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劇場でよく見るあの人

 先日好きな芸人のライブに約3か月ぶりに行った。
行くはずだったライブはチケットは買ったが緊急事態宣言が出て泣く泣く諦めて行けず、それも解除されたので今回念願のライブだった。いつもは先着順のチケットは今回は抽選だったので席が心配だったが、先着の時よりも良い席が取れたのでいつもよりワクワクしていた。

 席に座りいつもより舞台に近いことに驚きながら開演を待っていた。すると、左隣に人が来た。少し体格の良い人だったのだが、よく見るといつも劇場に来たときに見る人だった。いつも見ているだけあって、勝手に親近感を持っていた。(ほぉーこの人が隣に来るか)と一人で関心していたら、次は右隣にカップルが来た。これで両脇が埋まったなと思っていたらそのカップルの一人も劇場でよく見る人だった。(あぁ…この人、彼氏できたんだ…)と勝手にしみじみしていた。そしたら、このカップル喋る喋る。こんな喋る人だったのかと若干引きながら開演を待った。

 ついに開演した。様々な芸人のネタが始まり久々の劇場の雰囲気にたまらなくなっていた。そして、お目当ての芸人の出番が来た。自分のテンションもピークになっていた。出囃子が流れその芸人が拍手とともに出てきた。
3か月ぶりに見る生の漫才はやはり最高だなと思っていたら、左隣から声が聞こえてきた。ネタ中の他人の声ほど聴きたくないものはないが、嫌でも聞こえてきた。よく聞くとネタに興奮しているのか独り言をブツブツ言っていた。この人もこんな独り言多いのかと引きながら漫才を楽しんだ。

 漫才はもちろん面白かった。だが、左右の人たちに気を取られたのが残念だった。いつもよく見るあの人たちは、遠くから見て勝手に親近感を持つくらいが丁度良いと心から思った。

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