【全文無料公開】 『健康不安がなくなる本』 〜脳の設定を変える〜 #19


はじめまして。
ドクタームッシュこと、荘司です。
脳神経外科医をしております。
現在「設定医療」という医療を研究、実践しておりまして。設定医療研究会の中の一つのチームとして行なっております。そのほかにも農業チーム、研究チーム、教育チームがそれぞれ活動を行なっております。
医療を行なっている中でいろんなことがありますが、その本質を綴った本が、2018年10月にアマゾンにて電子書籍で刊行いたしました。
そして、この発売してまもない本を、版元であるニューロサイエンス文庫さんの許可を得て、noteで全文公開することにいたしました。
「医者に匙を投げられたけどどうしたらいいの?」
「自分のやりたい治療ってなに?」
そんなモヤモヤを抱えている人にぜひ読んでいただきたいと思っています。そして、新年からの治療のヒントになれば幸いです。
心に留まる文章があったら、どうぞ自由にコピペして引用して、議論のきっかけにしてください。

19.病気と争うような感覚はいらない

末期がんと宣告されたときに、普通の人が思う感覚は、「なんで自分の中にそんなものができてしまったんだ?」と感じるのが普通だと思います。

でも、考えてみてください。もともとがん細胞は自分の細胞が異常に増殖してアポトーシス(計画してそういうおかしな細胞を勝手に死なせるしくみ)ができなくなった状態です。なので、もともとがん細胞は自分の細胞なのです。

このような状態になった時、一番いらないのが「自分の病気と争う」という感覚です。僕が伝えたいのは、むしろ自分の病気と仲良くするってことです。

どうしてそういうことをいうかというと、人間とは本能的に争いを好む性質があるから、勝手に戦いたくなるのです。特に男の人にこの性質が強いと思います。そして、医療の世界もこのように仕向けていっていると思います。なので、病状説明の時に医者が一通り説明を終えたあとで、「安心してください! 一緒に病気と闘いましょう」などというわけです。
 
僕は、末期のがん患者が自分の病気と闘うという感覚をもって治療をしているときにいい結果がでた患者さんをみたことがありません。もっというならば、戦う意識というのは、交感神経が優位になってしまいます。そうすると、逆にがん細胞が大きくなってしまう、増えてしまうことが多いのと、免疫力が下がってしまうのです。

それよりも、がん細胞と仲良くしていく、という感覚をもった人の治療の方がうまくいくことが多いと思っております。それと、「意味のある治療」をしていくべき時期に、「無意味な治療」をしても意味がありません。

前にも書きましたが、自分の遺伝子を解析してその治療が本当に自分に有用なのか、検証してから治療を開始すべきだと思います。これにはメリットが二つあって、まずは効果があることを自分で確認してから治療をしているということと、無駄な薬を飲むことを避けることができるということです。薬には必ず副作用がありますから、体にいれる薬はなるべく減らしたいところです。

それと、人生の最後に何も治療をしないという選択肢を選ぶ患者さんがもっと増えてもいいと思っています。そしてその選択の方が、延命になり苦しまずに楽に逝けることもあると思うのです。ただ、人間は何も治療をしないとなると、とてつもない不安に襲われることも事実です。

無→不安 がうまれると、不安からよりどころを求め、そのよりどころは権威ある医者やブランド病院に求めます。そして、資本主義社会では権威ある病院やブランド病院というものは価値があるとみなされます。

価値=お金 なので、
治療法が無い→不安→拠り所→価値を求める→お金がかかる
というサイクルに巻き込まれていきます。

このサイクルに巻き込まれると、ほぼしっかりとした治療をしている時間もお金も無くなってしまいます。そして病気になった患者さんによっては、いままでの生活において、お金が「地位」、「資格」、「外見」、「実績」に直結していたので、全部お金で解決できると思い込んでいる場合も少なくなく、こんな状況であっても、そのお金から作り上げたものにしがみつく傾向にあります。

ただし、病気を治す治療というのはそういうものは一切関係なくなるので一度すべて捨ててみるべきだと思っています。実際に捨てるのでなく、意識上で捨てるという意味です。

そして、資本主義社会では治療法が無い人は、
治療法が無い→不安→拠り所→価値を求める→スピリチュアルな治療を開始
というサイクルに巻き込まれていきます。

もちろん、最後のスピリチュアルな治療も最後にはお金がかかります。なので、どうか死にかかわる病気になった時に、不安に駆られて世の中のシステムに巻き込まれ、自分がどのような治療をしたいのか、もしくはしたくないのかを冷静に分析することを見失わないでください。

つまり、平たく言えば、「資本主義の罠」にはまってだまされないでください。


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