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#メタバース ってやたらと聞くようになったと思いますが1992年からある考えですって説明をしてみよう

最近になって『メタバース (Metaverse) 』という呼称を耳目するようになってしまった方も増えたのではないだろうか。今回は「なにそれ美味しいの?」って方に向けて簡単に説明する機会にしてみる。

FacebookもといMetaがいう「メタバース」とは

どうも、おはよう!会えなかった時のために、こんにちは!こんばんは!おやすみなさい!えんどうです。

Facebookが社名を「メタ(Meta)」へ変更することに伴い発表された、メタバースと呼ばれる仮想空間の構築や関連事業へ軸足を移すことが発表されたが、これをきっかけに聞くようになった人が多いだろう。

メタバースとはSF作家・ニール・スティーヴンスンによる1992年の著作『スノウ・クラッシュ』の作中で登場するインターネット上の仮想世界のことで、『攻殻機動隊』よろしく既に30年(それ以上)前から構想されていた世界観である。

つまり、現実世界と仮想世界とで人間の持つ認識や体験を拡張させてくれるような世界がメタバースなのだ。メタバースははmeta(高次の) と universe(世界・空間)の合成語であり、主に三次元空間のことを指して説明されることが多いが、技術的な進歩もありインターネットの技術をもって現実を拡張させる事柄においても利用される言葉となっている。

以下より、多くの人が報道等で耳目することになった大きな要因、なぜFacebookがメタバースに注力していくことになったのかを考えていく。

日本だけでなく各国でユーザーが高齢化しており、おじさん(おばさん)化しているFacebookだが、月間で29億ものユーザーが利用する世界でも最大のソーシャルメディアだ。

画像や動画をシェアするソーシャルメディアであるInstagramやメッセージングに特化しているWahtsAppMessengerまで含めると、月間で35億8,000万ユーザーが利用するビッグプラットフォームであるからこそ、注目度が高くなることは必然的であり各種メディアが報じない理由がない。(数字は公式Newsroomより)

買収上手だとされるFacebook

そもそもFacebookは上に羅列したInstagramやWhatsApp、Messengerなどは自社開発したサービスではなく、買収によって自社サービスに組み込んだ上で提供しているものだ。

IT企業らしく時間のかかる自社開発ではなく、すでに実績のある有益な事業を買収することによって事業拡大してきたことからもわかるように、買収によって自社サービスの有益性を高めて利用者を増やしてきたのがFacebookであり、特に有名なのはInstagramだろう。

2010年10月にサービスを開始した画像投稿型のSNSは公開から2ヶ月で100万ユーザー、1年後には1,000万にもなったが、当時はiOSのみでの公開であり、2012年のAndroid版を公開することによってさらにユーザー数が増えることになる。

そんなInstagramをFacebookは2012年4月、ユーザー数が3,000万の時点で10億ドルでの買収が発表(実際には7.15億ドルだと)されているが、2021年現在ではInstagramのユーザー数は10億を超えており、改めてFacebookの買収が有益であることを証明している。

買収はソフトだけでなく、ハードでも行われている。

2014年にはAR/VRのヘッドマウントディスプレイであるOculusを20億円で買収。しかも、当時、Oculusは開発者向けのプロダクト、つまりは一般ユーザーには何のサービスを提供していないにもかかわらず買収されたことになる。ただ、今回のメタバースへの特化は、このOculusによるディスプレイが核となることは言うまでもない。

Facebook改めMetaは、メタバース事業へ2021年だけで 1兆円以上の投資を行うと発表していることもからも本気なのかがわかるが、これまでの事業と比較して親和性含め、その方向はどうなのかと個人的には疑問に思っている。

上で買収上手だと表現したが、発表してきたサービスが常に結果を残してきたわけではない。2019年にはデジタル通貨『リブラ』を発表したものの、共に手を取り合って普及に努めるハズだった主要企業の離反が起こりすぎた結果、ほぼなかったことになっている。

また、メタバースの世界観は現実にスマートフォンのカメラやメガネ型のデバイスを通じて投影する拡張現実と呼ばれるAR技術をベースとするものや、環境自体を設定する仮想世界を構築しOculusなどの専用デバイスを用いて没入的な体験を提供する仮想現実と呼ばれるVR技術をベースとするものの大きく分けると二つの方向性が示されているが、ARゲーム「ポケモン GO」の技術開発を担ったナイアンティックの創業者ジョン・ハンケは『現在メディアで取り上げられているメタバース像は、人間を完全に仮想世界に閉じ込めるもので「ディストピアン(暗黒世界的)」だ』と批判していることもあり、過度な期待感を牽制する動きもある。

あくまでも現実をネットでいかに拡張するのか

つまり、映画「レディ・プレイヤー1」で表現されるような世界観は、あくまでも仮想であり人間が求める『現実』ではないということだ。

脳科学的にも『触覚』と『嗅覚』は脳の電気信号に由来していることを根拠に外部刺激による再現は不可能だとされており、アニメやマンガで表現されることの増えたフルダイブ型の仮想空間は実現しない。

実現するためには、ゴーグルをつけた状態でランニングマシーンを走ったり、自転車型のマシンに乗ったりすることで実際に身体的な運動を伴うのと同時に、ニオイを再現する必要があるということだ。

これはあまりにも悲しい。

ましてや、仮想空間的なメタバースを実現しようと思うと名前を含めて情報開示をどこまでするのかによってMetaが抱えるFacebookという巨大事業との親和性が問われるが、ご存知の通りFacebookは実名登録を前提としたサービスだ。この点を踏まえると、Facebookをただアカウントを作成する際に利用するだけとなり、それが阻害要因にもなり得る。

とにかく広告を配信したいFacebook

Facebookは自社の売上を98.5%も広告に依存しているが、Instagramを抱えているとはいえ若年層の取り込みには失敗していることからユーザー数自体は尻すぼみになっていくことが見込まれている。

また、広告自体もプライバシー対策の旗印の元、デバイスで制御されつつあるためスマートフォンのOSオーナーであるAppleとGoogleにシェアを奪われることが完全に見えている。

これらを踏まえると、Facebookとしても自社デバイス(OS)を持ち、その中で広告を配信する他に生き残る方法がない。そのため、マーク・ザッカーバーグによる発表ではARやVRによるメタバースしか語らなかったし、あくまでも「ソーシャルテクノロジー」としてメタバースを位置付けている。

 SNSは時代によって枯れていくサービスであるため、致し方がない部分があるもののビジネスの場でわざわざVRのような仮想空間に入り込んで仕事をするのかといえば、やらないだろう。

なぜなら、仕事はあくまでも現実世界のものであり仮想世界で行うものではないからだ。もちろん、仮想世界におけるビジネスは発生するだろう。しかし、それは既にあるゲーム内で売買されるもの以上の展開をするとは到底思えない。

なぜなら、そこは仮想世界だからだ。

話題に上ることはあるかもしれないし、金持ちが明らかに道楽として利用するものが高価な値段をつけることもあるだろうが、それが現実世界に影響を及ぼすのかといえば、極めて微妙だ。


そんなわけでぼくはメタバース的な世界を楽しみにしつつも、Facebookがうまくやっていくのかどうかは現時点で微妙だな、というのが「ぼくの感想」だ。

というわけで、今日も現実にひた走ることにしよう。

ではでは。

えんどう

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