松井至

映像の中と外でドキュメンタリーを作っている人です。 https://www.itarumatsui.com/

松井至

映像の中と外でドキュメンタリーを作っている人です。 https://www.itarumatsui.com/

    記事一覧

    『私だけ聴こえる』 プロダクションノート

    2015年のある昼下がり、シャワーを浴びながら昔読んだ詩の数行をふと思い出した。   おれは三日間音を殺してみた おれは三日間色を剥ぎとってみた おれは三日間形を毀して…

    松井至
    1年前

    実践的コロナ禍映像試論

    コロナ災害で炙り出された社会問題を記録し続けてきた。今、第三波がやってきてこれから社会がどう変わっていくのか、正直絶望的な予感しかしないけれど、僕がもっとも怖い…

    松井至
    1年前

    映像の外のドキュメンタリーを求めて。ドキュ・メメントを作った話。

    ドキュメンタリーという仕事がある。 他者を見つめ、聞きとりづらい声を拾い、人生を映像に凝縮して運ぶ。こんな仕事が社会にあるという不思議に戸惑い、朝、目が覚めたら…

    松井至
    3年前

    『私だけ聴こえる』 プロダクションノート

    2015年のある昼下がり、シャワーを浴びながら昔読んだ詩の数行をふと思い出した。   おれは三日間音を殺してみた おれは三日間色を剥ぎとってみた おれは三日間形を毀してみた     『おびただしい量』岡田隆彦   詩に倣って少しの間、音を殺してみる。水の滴る音、床を擦る足音、遠ざかる車の音…一切の音が聞こえない想像に身体を浸していたら、ちょうど書こうとしていた東日本大震災の番組提案と結びついて、津波の映像が無音で浮かんできた。迫りくる津波を遠景に、地鳴りも警報も叫び声も聞こえ

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    実践的コロナ禍映像試論

    コロナ災害で炙り出された社会問題を記録し続けてきた。今、第三波がやってきてこれから社会がどう変わっていくのか、正直絶望的な予感しかしないけれど、僕がもっとも怖いのは忘却することの方で何があったのか忘れてしまったら、未来の人が手にとれる記録がなかったら、次の世界が全く違ってくる。時代の片隅でドキュメンタリーという小さな営みをなんとかやっているだけの人間ですが、未来の人の視線に畏怖しつつ、制作に関して考えたことを少しづつ書き残しておこうと思います。 コロナの感染拡大が本格化した

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    映像の外のドキュメンタリーを求めて。ドキュ・メメントを作った話。

    ドキュメンタリーという仕事がある。 他者を見つめ、聞きとりづらい声を拾い、人生を映像に凝縮して運ぶ。こんな仕事が社会にあるという不思議に戸惑い、朝、目が覚めたらすっかりなくなっているんじゃないかと思うことがよくある。 ある国で十代の娘を撮影した。映像を見た彼女は「この私は、本当の私じゃない」と言った。ある国で革命が起きた。催涙弾の煙る中、学生たちは「私たちのことを世界中に伝えてくれ」と言った。ある晩、年配の友は「ごめんな、俺より辛い人が出てくるからドキュメンタリー観れないよ」

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