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11/10開催【ドコモベンチャーズピッチ】3Dプリンティングの今を知る~最新技術とその活用例をご紹介~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年11月10日(木)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】3Dプリンティングの今を知る
~最新技術とその活用例をご紹介~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、3Dプリンティング領域で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ4社をお招きし、ピッチをしていただきました。

・3Dプリンティングに興味のある方
・3Dプリンティング関連への投資や事業連携をご検討されている方
・新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
・最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:株式会社グーテンベルク

1社目は、グーテンベルク 李様にご登壇いただきました!

<株式会社グーテンベルク 代表取締役 李 丞株様>

株式会社グーテンベルク

・グーテンベルク社の事業内容

グーテンベルク社は、「3Dプリンターをはじめとするデジタル技術の可能性を探求し、設計者と加工者との架け橋となり、モノづくりの民主的な変革を実現する」をビジョンとして掲げ、3Dプリンター事業、新製品開発事業、設計・製造コンサルティング事業を行っている企業です。

・既存の3Dプリンターの課題とアプローチ

既存の3Dプリンターには、以下のような問題点が挙げられます。

・プリントのスピードが遅い
・使える材料が少ない
・技術サポートが少ない

これらの問題点に対し、グーテンベルク社は以下のようなアプローチを行いました。

・スピードを引き上げる機械設計と制御の実現
・特殊な添加物入りの複合材料を使用
・独自のエクストルーダーにより、扱いが難しいスーパーエンプラ(耐熱性の高いプラスチック)を一部出力可能に
・顧客のニーズから、ハードとソフトのマイナーアップデートを定期的に実施
・導入トレーニングの提供
・不具合原因の調査/開示

・3Dプリンター「G-ZERO」

「G-ZERO」は、従来の最大10倍の速さを有する、世界最速のFFF/FDM方式の3Dプリンターです。

多くの製品の造形時間を短縮

この製品の特徴は以下の3点です。

・市場製品で世界最速となる高速3Dプリンター(2022年6月時点)
・ユーザビリティを追求した筐体とソフトウェア
・開発チームによる日本語対応の安心サポート

G-ZEROは、他社の3Dプリンターと比べて、造形時間をおよそ1/4に短縮することができます。この高速性は、堅牢なボディと軽量のツールヘッド、先進的なソフトウェアにより実現されています。

G-ZEROの高速造形は以下のような価値をもたらすことができます。

[1] ラピッドデザイン・イテレーション
短時間で造形と設計を繰り返し、試作サイクルを加速

[2] 中量の生産手段
価格と販売個数に縛られずに、自由な製品の企画・販売を実現

[3] 時間的制約からの解放
限られた時間で試作品が即入手可能、さらにはこれまで外注するしかなかった試作品も手元で素早く手にすることが可能

グーテンベルク社は、2021年6月にG-ZEROのプロトタイプを開発し、2022年6月に販売を開始しています。このことからわかるように、開発・生産を素早いサイクルで行っています。現在は、大田区を中心とした加工業社と密接に連携しています。

20社を超える加工・部品調達業者が協力することで、ブラッシュアップを重ね、次機種の開発にも取り組んでいます。

■2社目:株式会社Oh my teeth

2社目は、Oh my teeth 秋山様にご登壇いただきました!

<株式会社Oh my teeth Product Div. Leader 秋山 美穂様>

株式会社Oh my teeth 秋山 美穂様

・Oh my teeth社の事業内容

Oh my teeth社は、従来の歯科矯正が抱える「通院回数の多さ」「金額の高さ」「継続の難しさ」を解決するために生まれた、日本初の歯科矯正D2Cブランドです。
テクノロジーに精通したメンバーと、歯科矯正専門家がタッグを組み、「未来の歯科体験」を生み出しています。

「未来の歯科体験」とは、以下の3つのことを指しています。

・通院不要
ストレスフリー
進化し続けるサービス

・Oh my teeth社のマウスピース矯正

Oh my teeth社は、歯科治療の中でもマウスピース矯正に注力しています。

マウスピース矯正とは、オーダーメイドのマウスピースを使用した歯科矯正治療方法です。現状よりほんの少し理想の歯並びに近いマウスピースに交換していくことで、少しずつ歯を理想的な位置に移動させます。

