オーディブル記録17『成瀬は信じた道をいく』

『成瀬は天下を取りにいく』の続編。成瀬の大学受験から、大学1年の冬までを描く、連作短編集。

前作と同様、様々な登場人物が成瀬を目撃していく。

成瀬ファンの小学生、成瀬パパ、バイト先のスーパーのクレーマー、琵琶湖大津観光大使になるべく育った女性…

聴き終わった感触として、やっぱり成瀬の言動は面白く、目が離せない。「成瀬のように周りの目線に振り回されずに生きていかないとな」と思わせてくれる(とくに琵琶湖大津観光大使の話)

ただ、それは一作目のメッセージの繰り返しにもなるので、あまりその要素が強調されているようにも見えなかった。シリーズ化にあたり、通底するメッセージは一貫させるにせよ、成瀬というキャラクターを楽しみ、目撃するということに主眼をおくようにしたのではないだろうか。

(最初からシリーズ化を見越していたなら的外れな考察になるのだが)

なお、前作を読んで、「成瀬がどんな大人になるのか読んでみたい」と思ったのだが、二作目は大学1年の冬で終わってしまった。作品内時間が1年しか経っていないわけだ。これは長いシリーズになるのかもしれない。著者インタビューを見ると、現在三作目に取り組んでおり、その後は一度おやすみをする予定らしい。

本作は2025年の話となっている。現実の出版年とある程度時間をリンクさせていると考えると、第三作で成瀬の大学2年を描き、そのあと間をあけて第4作では社会人になった成瀬が見られるのかもしれない。

↓第一作の感想


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