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現実湾曲フィールドを展開していいのはSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)だけかと思っていた話

どうも、(おはよう!会えなかった時のために、こんにちは!こんばんは!おやすみなさい!)えんどうです。

マネー現代で"「仕事のできる人」が絶対に使わない3つの言葉"と題した記事が投下されていた。デキるビジネスマンになるためには使ってはいけない言葉があるとのことだ。

この手の記事のタイトルを目にするたびに思うことがある。デキる人間になるのも大変だってことだ。なぜなら、「〇〇してはいけない」「〇〇すべきだ」とデキる側になるための条件がいろいろと積み重なってきて、自身の行動に制限がかかってくる

それを希望して臨む人だからこそ、デキる側になるのだろうし、それを希望する人たちで構成されるデキる組織で評価されるわけだ。

そう考えると組織評価とは"そういうものである"のだろう。

何かしらの組織に入ることからはじまり、その組織内で評価されること、のし上がることは基本的に組織の評価制度や風土、根底にある思考に合致していることがある。そこから逸脱している存在は評価されないし上位階層に行くことなんてもっての他で、そもそも組織に入ることすら叶わない。

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だが、ここできになることが一点。

この記事で紹介されているのは、別に「ある組織内における評価の話」ではない。そう、どの組織の話でもないのだ。これは本記事だけに限った話ではなく、ましてや、記事を執筆した方の組織が取る評価制度である旨の説明をする記載もない。

つまり、「デキるビジネスマン」や「売れる営業」といった、誰ともしれない空想上の存在を共通認識させつつ、そこを目指すための条件を書き連ねていることになる。

いや、ちょっと待って欲しい。そいつは誰だ。

空想上の存在なのだから、もはや伝説の生物たちと同等なのかもしれない。

麒麟や白虎、ドラゴンやジャイアント、八岐大蛇ヤマタノオロチなど何でもありであり、その伝説の生物の一覧に「デキるビジネスマン」とやらを加えてもいいのではないだろうか。

そう、誰かもわからないけれど、確かに存在すると信じられているデキるビジネスマンになるために自己啓発本よろしく、冒頭で紹介しているような記事が跋扈ばっこ(我が物顔で振る舞うこと)が許容されているのだろう。

それぞれの会社組織の中には、たしかにキーとなるプレイヤーが存在することは確かだろう。だが、そこには確かに固有名詞としての名前が存在し、その個人名を想起させることで記事や自己啓発本内で「デキるビジネスマン」とやらを結びつけやすくしつつ、販売促進の材料として利用しているのだ。

しかし、本当に「デキるビジネスマン」という空想上・伝説の存在は自身の行動に制限をかけていたのだろうか。

確かに、空想上の存在であれば何かしらの特徴がある。

ユニコーンには馬なのに長いツノが生えているし、ペガサスには羽が生えており空を駆けることができる。ミノタウロスは牛の頭なのに体は人間だし、クラーケンはどうみてもダイオウイカだ。

そういった伝説の生物が特徴を抱えているのと同様に、「デキるビジネスマン」の特徴が「〇〇はしない」とか「〇〇をする」といった行動に制限をかけていることなのだろう。

それはそれで大変だ。

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冒頭の紹介している記事では「絶対に〇〇ない」といった物言いをしているが、逆のパターンも考えられる。「絶対に〇〇する」という「すべき」といった論調で展開する物言いだ。

伝説の生物「デキルビジネスマン(以下、通称:デキルマン)」は、凡人には不可能だと思える事柄すらも現実にしてしまえる能力が備わっているのだろう。間違いない。そうでなければ「絶対に〇〇すべき○個のこと」といった記事が世の中に出回るわけがない。

それは、引き込まれた従業員が本来的・現実的なスケジュールや保有している技術レベルを大きく超えているにもかかわらず、その製品ができあがることによって世の中にどれほどのインパクトを与え、称賛されるのか。また、それによって自社にどれほどの利益をもたらすことが可能になるのかを懇々と語られ、頭がお花畑状態になりながらも実現に至ってしまう、スティーブ・ジョブズが展開していたとされる『現実湾曲フィールド』そのものだ。

つまり、それらの記事が市民権を得て「デキルマン」を目指す人たちが行動することによって既成事実としてまつり挙げられた結果、組織を統べる人物がテキスト情報や動画情報として「デキルマンとは何か」を記憶し、それを自分の展開する組織に定着させようとする。

あらゆる会社でドンドンとデキルマン養成コースが展開されているのにもかかわらず、日本人の平均手取り金額は年々下がっている

ブラック企業が減らない理由はサービス残業などの人件費が、真面目に取り組んでいる企業よりもかからないからだ。人件費がサービス残業によって固定化したままであり、「定額ハタラカセ放題」が成立する。

それもこれも世間的なデキルマン養成コースを匂わせる記事が蔓延していることと、その記事内で扱われる「現実湾曲フィールド」展開が輪をかけているからではないだろうか。

本質的には「働かなくてもいい世の中」を作った方がフォローできる人たちの割合が増えるのではないか。そんなことを考える中年デキナイマンであった。

ではでは

えんどう

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