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あなたは日本語、読めてますか?

どうも、(おはよう!会えなかった時のために、こんにちは!こんばんは!おやすみなさい!)えんどうです。

タイトルの意味は、そのままだ。

これをお読みの方は当然ながら「言葉としての日本語」を読むこともできれば話すこともできると自覚している方が大半だろう。しかし、書いている当人であるぼくは少し自信がない。

日本人の約30%は日本語が読めない

2019年の記事だが、著書に『マネーロンダリング』や『言ってはいけない』、『幸福の資本論ーーーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』などがある橘玲 @ak_tch が書いた「日本人の3分の1は日本語が読めない、それでも先進国のなかでは優秀という事実」がある。

橘は記事のなかで先進国の学習到達度調査PISAピサ国立教育政策研究所Webサイト)の大人版(読解力や数的思考能力、ITを活用した問題解決能力を測定する、16歳から65歳の成人を対象としたもの)であるPIACCピアックを紹介しつつ、日本の結果についてまとめを紹介している。

その内容はこうだ。

日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。
日本人の3分の1以上が小学校3~4年生の数的思考力しかない。
パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。
65歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。

およそ信じられないと思われるかもしれないが、事実だ。それぞれレベル1未満からレベル5までの6段階で評価され、5になれば結果が高いということになる。

読解力の結果は以下の通りだが、レベル1未満からレベル2までの合計が27.7となるため、おおよそ30%となる。レベル3の結果が一番高いため「普通に読める人」が多いのも確かではあるが、同時に読めない人が30%ほどいるのだという事実も認識する必要がある。これを見て明らかなように、橘が紹介する内容は決してウソでもなんでもなく事実なのだ。

念のため、いかにPDFファイルとWebサイトリンクを貼っておくので、疑念を抱いている人は自身の目で確かめてもらいたい。

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この調査は2011年に行われたものであり、10年を経過した2021年(予備調査)から2023年(2022年から本調査)にかけて再度調査することになっている。

識字率(就学率)が高い上に教育者のがんばりあってこそ

文字の理解・読み書きができる人の割合を指して識字率というが、日本の識字率は調査自体が行われていないため、正確な数値はわかりらない。ただ、小学校や中学校の義務教育に無料で通うことが可能なため、それを識字率として置き換えるならば非常に高い数値を誇る。

しかし、日本の就学率が高いとはいえ、それがすべての対象者に当てはめられるのかといえばそうではない。義務教育の就学率ですら100%とはなっていないのだ。このことは先進国の中でも就学率の高い日本ですら就学できていない子どもがいるという事実があるということだ。(2020年時点での義務教育への就学率は99.6%:文部科学統計要覧(令和2年版)より

識字率は別の言い方でliteracyリテラシーとも呼ばれる。UNESCOでいうところの識字率のことを以下のように定義しているが、これをそのままliteracyだと言い換えても差し支えないだろう。

UNESCOの定義
「日常生活で用いられる簡単で短い文章を理解して読み書きできること」

発展途上国では学校がなかったり戦争や紛争などが現在進行形で起こっているなどの問題や課題を抱えていることから、識字率が低い。識字率が低いことは、公的な支援を受けることができなかったり、事件や事故に遭いやすくなってしまうことも想定されるし、何よりも肉体労働以外の仕事ができなくなるといったデメリットを享受せざるを得ない状況に陥る。

現実として、日本以外のアメリカをはじめとした多くの国では、学士(大学卒業の資格)がなければホワイトカラー、いわゆる頭脳労働に就くことは不可能だとされる。

とはいえ、上で紹介したPIACC|《ピアック》の結果が決して識字率(今回は就学率と同義としている)に好影響を与えているのは間違いがない。

「おいおい、さっきは日本語を読めない大人が3割もいるとか言ってたじゃないか」

そんな風に思われるかもしれないが、日本語が読めない大人が約3割いたとしても、先進国の中では「読解力」も「数的思考能力」も「ITを駆使した問題解決能力」も、ほぼ全てで日本は1位なのだ。

ということは、そもそも日本の教育も色々と課題を指摘されることもあるだろうが、概ね成功していると言えるのである。ここは誇っていいだろうし、誇るべきだ。もちろん、ITを活用した授業展開やリモート授業などの仕組みや設計部分では小学校の子を持つ親として非常に歯痒い気持ちになるのは確かであるし、是非とも改善してもらいたいと願う状態であることも添えておく。

そして、問題はここからだ。

読解力の習熟度における分布(上で貼っているPIACCの結果ファイルを参照していただきたいが、そこの最後)では読解力の習熟度の分布がされており、そこではスキルごとの習熟度に関しての結果が載っている。

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これを見ると、明らかに日本の基準はアメリカやドイツと比較して勝っているレベルではない。大きく凌駕しているのだ。これは明らかに嬉しい結果ではあるものの、スキルと賃金の関係を見ると絶望する他にない。

読解力が高くても先進国平均よりも賃金の低い日本

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傾向としてはスキルが上がれば賃金も上がる傾向であることは、調査を受けた先進国の傾向と類似するため問題はないように思えるが、先進国の平均よりも賃金が低いのだ。

直上で触れた職業別の読解力でGDPが1位のアメリカや4位のドイツよりも優れていた日本はGDPで3位ながらも経済面で劣るからなのか賃金が低いのである。

名目GDPで世界3位の経済大国っぽい数字が出てはいるものの、各国の物価による購買格差やGDPの人口比などを考慮した一人当たりの購買力平価を比較すると、日本は30位となり決して経済的な豊かさでは経済大国と言えるのかどうかが微妙なのだ。

日本人は総じて読解力も高く、数的思考能力も高い上に、ITを駆使した問題解決能力もあるのにもかかわらず、賃金や購買力では先進国の中でも低い位置にいる、というのが2021年時点での世界の中での立ち位置ということになる。

捉え方を間違いたくないのが、2013年の時点とはいえ日本人は総じて平均的な能力は高いのだが、如何せん国際競争力においてはITバブル時代に出る杭を打つことで遅れをとってしまったことにより、「有能な人材が多いのに生産性の低い国」というなんとも残念なラベルを貼られることになった。

仮に、もし、このPIACCの順位が下がるようなことがあった場合、日本の経済力はガタ落ちになるのだろうことは想像に難くない。むしろ、労働者に有能な人材が多いからこそ、ギリギリ今の経済力を保っているともいえる。

いずれにしても、どうやら日本語だけが読めるようになっていたとしても、賃金の上昇は期待できないってことだけは確かなようだ。

そんな話を妻さんにしたら...

「私の心情を読み取ることもできないんだから、お前の賃金が上がらないのは当然だ。」

きっつー。そんな風に身も蓋もないことを言われて背筋が凍った。

じゃ、今回はこの辺で。

ではでは。

えんどう


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