『マンガで読むイーロン・マスクの企業と経営』感想
kindle日替わりセールにて発見。
考えてみると、イーロン・マスクについては「Twitterを改悪することにかけては天才」というような偏った見方しかない。最高レベルの起業家をそのようにしか見れないのはどう考えてもアンバランスだろう。
「セール」、「マンガ」というお手軽要素もそろっているのだし、軽い気持ちで読んでみた。
本作は、まさに私の軽い気持ちにふさわしい、軽い内容だった。
イーロンの経歴自体は面白い。
南アフリカ人の父、カナダ人の母。
子供の頃は本の虫。プログラミングの才能。渡米が叶わないと知ると、母のツテを頼ってカナダへ。奨学金を得て念願のアメリカへ、その道を自力で切り拓いた。windowsが登場すると3日目で大学院を退学し、企業。その後は波乱万丈の起業家人生…
こんな出来事をマンガで綴り、その間にはイーロンの人生から読み解くビジネス論が挟まっている。だが、合間のビジネス論はkindleで読むにはちょっと文字が小さいし、人間ドラマの成分はほとんどない。
それに、経歴自体についてはwikipedia でも詳しく読めてしまう。
だから自分が本書に求めていたのは、人間としてのイーロンマスクを描写する数々のエピソードだった。だが、この本はそれが決定的に弱かったように思う。
イーロンについて主体的に調べたことは無かったが、それでも断片的に「少数精鋭で長時間没頭することでアウトプットを出す」というブラック気質があることとか、アスペルガー症候群であるとか、情報は入ってくる。
だがマンガの中のイーロンは「人類の未来のためという目的意識がブレない」ことと、「失敗を恐れず切り拓く」ぐらいしかキャラだてがされていなかったように思える。
まあ、それでも手軽に読めたのは間違いない。イーロンの人となりはそこまでわからなかったが、少なくとも「twitterをつまらなくした富豪」以上のイメージは持てるようになった。
期待以上でも期待以下でもなかった。そんな読書だった。