見出し画像

バッドニュース・ファースト

バッドニュース・ファーストという言葉があります。「悪い知らせほど早く報告せよ」という意味です。

これは標語として掲げられてはいますが、なかなか実行しづらいものだと思います。ただ、これで本当に困っているのは、悪いニュースを上げたい担当者ではなく、悪いニュースがタイムリーに上がってこないマネージャーなのです。

エンジニアリング業界ではレジェンド的存在の大野耐一氏が提唱するトヨタ生産方式には「自働」という概念があります。自動ではなく、にんべんに動くの自働です。

スイッチを押せば動くというのが自動で、自働は機械が故障したり作業間違いがあったりした時に、自動的に停止するシステムである。また、負担過剰の時などに作業者がコンベヤーを停止することができるような装置も、自働化に含まれる。

不具合があったまま動き続けるシステムは何が悪いでしょうか。ニーズを満たさない製品をどんどん生産してしまいます。その後に廃棄や手直しのコストがかかります。それは不具合に気づいてから実際に止めるまでの間、損失を出し続けることになります。だから一見動いているように見えても、利益をだしているか、そうではないかを判断して、利益を出していない取り組みに対してはストップをかけることが善という考え方です。

これを一般化すると、悪いニュースを得たらすぐに今の作業を止めて、対策を練ることでうまくいくように対応しよう、というのがバッドニュースファーストの基本的中考え方です。

非常にわかりやすい考え方ですよね。ここまでは簡単です。

でもなぜ、これが守れられないのでしょうか。

世の中の多くの仕事は、「なにか悪いことがあったときに対策を練って方向転換をする」ということができないほど余裕がない状況で行われていたり、「担当者が悪いニュース=自分が責められる」「不具合を見つける=お前が直せ」という正常ではない精神状態で遂行されていることがあります。なので、何か悪い事が起こると「見なかったことにしておこう」「自分の担当ではない」「後でこっそり片付けよう」という心理に陥りがちです。

それは本人の善意や意思の力が弱いのではありません。その人が置かれている環境のほうに問題があるのです。

チームの雰囲気が「何が何でもこの仕事をやり遂げるんだ」とか、「細部に神は宿る」とかいって少しのミスも詰められるような雰囲気だと、だれのせいでもない不具合を見つけてしまった担当者が、ソレを報告すると自分の脳力が足りていないことを認めてしまうような精神状態になってしまい、見過ごすという心理になります。その雰囲気を作っているのが、マネージャーです。

なので悪いニュースが上がってこないと思っているマネージャーは、日頃の行いを見直しなさい(怒)というのがこのエントリで言いたかったことです。トイレに行きたいですとも言えないチームがうまく運営されるわけないですよね(伏線回収)

じゃあどうやって運営するのか?それはおいおいビール投稿の合間に説明したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?