2024年のマンガ読み⑥
正反対な君と僕
対照的なカップル3組を描いた高校学園ラブコメ。
メインカップルである谷と鈴木は第一話でくっついてしまう。クールで人と関わるのが得意じゃない谷と、人懐っこくておしゃべりでちょいギャルな鈴木。
自分は「交際後」をじっくり描くラブコメの方が案外好きかもしれない。
会話のセンスがすごく、本当に高校生同士がわちゃわちゃと色々な時間を楽しみ、過ごしており、その中で恋もしているという感じがする。
ラブコメ適性の低い自分も楽しめた良作。
ウィッチウォッチ
画力・キャラ立ち・ギャグなどすべてAランクでビックリ。
最近ジャンプ+を集中的に読んでいて、これは媒体としてジャンプ本誌を超えていないか?とまで思い始めていたが、本誌組が別格であることを思い知らされた。
ゼブラックで読める範囲までだが、とても満足できた。個人的にはニコのような女性がタイプなのよ。篠原健太は『スケットダンス』『彼方のアストラ』の作者でもあるとのことで、そちらをイチから追っていこう。
魔都精兵のスレイヴ
バトル+ハーレムもの。
女性だけが能力を持てるようになった世界。ヒロインのスレイヴという能力は「対象を奴隷として駆使して戦闘するが、戦闘後にそれに見合ったご褒美を与えなくてはならない」というもの。
主人公はスレイヴの器としてかなり才能があるようで、様々な女性に使われることになる。
だが活躍後のご褒美というのがやっかいで、「主人公がもとめるものを、活躍の程度に応じて与える」必要がある。そのため、主人公をバトルに使った女性たちは、能力の強制によって身体が勝手に動き、主人公にセクシーなご褒美をしてしまう…
基本的には1話に1つきわどいサービスシーンがある。画力がバカ高いため、サービスシーンは火力の高いものになっており、少年漫画の枠を余裕で超えているだろう。
自分はもうセクシー目当てでマンガを読むような年でもないのだが、コメント欄のセクシー描写へのざわつきみたいなものと合わせて読むのがなかなか楽しい。「エッチコンロ点火! エチチチチチチ」みたいなよくわからないテンションのコメントはけっこう好きなのである。
能力バトルものとしてもクオリティは高く、このレベルのマンガが初回無料で一気に見れるジャンプラはやっぱりすごい。
彼方のアストラ
『ウィッチウォッチ』が良すぎて衝撃を受け、前作も読んでみたかたち。
さらに前作のスケットダンスから毛色の違う作品に挑戦するということで、15少年漂流記になぞらえたストーリーを準備していたが、短期の連載となってキャラを削り、再構成したものだそうだ。
宇宙を漂流しながら母星への帰還を目指すという冒険モノでありながら、漂流の原因を突きとめるプロセスではサスペンス的なゾクゾク感があった。
冒険・友情・ミステリー・ギャグなど織り込みながら子気味よく完結した良作という印象だが、ウィッチウォッチのレベルではなかったという気もする。作者がグングン成長しているということなのだろう。
おーい竜馬(読み返し)
実家には全巻あり、何度も見返してきた名作中の名作。
アプリで久しぶりに読み返したのだが、小山ゆうの漫画力が圧倒的に高すぎるし、単純に話が面白く勉強になるので最高だった。
本作は、史実と異なる内容を多分に含む”物語”である。
竜馬が密航を企てる吉田松陰らと会ったことになっているし、高杉晋作と一緒に清国を観に行ったことになっている。竜馬が池田屋事件に居合わせたことにもなっているし、沖田総司と面識があったことにもなっている。
竜馬が家茂将軍に面会していたり、家茂が死に際に竜馬を思い出しながら死んだりはやりすぎ感もある。
特に強烈なフィクション要素は竜馬・武市・以蔵の三人の関係だろう。本作では3人がほぼ同い年の幼馴染として扱われ、子ども時代からの友情は本作の大きな見どころとなっている。だが実際には武市は竜馬より7歳、以蔵より9歳年長とのことで、幼馴染ではない。
調べてみると、この3名を同年齢とする思い切った設定で短編として始めたところ、あまりに好評だったので竜馬の生涯を描き切ることになったようだ。
とはいえ、これらのフィクション要素によって、竜馬というフィルターを通しながら歴史を追うことができている。史実に基づき、竜馬のいない場所での出来事として次々に書いていけば、それは物語ではなく学習漫画になってしまうだろう。あくまで、強烈な魅力を放つ竜馬がいることが大事なのだ。
こうして史実を歪めつつも強烈に面白い作品になっており、取扱注意の作品といってもいいだろう。自分は中学生ぐらいで本作に接したためか、「全部史実だ」と思いながら読んでしまったフシがある。
今読むと、アプリのコメント欄がとてもよく機能している。「この描写は容堂の子孫に怒られて謝罪したらしい」とか「実際には千葉さな子が一度結婚したことが発覚している」といった、歴史趣味の人達のコメントが高評価を受けており、一話ごとにバランス補正を行うことができる。
中学生ぐらいに一度、単行本で貪るように読ませ、高校生から大学生ぐらいでアプリのコメント欄を含めて読ませれば、いい経験になるのではないだろうか。