【字幕投稿報告】Kurzgesagt:Smoking is Awesome

Kurzgesagtの「喫煙はイケてる」という動画について、字幕を投稿した。5日目にして700万再生を突破し、大反響だ。日本人にもみられてほしいので迅速に字幕を反映してもらいたい。

雑感

いや、今回は大傑作といっていいだろう。

女性の声入りの妖しいBGM、ナレーションに空白を作っては挟みこまれる「ハァァ」という呼吸音、タバコの快楽を煽るちょっとサイケがかった映像。序盤はタバコの世界に視聴者をいざなうかのようだ。

そんな娯楽性あふれる演出から一転、喫煙という体験の反作用が描かれる。免疫シリーズを続けてきたkurzgesagtにとって体内の描写はもうお手の物で、内側からどんどん臓器がダメになっていく様子がハイテンポに、反論のしようもなく積み上げられていく。

自分は喫煙者ではないのだが、何か翻訳しながら内臓が重たくなっていくような感覚すらあった。

この動画のコメント欄にはこんなコメントがある。

I've been smoking for 15 years. Came across this video a few days ago and haven't touched a cigarette since. Long way to go yet but I never thought quitting would be possible for me. Thanks Kurzgesagt, I needed this video!
15年間吸ってきたよ。数日前にこの動画に出会って以来、タバコに手を付けてない。長らく挑戦してきたが、禁煙に成功する日がくるなんて思わなかった。ありがとうKurzgesagt、この動画が必要だった!

動画コメント欄より

実際、あの動画を見た後に吸えなくなるということはありそうだ。だって描写がエグイんだもの。

煙草について、愛煙家と嫌煙家のバトルに参加するつもりはないが、自分なりに思うところはある。別記事で書けたら書いてみたい。

翻訳の苦労

今回の動画では、Kurzgesagtは「科学的にみて喫煙はろくでもない」という立場にありつつも、語り口は中立をとっていた。

そんなKurzgesagtのスタンスを理解したうえで、動画内で「喫煙という体験の素晴らしさ」をあえて描写している部分をどうやって訳すかに頭を悩ませた。

たとえば「ニコチンが脳に届くとすぐにpositive effectが出てくる」という文章のpositive effectというのは「よい影響」と訳すのは何か変なわけだ。

「多幸感」とか「脳内麻薬」みたいな語彙を使って、「所詮それは物質的な現象なんだけど気分が良くなるんだよね」ぐらいの皮肉さというか、なにか含みをもたせたほうがいい訳になると思う。

この部分は、「ニコチンがmagicを発揮する」という表現が複数回使われていたことを受け、「タバコの魔力が発揮される」という訳しかたをしてみた。positive effectという語に対してかなりの意訳だが、動画が持つストーリーとも、背景にあるKurzgesagtの見解とも親和性が高く、上手く訳せたんじゃないかと思う。


いやしかし、凄い動画だった…