ますます日本人が減る方向に舵を切る日本

 人手不足が深刻化する14もの業種で就労する外国人を増やす方向で調整していくらしい。短期的に見たら人手不足の解消になることはわかる。人手不足であれば回るものも回らなくなってしまうのだから当然のことだ。しかし、長期的な視点でみると最終的に日本が回らなくなる要素として残り続けてしまう悪政なのではないかと思えてくる。

どうも、おはよう!会えなかった時のために、こんにちは!こんばんは!おやすみなさい!えんどう @ryosuke_endo です。

短期的に見たら正解だろうけど

少し前、自然とブラック企業化している農業を中心とした外国人技能実習生を熱望する実態についての主観を書いた。

 人手不足を解消したいがため、懸命に技能実習生という名の労働者を求める姿は、全力でブラック企業化することの意思表明であるのと同時に、それが政府のお墨付きで「否定される要因」が排除されているために後ろめたさなど微塵も無くなってしまう現象を指摘した。

以下は上のnoteで書いたことだが、到底見過ごしてはいけないと思える実態があり、それを監督指導されているにもかかわらず、是正されてはいないのだ。

 観測できる範囲で以下のような事柄が発生していることが確認できた。
 パスポート取上げ、強制貯金、研修生の時間外労働、権利主張に対する強制帰国、非実務研修の未実施、保証金・違約金による身柄拘束、強制帰国を脅し文句に使って性行為を迫るような性暴力など
 これらが長年にわたって報告されてきていて、厚生労働省が出している数字を見ると愕然とする。
 2019年度に9,455事業所のうち6,796事業所(約71.9%) で、2020年度は8,124事業場のうち5,752事業場(70.8%) で厚生労働省が監督指導を行ったのにもかかわらず労働基準関係法令違反が確認された事業者の数だ。
(厚労省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20618.html

 外国人技能実習生や外国人労働者を増やすこと自体が悪いのか。

 仮に、自分が農業を営む事業主だったとして、これを利用しないのかといえば利用するだろう。だって安い人件費でこれまでの売上が担保できるのであれば、むしろ利益率が高くなる可能性がある以上は喜んで利用したいと思うだろう。

 言い分は「だって政府のお墨付きなんだもん」だ。

 農業の従事者数が年々減少しているが、49歳以下の従事者数が少なくなっている。参入する若年層がいないのだから減少する他にない状態であることは以下のソースからも明らかだ。

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 また、年齢構成的に個人経営体の農業事業者数は以下の通り、日本の少子高齢社会よろしく、まったく救いようのない状態であることは一目瞭然だ。

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 この状況を鑑みれば、大切な票田である農家を救うために自民党が手を打つに決まっている。自分たちが政権与党であることを守ること、自らの政治家生命を維持するためには地方で暮らす個人農家(主には兼業農家)を救うことで維持できる可能性が高くなるのだから当然の動きだと言えるだろう。

客観的で長期的な視点を持つと

 ただ、客観的な視点で考えてみると、農業は個人でチマチマとやるよりも法人化し一定以上の規模を統括したうえでJAを通さずに直売し、ブランド化させつつ海外で買ってもらえるような生産物として売っていくことの方がいいに決まっている。

 現状、海外から輸入される農産物は多くあるが、最も多いのは米国からだが、日本よりも人件費が高いはずのアメリカから安く仕入れることができるのはおかしいようにも思える。(アメリカの平均年収は約700万、日本は約400万, 経済協力開発機 https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=RMW# のデータより)

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 まぁ、アメリカは土地が広大で農業を営む場合には機械化を進めなければ到底できるものではないことを踏まえると当然ではあるのだが、機械化・効率化しているからこそ大量生産できる農産物は安くなる。人の手がかからないようにするのだから当然だ。

日本でも長期的・客観的に見れば同様の動きにならなければならないことは目に見えている。

 たとえば、複数の田んぼを別々の人間が別々の機会を用いて管理運用するよりも一括で機会を管理・運用したほうがトータルコストを下げることに繋がるのは明らかだ。さらに売買金額も海外に向けてブランド価値を高めつつ出荷できるように直取引をするようになれば...と現状よりは「企業価値」を認知しやすくなり、結果的には日本人の雇用を生み出すことに繋がることだって期待できる。

 もちろん、理想論だ。理想論だが、今のままでいけば、必然的にそうならざるを得ないだろう。なぜなら、日本人後継者がいないのに技能実習生という形で安く雇用できる外国人を利用する以上、存続することだけが目的になっており長期的な継続発展は二の次になってしまっている。

 後継者がいないのに後継者育成をせず、現状をどうにか回そうとすることだけに奔走し、それに向けて直走ってしまう事業者も政治家も淘汰されることとなり、結果として農業は法人が一定規模以上の農地を管理運営する方向になり、農産物のブランド化が熾烈を極めざるを得ない状況にならずにどうなるのか。

そりゃ日本人減るだろ

 安く雇用できる外国人を雇う業界が増えるのであれば、日本全体の年収や手取り金額が増える機会も損なわれていくことになるだろう。この30年間、日本人の年収額が変わっていないうえ、2000年からの20年間でいうと、むしろ下がっている。

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https://gentosha-go.com/articles/-/35815?page=2

 さらに、消費税や社会保険料などを考慮すれば手取り金額は下がる一方である。これによって結婚する男女が少なくなる。

日本人の平均初婚年齢は夫 31.1 歳、妻 29.4 歳で年々上昇傾向だ。特に女性の初婚年齢が多くなればなるほどに複数出産が(肉体的・精神的な両面への負担を考慮すると)難しくなることを考えると少子化は止まらない。

 年収が低いままであれば生活に余裕がなく結婚をしようとも思えない。つまり、このまま年収が上がらないようであれば晩婚化が止まることはないだろう。さらに年齢が上がれば上がるほどに未婚率が高まっていくこともわかっており、現状50歳時に未婚である男性の割合は23.37%で、すでに約4人に1人は未婚なのだ。

 50歳以上で結婚をする人は多くないことから取得されている数字ではあるが、生涯未婚である人が増えれば増えるほど政治に対する期待は「将来」ではなく、「いま」になるだろう。

 子どもたちに税金を使うよりも自分たちが現状享受している分配政策を、さらに厚くしてもらいたいと願うのは必然的であり、それ以外のことを政府に要望することはない。

 そうなってくると余計に日本は少子化は進み高齢化するが、年収は低くなり社会保障費ばかりが増えるため手取りが少なくなり貧しくなってしまう。その結果、結婚できる人は増えずジリ貧になっていくのだろうが、こういった負のスパイラルには既に陥っている。これからの話ではない。

 現状がすでにそうなのだ。

 冒頭の人手不足の業界で外国人就労者を増やす政策をとることにより、日本はこれからさらに日本人を減らす方向に舵を切ったのだな、と実感した次第である。悲しいけど、これ、現実なのよね。

 まったくの余談だが、いまだに「セキュリティのために」とパスワード付きのzipファイルを送付してくる会社があるが、まったくセキュリティ対策になっていないということがいち早く認識してくれる人たちが増えてほしい。メール件数ばかりが増えるので嫌になる。

 ではでは。

えんどう






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