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1/12開催【ドコモベンチャーズピッチ】サステナブルが当たり前の世界~リサイクル/ゴミ/廃棄問題と真剣に向き合う~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年1月12日(木)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】サステナブルが当たり前の世界~リサイクル/ゴミ/廃棄問題と真剣に向き合う~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、サステナブル領域で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ5社をお招きしピッチをしていただきました。

・サステナ系のサービスや課題に興味のある方
・インパクト投資やESG投資をご検討されている方
・普段の生活の中で自分に何が出来るか考えている方
・新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
・最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:株式会社esa

1社目は、esa 黒川様にご登壇いただきました!

<株式会社esa 代表取締役 黒川 周子様>

株式会社esa 黒川 周子様

・esa社の事業内容

esa社は、「テクノロジーとクリエイティブで、廃棄プラスチックゼロを目指す。」をミッションとし、今まで燃やされていた複合プラスチック端材を製品原料として再利用するマテリアルリサイクルを行い、再生ペレットとして再資源化し、CO2削減に貢献している企業です。esa(イーサ)という社名は、Environmental Solutions Architectの頭文字に由来しています。主に、プラスチックリサイクルの技術革新と市場開拓に取り組んでいます。

・プラスチックリサイクルの現状

近年は、カーボンニュートラル/SDGs/ESG投資などといった言葉が社会に浸透しており、プラスチックは1つの社会的なトピックになっています。
ところが、国内プラスチックの50%以上は、排熱を回収しエネルギーとして利用されるサーマルリサイクル(熱回収)が行われています。焼却の際にはCO2が発生するため、国際社会ではリサイクルだとは認められていません。

ではなぜ、サーマルリサイクルがいまだに大きな割合を占めているのでしょうか。プラスチック材料は、単一素材と複合素材に分けられます。単一素材の再資源化は各社取り組んでいますが、複合素材においては異なる融点の素材が混ざり合っているため、再資源化が難しく、サーマルリサイクルをするのが効率的だと考えられてきました。また、専門業者に買い取ってもらっていても、セメントや燃料に使われる場合が多々あり、CO2の排出に繋がってしまうこともあります。

このような課題を解決するための取り組みを行っているのが、esa社です。

・再生プラスチックペレットの製造

esa社は、燃やされていた複合プラスチック端材をマテリアルリサイクルし、「Repla®︎」という商標の再生ペレットとして再資源化しています。

これを支えているのが他社にはない以下の技術です。

1. 特殊なスクリュー構造による強力な混練技術
2. 1800トンの処理で培った熱と圧力の調整技術

Replaによる既存のプラスチック製品の代替活用は以下のようなものが考えられています。

インフレーション成形(レジ袋/ゴミ袋など)
射出成形(パレット、文具など)
真空成形(容器など)
押出成形(建材、フィルムなど)
ブロー成形(ボトル、チューブなど)
スパンバンド成形(不織布など)

Replaによる既存製品の代替活用法

esa社がリサイクルすることで従来の焼却処分に比べて、CO2を約40%削減でき、プラスチック排出元企業に対して、環境貢献・コスト貢献を図ることができます。

今後は以下のことに取り組み、CO2削減・プラスチック廃棄のない世界へ貢献していきたいとお話しいただきました。

・対応できるプラスチックの種類を増やしながら、拠点を全国+海外に展開
・esa社の機械製造技術を生かしてリサイクル製品の開発に取り組む
・排出元企業に、再生効率の良いリサイクルコンサルティングサービスを提供

■2社目:株式会社バイオマスレジンホールディングス

2社目は、バイオマスレジンホールディングス 奥田様にご登壇いただきました!

