…

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長夜の長兵衛 東風解凍(はるかぜこおりをとく)

風待草  長兵衛が風呂敷の結び目を解くのを、源兵衛は面白そうに眺めた。  金兵衛さんは、…

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