【全文無料公開】 『健康不安がなくなる本』 〜脳の設定を変える〜 #15

はじめまして。
ドクタームッシュこと、荘司です。
脳神経外科医をしております。
現在「設定医療」という医療を研究、実践しておりまして。設定医療研究会の中の一つのチームとして行なっております。そのほかにも農業チーム、研究チーム、教育チームがそれぞれ活動を行なっております。
医療を行なっている中でいろんなことがありますが、その本質を綴った本が、2018年10月にアマゾンにて電子書籍で刊行いたしました。
そして、この発売してまもない本を、版元であるニューロサイエンス文庫さんの許可を得て、noteで全文公開することにいたしました。
「医者に匙を投げられたけどどうしたらいいの?」
「自分のやりたい治療ってなに?」
そんなモヤモヤを抱えている人にぜひ読んでいただきたいと思っています。そして、新年からの治療のヒントになれば幸いです。
心に留まる文章があったら、どうぞ自由にコピペして引用して、議論のきっかけにしてください。

15.不安を想像力に変える

僕は基本的に、患者さんを普通の人として仮定して治療を考えています。なぜなら、本にのっているがんから生き残った体験談を書いた人っていうのは、しょせん後づけであり特別な存在だからです。

社長になった人が「俺はこのやり方をして成功した」って自伝書を読んで真似しても、その人だから成功したわけで他の人が利用するとうまくいかないと考えています。

そして世の中ってものすごく不公平なのです。同じ治療をしても、みるみるうちに良くなってくる人もいれば、みるみるうちに悪くなっていく人もいます。そこには科学的な理由もあれば、それ以外の理由もあるような気がしています。

ここで重要なのが、医者が考える治療法は、治療のマニュアルやプロトコール(治療手順)と呼ばれるものがあって、個人個人の治療というよりは、その病気にかかった人を同じだと考えて治療を行っていることです。体重の補正はあるとしても、最近では90歳を超えた人にも同じ薬品を使ったりする病院もあります。全部ビジネスな感じがしてならないのは僕だけでしょうか?

でも、世の中を見渡してみると人には明らかに能力の差があります。一番目につきやすいのが学力、偏差値ですが、あれは受験勉強が得意な能力を持っている人たちの独壇場であります。

ただ、それと比べると唯一平等な能力が、「創造力」だと思います。これは人間誰しも先天的に持っている能力で、「適応能力」といいかえてもいいと思います。

患者さんをみていると、この「適応能力」だけはみんな平等にもっていると思います。なので、病気になった時にこの適応能力を使えばいいのですが、ほとんどの人がこの能力を使わずに、外部の情報や周囲の雑音に影響を受けるだけになってしまいます。その結果、病気になった自分に適応できていない場合が多いのです。

つまり、自分に向かない治療(その判断もできない)でもとりあえずやってしまうことが出てきてしまうのです。「不安」をそのままにして、選んだ治療方法と、「不安」を利用して行動し、その結果として選んだ治療方法は雲泥の差があると個人的には思っています。わかりやすく言えば、「受動的な治療」なのか「能動的な治療」なるのかの違いです。

不安を消すことが多くの人によって難しければ、その不安をエネルギーに変えて行動を起こし、結果を出した方がうまくいくにきまっています。

そして、自分を治す創造力、自分にあった自分だけの治療に変えていければいいのだと思います。自分の頭にできた手術不可能な脳腫瘍(のうしゅよう)を毎日戦闘機で攻撃した創造力を使った結果、腫瘍が完全になくなった患者さんもいるように、創造力は掘り下げれば掘り下げるほど油田のように湧きあがってくるものだと思います。

今は、普通の人でもネットによる情報と交通手段の発達により地元ではなく、都会、日本ではなく海外で治療をうけるなど、いろいろと行動できる選択肢が広がっています。

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