<株式会社バイオマスレジンホールディングス 執行役員 奥田 真司様>

株式会社バイオマスレジンホールディングス 奥田 真司様

・バイオマスレジンホールディングス社の事業内容

バイオマスレジンホールディングス社は、「持続可能な社会への構造転換を実現すべく、グローバルや学術研究の最先端議論を踏まえたアイデアを創造し、”お米×テクノロジー”で社会課題解決を目指す」をミッションとして掲げ、以下の4つの事業を行っています。

1. バイオマスプラスチック及び生分解性プラスチックの製造
2. 耕作放棄地を活用したバイオマスプラスチック用の資源米の生産と地域農業の活性化
3. ライスレジンをはじめとするバイオマスプラスチックのR&Dや製造装置の開発
4. SX(Sustainability Transformation)のコンサルティング/プロデュース

・環境問題への取り組み

バイオマスレジンホールディングス社は2つのソリューションで環境問題への取り組みを行っています。

1. 非食用米を使ったバイオマスプラスチック”ライスレジン”
非食用米(古米/破砕米/屑米)と石油系プラスチックを掛け合わせ、バイオマスプラスチックを生み出すことでCO2とフードロスを削減。約20年に及ぶ技術開発を経て、独自の混錬技術を確立。

2. 日本発のお米由来の生分解性樹脂「ネオリザ」
2022年12月現在、関連・周辺特許含め7件出願及び申請中。

バイオマスレジンホールディングス社は、令和3年に策定された「バイオプラスチック導入ロードマップ」に沿う形で事業を進めています。令和4年には、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、使い捨てプラスチック製品の削減が義務化されましたが、バイオマスレジンホールディングス社は対応する製品のほとんどを代替素材での商品化に成功しています。
ライスレジンの製品化事例は以下のようなものがあります。

・ゴミ袋、ショッパー、パックご飯包装
ランチボックス、スプーン、お箸
ボールペン、クリアファイル
おもちゃ、SDGsバッジ

製品化事例

最近では、モスバーガー全店舗でライスレジン製のスプーン・フォークの使用が決定されました (2023年秋〜)。そのほかにも地域・イベントとの連携も進んでいます。

・全国に広がるライスレジンの原料米

農業従事者の減少・コメ需要の低下などにより国内の耕作放棄地は東京都の面積の約2倍まで拡大しています。バイオマスレジンホールディングス社は、このような耕作放棄地を活用して、ライスレジンの原料となるお米づくりをしています。現在は国内4箇所、約30haまで拡大しています。

耕作には、単位作付面積あたりの収穫量が一般的な品種の1.5倍となる超多収新品種「さくら福姫」を活用したり、1度の田植えで2回収穫できる栽培技術の再生二期作を取り入れることで、栽培効率の向上を図っています。

今後は、国内での事業拡大に加え、地域資源・食品ロスを活用したバイオマスプラスチック製作も計画しています。

■3社目:トライシクル株式会社

3社目は、トライシクル 山本 様にご登壇いただきました!

<トライシクル株式会社  (所属:サイクラーズ株式会社) 経営企画部 山本 温人様>

トライシクル株式会社  (所属:サイクラーズ株式会社) 山本 温人様

・トライシクル社の事業内容

トライシクル株式会社は、サイクラーズグループの会社の1つであり、「サーキュラーエコノミーを追及する」をビジョンに掲げています。グループ内では、ITサービス事業をに担っています。

・産業廃棄物業界の実情

産業廃棄物は毎年膨大な量の不法投棄や不適切処理が起こっており、産業廃棄物の処理を巡って行政処分を受ける会社も多いです。また、まだ使えるものも捨てられてしまっているという現状もあります。

まだ使えるものが廃棄されている
コンプライアンス意識が低い
ITリテラシーが低い

このような課題のもと、産業廃棄物処理を行う当事者として、産業の課題をテクノロジーによって解決したいという想いを持ってサービスを提供しています。

・世界初 B2B サーキュラーエコノミー対応プラットホーム「ReSACO」

サービスの1つ目が「ReSACO」です。

ReSACOは、企業の使わなくなったモノを最適な方法と価格で売り、そのモノを最適な形で必要な方に提供するマッチング機能と、資源リサイクル&廃棄物処理を効率化、最適化する機能を持った世界初のB2Bサーキュラーエコノミー対応プラットフォームアプリです。

これまで企業の方が不要になったものを手放す方法として、リサイクル業者に買い取ってもらう、産廃業者に引き取ってもらう、粗大ゴミに出すなどが主な方法でした。しかし、想像以上の時間や費用がかかってしまったり、複雑な法体系や何が最良か判断することが難しく、上記の対応となってしまう事が多くありました。

