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TOKYO2020ピクトグラムのデザイナーさんから学んだ仕事感


TOKYO2020のピクトグラムをデザインされた廣村正彰さんのセミナーに行ってきましたので、メモがてらに投稿します。

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躍動感を補完させる表現しない表現

今回のお話で特に印象的だったのが、躍動感の表現です。
各ピクトグラムに共通して上半身を抜く表現をされています。

その理由として、サインデザインはシンプルが大前提です。
上半身の動きを描いてしまうと、シンプルから離れてイラストになってしまうんですね。
なのであえて描かないことで、うねりなどの躍動感を感じられるサインデザインになっています。

僕は日頃のお仕事で注力したいポイントを強弱、リズムなどで際立たせてしまいがちなのですが、一周回って何も表現しない選択と勇気。
また、この案を通す説得力などに一流たる所以を感じました。


親近感がもてる制作プロセスの苦悩

実はお客さんに苦しめられたエピソードが大半を占める内容でした。笑
意外と同じなんだなぁって親近感を持てました。

デザインのチェック工程は大きく3段階あったらしく、
1.国内(非専門家) → 2.国際(厄介なADもいる)→ 3.競技団体(競技愛強すぎ)
と段階を経て57回もバージョンアップしたんだとか。すごい!

競技団体は強い競技愛がゆえのFBが多く苦しめられたそうですが、
実際反映してみるとよくなっていく手応えもあったようです。
しなやかなマインドは大事ですね。

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例えば乗馬ですが、馬の顔や足などの揃い方が大事なんだとか。
最初のデザインは障害馬術などと同じ顔の角度にしていたようですが、完成後のピクトグラムは素人目に見ても競技の違いが表現されていますね。


課題解決の見極め力が高い

最も吸収すべきは見極め力の高さだと感じました。
経験からくるものなのでしょうか。
デザインは何でもできるって思ってないんですよね。

質疑応答で印象的だった2つを記載しておきます。どちらもオリンピックとは無関係の質問です。

Q.トイレのアイコンはLGBT問題で、色を表現しなくなってる。スカートも問題視されている。どうお考えですか?
A.トイレそのものがジェンダーレスになる方が課題解決には近いのかもしれません。そうなると性別のサインデザインは不要ですね。

Q.グラフィックデザイナーをしていて、食品パッケージに載せる情報が多くて苦労しています。日頃パッケージをどのように捉えていますか?
A.目的と情報量の限界を超えていると思います。「売れさせる」と「あらゆる情報」を1つのパッケージにもたせるは難しいので、情報は別で記載できたらと考えています。

課題解決ファースト思考だからこそ見極められるのかな。と感じました。


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