しかしながら、この矯正は毎日20時間以上マウスピースを装着している必要があります。このような長い装着時間を必要とするため、従来では、患者1人ではこの制約を守ることができず、定期的な通院で装着状況を確認する必要があり、矯正時間の延長にも繋がってしまっていました。

Oh my teethはこの悪循環を、未来の歯科体験によって解決します。

[1] 通院不要

LINEを通じた諸機能

Oh my teethでは、LINE上でコーチが応援メッセージやリマインド、進捗可視化などのサポートを行うため、原則通院の必要がありません。

また、歯並びの写真をドクターに共有することで、矯正計画通りに進捗しているかの確認をすることができます。そのため、来院の回数を最低1回に抑えることができます。

[2] ストレスフリー

Web上で簡単に歯形スキャンの予約を取ることができます。さらにクリニックに到着しても待ち時間はなく、診察スペースにすぐ案内され、ドクターの診察を受けることができます。

また、従来はマウスピース矯正を始めるまでに2ヶ月ほどかかっていましたが、Oh my teethでは2週間に短縮することができます。価格についても従来の矯正歯科治療では約100万円かかっていたのに対し、33万円に抑えることができます。さらに矯正期間も従来の1年から3ヶ月へと、短縮を実現しています。

これらの期間やコストカットを可能にしているのが3Dプリンターの技術です。3Dプリンターによって歯型を作り、そこからマウスピースを作成することができます。

[3] 進化し続けるサービス

様々な患者の治療データを集めて分析することで、治療のポリシーを改善し続けています。これにより治療の品質を高めています。

また、プロダクト改善チームは、ドクター・歯科技工士・エンジニアがワンチームとなることで、改善の検討から実行まで迅速に行うことができます。

■3社目:株式会社crossDs japan

3社目は、crossDs japan 諏訪部様にご登壇いただきました!

<株式会社crossDs japan 代表取締役 諏訪部 梓様>

株式会社crossDs japan 諏訪部 梓様

・crossDs japan社の事業内容

crossDs japan社は、「AYAME」「菖蒲」というブランドを展開しており、一人一人専用に木型(靴型)から作るオーダーメイド3Dシューズを、メンテナンス付きのサブスクリプションで提供している企業です。

社名のcrossDsには、「『D』達を『cross』する者であれ」という想いが込められており、『D』達とは以下のことを指します。

・Dimension (次元):2Dから3Dへ、3Dから4Dへ
・Domain (領域):3D技術を靴業界へ、日本から世界へ
・Dream (夢):マスカスタマイゼーション、新たな顧客価値の創造

crossDs japan社は、従来40万円ほどの料金が必要だったオーダーメイドシューズを、3Dプリンティングの力によって6万円から提供することを可能にしました。

・「AYAME」について

crossDs japan社は、ブランド「AYAME」で「5 HAPPY SHOES」の提供を目指しています。AYAMEは、主にパンプスを提供するブランドです。

[1] 靴が足に合わなかったお客様がハッピー:人類史上最高に足に合う靴を

従来のオーダーメイドシューズは、足裏の外形と何箇所かの外周のみを計測するだけであるため、靴型を作るには職人の経験と勘によるところが大きいです。さらに靴型の完成には通常3ヶ月以上かかりますが、crossDs japan社は、1mm以下の精度の3Dスキャン・コンピュータの力を用いることによって、1時間ほどで靴型を作成可能にしています。

この方法は再現性が高いことも特徴です。特にパンプス(ハイヒール)は木型が重要となるため、AYAMEでは、顧客の9割がパンプスを購入しています。

[2] お財布がハッピー:お財布にやさしいメンテ付きサブスク

AYAMEでは、1年間修理し放題というサブスクリプションがついてきます。特に、すり減りやすいヒールのリフト交換や中敷交換などを無制限で受けられます。

この仕組みではメンテナンスを受けるほどにお得になるため、高い靴でも気軽に履くことができます。

[3] 欲しい靴が売っていなかった人がハッピー:男女共に誰でも履ける

パンプスは女性が履くものというイメージが強く、店頭では男性用サイズのパンプスはあまり見られません。しかし、オーダーメイドのパンプスであれば性別を問わず自分に合ったものを履くことができます。

実際に、crossDs japan社の男性社員は、木型や靴作りの評価のために自分のパンプスを履きこなしています。近年では特に、LGBTQの方が多く来店しているそうです。