ReSACOは、そのような企業の悩みを解消するとともに、トライシクルのビジョンでもあるサーキュラー・ エコノミーの実現に向けて、資源をできる限り資源とする流れを作るプラットフォームです。

・廃棄物業界における電子契約

産業廃棄物業界において、産廃処理委任契約の電子化は認められています。社会的にも電子契約を導入もしくは検討している会社は多いです。しかし、産廃業界のおいては普及があまり進んでいないのが現状です。
この理由としては、

個々の契約に参加する利害関係者が多い(排出事業者/収集運搬業者/管理会社/処分業者)
関連法令が複雑で契約書作成そのものが困難

などが挙げられます。
そのため、誰でも・安心して・簡単に利用できる電子契約サービスが求められます。

トライシクル社は、このような需要に対して、電子契約サービス「EcoDraft」を提供しています。

・EcoDraft with CLOUDSIGN

「EcoDraft with CLOUDSIGN」とは、 弁護士ドットコムの運営するクラウドサインを利用し、産廃・建廃に特化した電子契約の締結が行えるサービスです。API連携を行っているため、作成した電子契約書をシームレスに合意締結まで行うことができます。

「EcoDraft with CLOUDSIGN」の電子契約の概略

具体的には、以下のような特徴があり、誰でも・安心して・簡単に利用できます。

関連法令を網羅した多種多様な契約書ひな形を提供
契約書の作成・締結・管理を「EcoDraft」で実現
廃棄物処理業者だからこそわかる使い勝手にこだわった仕様
シェアNo.1の電子契約サービス「CLOUDSIGN」と連携
相手側はメールの受信のみでサービス加入は不要
契約に係るコスト(手間・経費)を大幅に削減

これらのサービスを通して、業務の効率化・管理の最適化・顧客満足度の向上を目指しています。

■4社目:株式会社yuni

4社目は、yuni 内橋様にご登壇いただきました!

<株式会社yuni 代表取締役社長 内橋 堅志様>

株式会社yuni 内橋 堅志 様

・yuni社の事業内容

yuni社は、「素材の廃棄をなくし、日本を廃棄大国から資源大国へ。」をビジョンに掲げ、寝具等の綿・羽毛・ウレタン・ブレス製品の引き取りと再生素材化と再生素材を使用したブランド運営を行っている企業です。
会社の設立にあたっては、内橋様の実家が寝具メーカーだったことから、高校在学時から実家の寝具事業の手伝いを始め、寝具の廃棄問題に関心を持ったことがきっかけになっています。

・お布団の死

日本で焼却廃棄されている寝具は、年間1億枚であり、1人1枚毎年捨てている、ということになります。廃棄された寝具は灰と二酸化炭素になり、埋め立てられます。
これだけ廃棄されている寝具ですが、実は天然素材の宝庫であり、羽毛布団1枚に水鳥200羽分の羽毛、綿布団1枚に綿畑100坪分の綿花が使用されています。

現状は寝具のリサイクル率はたったの2%ほどであり、他の製品に比べても非常に小さな割合です。
そこで、yuni社は寝具の廃棄をなくすだけではなく、莫大な資源へ変えていくという目標を掲げ、事業を展開しています。

・susteb

yuni社は、廃棄される寝具等の綿・羽毛・ウレタン・ブレス製品を回収し、素材として再生する「susteb」というサービスを提供しています。寝具を作るだけではなく、サステナブルな業界構造へ変えていくため、素材を循環させる仕組みを提案しています。

寝具の素材と再生材

sustebの特徴は以下の通りです。

1. 寝具の引き取り
寝具の廃棄に最も困っているのが地方の自治体です。全国の自治体から依頼を受けています。関東圏でも現在実証実験を開始しています。また、自宅への引き取りサービスや提携店舗へ寝具の持ち込みも可能となっています。総引き取り枚数は15万枚以上となっています。
2. 再生素材化
回収された多種多様な素材を選別し、独自の技術で洗浄・滅菌した後に再素材化します。このプロセスによって生み出された素材は、他社素材に比べ40%コストダウンすることができます。また、その再生率は90%を超えています。
3. 活かす
再生素材を活用した他者とのコラボ製品、自社ブランドを展開しています。

