映像の外のドキュメンタリーを求めて。ドキュ・メメントを作った話。
ドキュメンタリーという仕事がある。
他者を見つめ、聞きとりづらい声を拾い、人生を映像に凝縮して運ぶ。こんな仕事が社会にあるという不思議に戸惑い、朝、目が覚めたらすっかりなくなっているんじゃないかと思うことがよくある。
ある国で十代の娘を撮影した。映像を見た彼女は「この私は、本当の私じゃない」と言った。ある国で革命が起きた。催涙弾の煙る中、学生たちは「私たちのことを世界中に伝えてくれ」と言った。ある晩、年配の友は「ごめんな、俺より辛い人が出てくるからドキュメンタリー観れないよ」