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現状維持=平衡状態で、本質的には前進(漸進)している。

どうも、えんどうです。

現状維持って四字熟語があります。

過去、ぼくの友人が述べたことで衝撃を受けたことがあるのですが、彼は「現状維持こそが人生における最大の目標」だと述べたのです。

ほんとうに衝撃を受け、手にしていたビールを置いて理由を尋ねました。

すると彼はこうも続けたのです。

「変化をすることは負けだと思っている」

もう10年以上も前の話なので今となっては過去の笑い話ですし、彼の思考も変わっているかも知れません。

ただ、現状を維持することってのは殊の外(ことのほか)たいへんで、口に発したり文字を読んだりする使用感とは打って変わって苦労というか工数を割かなければ成り立たないものだったりします。

現状維持
〘名〙 現状を変えないでそのまま保つこと。

スラスラ滑らかと口に出せてしまうし、読めてしまいもしますから使用感は抜群にいうのです。それにリズムというかテンポもいい。本当に使い勝手のいいというか使っていて気持ちのいい四字熟語。

それが「現状維持」です。

ただ、「言うは易く行うは難し」で現状を維持するってのは、よくよく考えると難しいのです。

なぜなら、維持をしたいと思っている事柄を取り巻く環境や状況が刻一刻と変わってしまうから。

つまるところ、現状維持は現在の置かれている状態を維持することを目的としているわけですが、現在の置かれている状態を保つための条件を整理してみると、まったく言葉の使用感とは打って変わって困難なものです。

たとえば、会社を経営することの第一義は理念を掲げた通りに運営され、雇用を生み出し、納税することだったりするわけですが、それも「継続・持続」されることが必要です。

現状維持を言い換えるとすれば「平衡状態」

どんなに周りの状況や環境が変わったとしても、そこにあり続けることやその場所に留まり続けることができる状態のことを指すことになります。

福岡伸一は、それを「動的平衡」と名付けていたりします。

たとえば、近所の公園にベンチやブランコがあるとしましょう。

雨や風、新潟であれば雪に晒されるわけですが、その公園(場所)にベンチやブランコが"あり続ける"ためにはペンキを塗り直されたり、接続部分のメンテナンスを行うことで可能になります。

つまり、ベンチやブランコがある状態を「平衡」だとするならば、状況や環境が刻一刻と変わる中で保とうとする際に、2020年4月に設置されたベンチやブランコが2050年4月まであり続けるために行われる、30年もの「間(あいだ)」にある行為や過程がこの平衡を保つために必要なこととなります。

少し難しくなってしまったのですが、要約するとそこに留まり続けていると思えることであったとしても、周囲の状況や環境が刻一刻と変化をし続ける中で「何も変わらないこと」はあり得ないわけです。

ベンチやブランコであれば、座る部分は腐食が進んでくるでしょうし、繋いである金属部分も錆びてくるでしょう。地面に差してある箇所も子どもや動物たちが掘り返してしまえば倒れやすくなってしまいます。

その「場所」や「空間」、「時間」を経過しても、そこにあり続ける状態は「静的」な何も起こっていないわけでなく、常に変化が発生している「動的」なものだということです。

そんな動的な状況や環境の中で、常に平衡を保とうとすること、現状維持をしているように見せられていることは、こんな風にしてよく考えてみるとものすごく大変な労力や工数をかけて行われていることであり、バカにできるものではないのです。

だから、冒頭で書いた友人の彼が述べたことは「人生の最大目標」として現状維持を掲げること自体には納得と理解をするものの、「変化をすることは負けだと思っている」とする旨の発言は的外れの頓珍漢だといえます。

平衡状態をつくりだすためには、常に変化することが求められます。

それは善し悪しではなく、必要条件なのです。

何もしなくても済むことは現状を保つ努力を一切しないって意味ですから、状態を保つことにはつながらず、むしろ衰退することになってしまいます。

「安定」も現状維持と似たような使われ方をしているのでしょうが、安定も平衡状態をつくりだすことですから、本質的に「何もしなくていい」なんてことは一切ありません。

常に変化に抗おうとする「ちから」がなければ、その場に止まることすらできないわけです。

ここを勘違いしていると、現状維持で可能な限り「いまのまま」を保とうとする際に筋違いのことをしている可能性がありますから、考えてみる必要があるんだな、なんてことを思ってもらえると幸いです。

ではでは。


えんどう

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