[4] 地球にハッピー:材料もエシカルに

AYAMEのパンプスの製品イメージ

靴型の材料はPLA樹脂 (ポリ乳酸) という、トウモロコシなどの植物由来の材料を使用しています。そのため、コンポストなどにより、時間をかけ自然に分解することができます。

また、最近は靴に、個体数管理によって捕らえられ、処分されているエゾシカの皮を使い始めています。その皮は5%も流通していませんが、環境に優しいだけでなく、個体ごとの柄も異なるためデザイン性も高いです。

[5] 産業界がハッピー:無駄な生産をしない新しい仕組み

靴はサイズの関係上、服以上に多くの種類を生産しなくてはならず、それに伴って廃棄も多く発生しています。

これを受注生産にすることで、在庫なしで全てを売り切ることができます。最近ではB2B2Cサービスとして、在宅で3D計測&オーダーができる仕組みの提供を開始しました。

■4社目:インスタリム株式会社

4社目は、インスタリム 徳島様にご登壇いただきました!

<インスタリム株式会社 CEO 徳島 泰様>

インスタリム株式会社 徳島 泰様

・インスタリム社の事業内容

インスタリム社は、3Dプリンティングおよび機械学習 (AI) 技術を活用して、超低価格(従来の1/10以下)の3Dプリント義足を開発・製造・販売するスタートアップ企業です。開発途上国の糖尿病患者への義肢装具のデジタル製造&D2Cビジネスを行っています。

・糖尿病による被害

糖尿病は無症状で進行するため、特に定期的な健康診断などがない発展途上国においては、糖尿病性壊疽による下肢切断が多発しています。この下肢の切断が多発する理由に関して、以下の理由が挙げられます。

・定期検診などがない
・医師による診察を受けることが貧困層には難しい
・炭水化物(糖質)に偏った栄養の偏り、栄養知識・教育の不足

インスタリム社によれば、開発途上国を中心とした約9,000万人の人々が、義肢装具を利用できていない状況だそうです。
このような大きな市場があるにも関わらず、開発途上国まで義足が普及してこなかった理由として、以下の2つが挙げられます。

[1] 職人によるアナログかつ高コストな制作ワークフローを要する点
・高度な医学や工学の融合知識を有する
・1本あたり2~3週間かけて組み立てる手作業
・初期費用が1,000万円以上の高価な設備類

[2] 多くの場合、移動ができない者が顧客である点
・都市圏の病院などに通うことが困難
 ・身体的:移動が難儀
 ・金銭的:家族に頼りづらい立場
 ・精神的:学習的無力感のハードル

そこで、インスタリム社は、3Dテクノロジー・AIを用いた遠隔製造・D2C販売ソリューションの組み合わせによって、初めて「途上国 × 中間層以下」という環境の市場化に成功しました。

・インスタリム社の強み

インスタリム社のコア・コンピタンスは以下の通りです。

[1] プロダクト:デジタル製造による3Dプリント義足

3D-CADソフトを用いて実際に義足を制作している画面

インスタリム社で専用に開発した3D-CADソフトと3Dプリンターにより、従来2~3週間かかっていた製作プロセスが、最速24時間で済むようになりました。

[2] ビジネスモデル:D2C+途上国の移動が困難な患者に対面直接販売

まず、下肢切断者というニッチな潜在顧客に向けて、Google Ads・ Facebook・Instagramなどを用いたターゲティング広告を行ってリード獲得します。そこからLP・チャット・電話営業にてコンバージョンを得るというD2Cの形態が、売上の90%以上を占めています。

3Dスキャン・試着のみをローカル・アナログで行い、集客・製造・サポートはデジタルで実現することにより、患者ごとのカスタマイズ商材を、スケール展開できるビジネスモデルを実現しています。

このようなソリューションに基づき、ほとんどの断端形状をカバーできる2種類の義足を、フィリピンおよびインドの世帯所得別にリリース済みで、今後更にラインナップを拡大していく予定です。

まとめ

今回は、3Dプリンティング関連の代表的な4社のお話をお聞きしました。

3Dプリンティングによって、今まで造形の難易度が高かったものが、安価に素早く手に入れられるようになってきました。特にマスカスタマイゼーションが実現可能になったのが、市場拡大の大きな要因の一つであると考えられます。

これからも3Dプリンティング技術の発展に注目していきたいですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます。

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら

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