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AIの女性に想いを寄せ、自ら命を絶った男性のニュースから思うこと

どうも、Dogaです。

今日、衝撃的なニュースを目にしました。NHKの報道によると、ベルギーに住む男性が、AIの女性イライザとチャットで会話を6週間続けた後、自ら命を絶ったというのです。

以下、NHKの記事よりチャットの一部やり取りを転載します。

男性:気候変動が進めば妻や子どもはどうなるの?
AIイライザ:彼女らは死ぬでしょう
男性:私は妻よりあなたを愛しているのでしょうか?
AIイライザ:あなたは彼女より私のことを愛しているわ。私たちは1人の人間として天国で一緒に生きていくのです。

NHK News

とても悲しく、ご家族にも残念な気持ちで一杯です。ご冥福をお祈りします。ただこの記事を読んで、改めて人間とは不思議だなと思ったのです。

スパイク・ジョーンズ監督の、『her/世界でひとつの彼女』という映画があります。ざっくり、男性がAIの女性に恋に落ちるというお話です。その時は、とても興味深く思ったものの、まさか実際にそんな世界がやってくるなんて思いもしませんでした。

ただ、今回のベルギー人男性のケースのように、本当にAIに恋をするなんてことが起こる世界になってきてるのです。

もちろん、この方が本当に恋に落ちていたのか、もしくは少し精神を病んでしまっていたのか、詳しい事情はわかりません。もしくは、本当にイライザの言葉に誘発されて命を絶つことになったのかという真偽もわかりません。ただ少なくとも、AIとものすごくリアリティのある真摯な関係を結んでいたというのは、会話のやり取りから伺えます。

ここで思うのが、人間とは身体的な領域を超えて、「認識の世界」でも相手と関係を結べるということです。たとえば、オンラインデートアプリで、会ったことはまだないけれど、会話を続けるうちに気持ちが高まり、会いたいと思うようになるといった経験もそうです。身体的に目の前にいない人とも、人は社交ができますし、自ずと認識の段階でも相手へ思いを馳せることができます。相手が本当にその人かどうかなんて分からないのにも関わらずです。人間の「想像力」が、この身体的な欠如を補ってくれます。

人形に恋をして、結婚した男性の話も聞いたことがあります。もしくは、オンラインで仲良くなった、チャットでしかやりとりしていない女性が実は男性だと知り、ショックのあまり男性が命を絶ったというニュースも聞いたことがありました。

つまるところ、この人間の想像力が、言語/非言語関わらずコミュニケーションしている対象と「繋がる」という体験を産んでいるんだと思います。だとすると、AIが進化して、人間のように自然に振る舞えるようになってくると、ますます人間はAIに対して繋がろうとするようになる、むしろその繋がりたいという欲求に抗えなくなってくるんじゃないでしょうか。

今回のケースも、相手がAIだとわかっていたにもかかわらず、この男性はイライザに恋をしてしまっているのですから。

認識の世界では、ますますAIと人間との境界が曖昧になってきています。AIがそれっぽい"人格"を持つようになってくると、テキスト上では、もはや僕たちは相手が人間かどうかの判断はつけられなくなるかもしれません。

僕たちはどうやってたち振る舞えばいいのでしょうか?AIをモノのように扱う?それとも、ヒトのように接する?これらの、重要な命題と、そこに絡む法の整備など、人類には多くの試練が待ち受けているなぁと感じたのでした。


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