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東北旅 三日目 その2

早朝の港から戻った身体は、
思ったより冷えていた。

海に救われた後も
散策したからだ。

あの震災を経験した街は頼もしい。
同じことを繰り返さない。
誰一人として見捨てない。

そんな街作りの跡が垣間見えた。

港すぐの大きな堤防も、
避難しやすいように
整えられた救助塔も。
整備された道路も。
街作りにまで。

津波があるからと
敬遠するよりも

今だから安心。

そう考えれば、
こんなに住みやすい街は
ないんじゃなかろうか。

バスターミナルにあった言葉。

「共に生きる」

それは、あの震災を乗り越えた街、
人だから掲げることができるんだ、
きっと。


ホテルの温泉は5時から。
冷え切った身体を温める。

誰もいない。空いている。
湯船に足先を入れると、
思っていたより
冷えていたのだろう。

すごく熱い。

少しずつ、少しずつ
お湯の熱さに身体を慣れさせる。

それでも、夜中の間
締まっていた
温泉は熱くて、
下半身だけ
お湯に浸かって
目を閉じる。

そして、空っぽの時間を
楽しんだ。


さて、今日はどうしよう。

東北最終日。

私の心に訊ねてみる。
答えはすぐに出てこなかった。



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