Kurzgesagt日本語チャンネルが来てるぞ
来てる。日本語チャンネルが来ている。
みんな気づいているか?来ているぞ?
経緯
2022年の1月、スポンサードを受けたKurzgesagtは一挙に6言語でチャンネルを開設した。日本語のチャンネルもだ。
ワクワクして動画を見てみると…翻訳が異常だった。ネイティブだったら絶対にやらない訳が頻繁に目につく。例えば巨大ウイルスのGirusは日本では”ジャイルス”だろうが、ギルスと訳されていた。ナレーションも何かぎこちなく、棒読みで、多くのファンがガッカリしていた。
翻訳もナレーションもイマイチだからか、1年以上経った2023年4月20日のチャンネル登録者数をみると、日本は下から2番目だった…
元のコンテンツの質の高さを考えると、あり得ない伸びの悪さだ。スポンサーは期限付きらしいし、こりゃ下位の3チャンネルは潰れるかなぁ…なんて思っていた。
その後の推移
さて、私はKurzgesagtに対してストーカー的なところがある。純粋に数字を追うことも好きだ。ときどき、全チャンネルの登録者数をメモしていた。
そして気づいてしまったのだ。日本語チャンネルが”キテ”いることに。
このグラフを見て欲しい。
きたあああああああああ!これは日本語チャンネルきてますね!
え?わかりづらい?
まあ確かに下位の3チャンネルは初動が悪過ぎた。韓国語、ポルトガル語、フランス語と一緒に示すと、グラフはぺったんこになってしまう。
特に韓国は昨年の12月ごろに異常な伸び方をしている。これは、各言語チャンネルに少子化動画が投稿されたのが12/14であることで説明がつく。世界屈指の低出生率を誇る韓国で、かなりの注目を集めたのだろう。
まあいい、大サービスだ。下位の3チャンネルだけでグラフを作ろう。
いや、これは壮絶な戦いである。実は昨年の5月ごろから、アラビア語の方で改善があったらしく、日本語チャンネルは最下位になっていた。しかし、約1年の時を経て、伸び悩むヒンディ語を追い抜き、先日最下位を脱出したのである。
一つ目の契機は韓国と同じく、少子化動画だ。この動画は日本では「なぜ日本は絶えていくのか?」として、サムネとタイトルまでローカライズして投稿された。それもあって、再生数としても最高記録をたたき出した。(いや、5万ぐらいだけど)
だがそれ以上に、ここ数日の伸びがヤバイ。10日で7300人も増えている。1日あたりの成長率でいうと1.7%になる。この1.7%という伸び率はヤバい。
今年の大みそかまでこの成長率が続けば172万人に達する。さらに延々と続いた場合、2025年の8月にはチャンネル登録者数1億人を達成する。ほどなくして日本の人口を追い抜くだろう。ヤバい。日本語チャンネルヤバい。
…ハシャいでみたが、まあもちろん、この伸び率が長期間続くわけがない。
しかしなぜ、このタイミングでこんなに成長したのだろう。直接の原因はわからない。直近に投稿されたのは「不満の解毒剤」という動画だ。これが少子化動画を超えて現在8.6万再生をたたき出している。少子化動画よりもこの動画の方が心に刺さったのなら、なんとも日本人らしい話だ。
あるいは、何かしらのインフルエンサーが日本語チャンネルの紹介をしてくれた、なんてこともあるのかもしれない。とにかく日本語チャンネルが伸び始めていることは確かである。今後の動向にも期待したい。
6/8追記
動画を再生数順に並べ変えてみた。すると、上位に並んだ動画には明確な偏りが見られた。本家では”human stuff”に分類される動画群のうち、特に心理学系の動画に人気が出ているのだ。「不満の解毒薬」が伸びるまでは、「孤独感」や「終わりの話」も1万ぐらいだったと思うのだが、それも急速に伸びている。
Kurzgesagtの心理学系の動画がインフルエンサーにひとまとめに紹介された…なんてことがあるのかもしれない。
しかし、一般にKurzgesagtは宇宙!エイリアン!核!という印象を持たれているチャンネルではないだろうか。それが日本ではこの方面からウケはじめるという現象を、とても興味深く感じている。
ちなみに
最近の日本語チャンネルでは、翻訳がだいぶ良くなっているだけでなく、以下の変化がある。
①口調がですます調にもどった
②ナレーションが感情を込めるようになった
①について、kurzgesagtのアンケートに「ですます調は違和感がある」と回答したことがあった。自分ひとりの意見で決まったとは思わないが、しばらく日本語チャンネルは「だ・である調」で訳されてきた。
だが、少子化動画からですます調になっている。チャンネル登録者数が伸びていることを考えると、自分の感覚が間違っていたのかなと素朴に思う。
②について、本家のテイラーさんは中立性にこだわりを持ってやっているわけで、残念な変化だなと思う。だが、それで伸びるならまあいいのかなと思う。見向きもされないよりは。
参考:Kurzgesagtストーキングシリーズ