【全文無料公開】 『健康不安がなくなる本』 〜脳の設定を変える〜 #10

はじめまして。
ドクタームッシュこと、荘司です。
脳神経外科医をしております。
現在「設定医療」という医療を研究、実践しておりまして。設定医療研究会の中の一つのチームとして行なっております。そのほかにも農業チーム、研究チーム、教育チームがそれぞれ活動を行なっております。
医療を行なっている中でいろんなことがありますが、その本質を綴った本が、2018年10月にアマゾンにて電子書籍で刊行いたしました。
そして、この発売してまもない本を、版元であるニューロサイエンス文庫さんの許可を得て、noteで全文公開することにいたしました。
「医者に匙を投げられたけどどうしたらいいの?」
「自分のやりたい治療ってなに?」
そんなモヤモヤを抱えている人にぜひ読んでいただきたいと思っています。そして、新年からの治療のヒントになれば幸いです。
心に留まる文章があったら、どうぞ自由にコピペして引用して、議論のきっかけにしてください。


10.自分にはそこまで価値がない

僕はよく、自分には何の価値があるのだろうって思っています。末期のがんになった時に、自分にはどんな価値があるのだろうって。僕が言いたいのは、自分自身には価値がそこまでない、だとしたら、くだらないプライドや親戚の人に対する忖度とか、くだらないこだわりは一度捨てた方が、治療はうまくいくということなのです。そして、くだらないプライドやくだらないプライドがある患者ほど、何も見えていないなって思う患者が多いのです。

「俺は社長だぞ、だから絶対に治せ」とか言われても、もはや金があっても治せないものは治せない場合が多いのです。そのくだらないこだわりやくだらないプライドは治療の時にとても邪魔な存在になります。そもそも長年培ってきたそのプライドやこだわりが、がん細胞を作った可能性だってあるのです。そこは変えていかないと劇的な改善も見込めません。

人を批判する職業にはすい臓がんが多いという統計結果だってあるくらいです。メディアやリアルな情報に汚染されて、その結果として体と心が蝕(むしば)まれ、病気になったりします。その結果として盲目的になります。盲目的になると、何も見えなくなるわけだから、不安になります。そして、命という時間がどんどんすり減っていることに対する恐怖に支配されていきます。なので、最初から自分にはそれほどの価値はない、いわゆる、「無」や「空」だと日々考えていた方がいいってことと、あとは、言葉を変えて自分に素直になりなさいってことです。

関係ないかもしれませんが、オペラの創作に行き詰まっていたクロード・ドビュッシーは、「私はただ、無(リアン)を創作しつづけていた」とどこかに書いていましたが、無もまた有なり、なのかもしれません。

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