企業リスク評価の新サービス「i-CRAS2」をリリースしました。
こんにちは、ドキュメントハウス代表の本間です。
本日5月29日、弊社は新サービス「i-CRAS2」をリリースしました。
http://www.dhouse.co.jp/icras/
i-CRAS2は、クラウド型企業リスク評価サービスです。
年間使用料94,000円~でご利用いただけるサブスクリプション型サービスで、上場企業や中堅企業からリスクマネジメントに注力している中小企業まで幅広くお使いいただけます。
弊社としては16年ぶりのサービスリリースです。リリース日が待ち遠しかった一方で、市場からどのような反応をいただけるかとても緊張しています。
業務にあたる当事者による評価を実施、リアルタイムでリスクレポートを生成
企業のリスク評価には、コンプライアンス部による調査、外部コンサルティングによる調査など様々な手法がありますが、i-CRAS2は現場で業務に当たる社員が評価を行う「統制自己評価(CSA)」に基づくものです。当事者が評価を行うことで、第三者評価からは見えにくい、現場の体感にあったリスクを織り込むことができます。
i-CRAS2には17業種別のリスクテンプレートが用意されており(※加えて各企業独自の質問を10問まで追加設定可能)、評価者を3名(※オプションで最大1,000名まで設定可)選定します。評価が終わるとリスクが顕在化した時の損害額の推定や潜在リスクを可視化したリスクマップ、市場平均や業種平均と比較するベンチマーク比較のレーダーチャートなどを含む「リスクアセスメントレポート」をリアルタイムで取得することができます。
i-CRAS2の大きなメリットは、クラウドシステムなので非常にスピーディーなリスク評価が可能であること。
評価が完了していれば、リアルタイムでリスクレポートを生成できます。また、ワーストリスク10項目(オプションで20項目、30項目にも対応)に対しては専門家監修の対応方針も提供しているので、レポートを確認後に即座にリスクコントロールに着手することができます。
例えば、第三者評価によるリスク評価の場合、プロセスとして、まず該当ビジネスや部門の理解に始まり、関係社員複数へのヒアリング、課題を抽出した後に報告書を作成するというステップを踏むことになります。そして、時間を掛けて作成した報告書に対して彼らから改善プロジェクトの提案がなされる…となると、リスク評価を開始してからPDCAを回すまでに2~3年の時間を要することもあります。ビジネス環境の変化の速い昨今、そうしている間に新たなリスクが出現し、対応が追いつかなくなることも有り得ます。また、それなりの時間の人員稼働が発生するために高額なコストが掛かったり、予め誘導したい方向性がある場合には恣意的な方向性に誘導される可能性もあります。
リスクコントロールはスピードが最重要です。そのため、スピーディーなリスク評価を実現し、手頃な価格で提供するために必要に応じてリスク評価を即座に実施しやすいi-CRAS2の需要は非常に大きいと考えています。
16年ぶりのアップデート―サブスク型料金、スマホ対応、損害額算定…時代に即した更新
さて、サービス名末尾に“2”とある通り、”1”もあります。1である「i-CRAS」をリリースしたのは2007年のこと。自己評価に基づくもの、クラウドシステムであること、スピーディーな評価を実施できる点などはi-CRASも同様ですが、i-CRAS2は時代の変化に併せていくつもの大きな変更を加えています。
特徴的な変更点をここで紹介させてください。
その他にも大小様々な変更が加わっています。 サービスの詳細はプレスリリースをご覧ください:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000112350.html
リスク管理のプロフェッショナル、大手外資系損保と共同開発したプロダクト
i-CRAS2の紹介が長くなってしまいましたが、ここでi-CRASが生まれた背景をお話しさせてください。
私はもともと大手電機メーカーの翻訳部門の出身で、その経験を活かしてテクニカルライティングやマニュアル制作などを手掛けるドキュメントハウス社を設立しました。創業当時は、リスクマネジメントは扱っていませんでした。
転機は1995年の日本における製造物責任法(PL法)の施行でした。PL法とは、製品の欠陥によって損害が発生した場合、被害者が製造業者に対して損害賠償を請求できるとする法律です。製造業にとっては非常に大きな法律改定であり、日本国内で大きな注目を集めました。
実は、私は海外向けの製品マニュアルの企画や制作に携わっていたために、海外で既に施行されていたPL法について熟知していました。ある時、大手外資系損害保険から、その知見を活かしてクライアント向けに開催するPL法のセミナー講師をしてもらえないかと依頼されました。それがきっかけで彼らとのお付き合いが深まり、また、私が過去に財団法人と共同でパッケージソフトを開発した経験があったこともあり、彼らと共同で日本の上場企業を対象としたリスク評価のクラウドサービスを新たに開発することになりました。
今思えば、外資の大手が弊社のような小規模企業をパートナーに選んでいただけたことは、本当にありがたいことです。
そして生まれたのがi-CRASです。
リスクマネジメントのプロである損保の知見と、弊社のシステム開発・ドキュメンテーションのノウハウを結集して開発しました。
i-CRASは上場企業全般が対象ですし、会社法の改定やJ-SOX施行などによりリスクマネジメントへの意識が高まった時期でもありました。将来的に一層重要性が高まることが予想されるリスクマネジメントの分野でのプロダクト開発に強い使命感・期待感を持って取り組んだことを覚えています。
その後、無事開発が完了し、2007年にリリースを発表しました。上場企業と強固なネットワークを持つメガバンクとも販売で業務提携することができ、順調にビジネスを拡大していました。しかし、リーマンショックが発生したために、パートナーの外資系損保が日本での業務を縮小することになり、コンサルティング業務から撤退することになってしまいます。その影響で、弊社がi-CRASのアセットを引き継ぎ、弊社でサービスを提供することとなりました。
i-CRASは優れたプロダクトで、他の銀行やコンサルティングファームからも提携の申し出をいただくこともあり、当初の想定よりは事業規模は縮小することになりましたが、これまで継続することができました。
i-CRASリリースから約16年。その間にビジネス環境や価値観も大きく変わり、これまでにないスピードで新たなリスクが出現したり、より迅速な対応が求められるようになり、リスクマネジメントの重要性が大きく向上しました。このタイミングでi-CRAS2にアップデートしました。
私達の想い―i-CRAS2により、スピーディーな企業リスク評価を提供したい
先程もお話した通り、私達がi-CRAS2をリリースしたのは、よりタイムリーにリスク評価を行っていただきたいという想いがあります。
日々新たなリスクが出現する昨今、またコーポレートガバナンスコードの改定など企業を取り巻く規制後押しもあり、リスク管理の重要性は日々増していきます。その中で、従来のリスクマネジメントのように、リスク評価に時間を掛けて、さらに対策に2、3年と時間を掛けているようではいずれリスクへの対処が遅れることは有り得ますし、そもそもリスクマネジメント自体が陳腐化、形骸化してしまいます。
スピーディー、タイムリーにリスクを認識することができ、アドバイスを提供するi-CRAS2を使っていただきたいと思います。
今後は上場企業や上場を目指している中堅企業のみならず、そのグループ会社や傘下の中小企業などでも活用していただきたいと考えています。
令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成
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