・ポストコロナの再生素材

コロナを機に悪習を一掃し、持続可能な製造方法に切り替える動きが活発になっています。
これまでは顧客に届けるまでのサプライチェーンを最適化することに重きが置かれていましたが、現在は再生を前提としたサプライチェーンの構築に変わりつつあります。

この新しいサプライチェーンにおいて、yuni社は顧客からの引き取りや再生素材の提供だけでなく、再生率の高い製品作りをサポートしています。これから高い再生率を持つ製品を扱う企業が競争力を増していく中で、回収と再生技術で企業を強く、強靭なサプライチェーンにGX(グリーントランスフォーメーション)していきます。
これによって、廃棄を前提とした業界構造を変え、業界変革を推進し、再生率100%を目指します。

■5社目:株式会社ピリカ

5社目は、ピリカ 小嶌様にご登壇いただきました!

<株式会社ピリカ 代表取締役 小嶌 不二夫様>

株式会社ピリカ 小嶌 不二夫様

・ピリカ社の事業内容

ピリカ社は、「科学技術の力であらゆる環境問題を克服する」をビジョンとして掲げ、車両を活用したゴミ分布調査サービスと、海洋ごみを原料としたプラスチック製品の開発を行っている企業です。

・ごみの自然界流出問題

ごみ(特にプラスチック)の自然界への流出が無視できない規模になってきています。「2050年には海を漂うプラスチックごみが海を漂う魚の重量を上回る」との予想もあります。最近の国際社会では、海だけでなく、陸を含むあらゆる自然界へのごみの流出が問題視されるようになりました。
このような課題に対してピリカ社は、流出ごみの調査・回収・再資源化に貢献する実証済みのソリューションを提供しています。

・ポイ捨て調査サービス「タカノメ(Takanome)」

「タカノメ」はポイ捨てごみの分布や深刻さを調査するサービスです。ポイ捨て対策施策の効果測定や改善提案を通じて、きれいな街づくりに貢献します。AI×スマホ×自動車でごみ流出問題のものさしを作ります。
調査は以下の流れで行われます。

1. 車のダッシュボードにスマホを取り付ける
2. 機械学習で路上のごみの数量を分析
3. ごみの分布をヒートマップで見える化(既に16万km、地球4周分を調査済)
4. データを用いて自治体がごみの流出抑制や回収活動を効率化
・予算分配:どの地域に予算を集中させるべきか
・効果測定:効果の高いのはどの取り組みか

システムを利用する自治体のみならず、社会貢献活動をPRする企業から撮影データ・端末利用料として収益を得ることができます。

・ごみ拾い促進プラットフォーム「ピリカ(Pirika)」

「ピリカ」は、ごみ拾いを楽しく、続けやすく、SNSの力で世界中のゴミを拾い尽くすことを目的としたプラットフォームサービスです。
ごみを拾い、ピリカのプラットフォーム上で発信すると、「いいね!」で感謝されたり、活動を通して仲間が増えていきます。

アジア全域で利用される「ピリカ(Pirika)」

ピリカは以下のような実績があります。

116の国と地域での利用
のべ200万人の参加者数
2.7億個のごみを回収

自治体や企業に対しては、SaaS形式でサービスを提供することで収益を得ています。自治体では清掃活動のDXツールとして、企業のCSR部門では清掃活動の管理・PRツールとして活用されています。

・流出懸念ごみのアップサイクル

日本では、ごみを回収した人が処理コストを負担しなければならないという構造になってしまっています。そのため現場では、処理費を負担できないため、活動を継続できない場合も多いです。
そこで、回収したごみを資源として活用できないか、コストを解消することで活動をさらに活発にできないか、という想いのもと再資源化事業が生まれました。
特定のプラごみを回収し、製品の原料として活用し、ごみを有価で買い取れる仕組みになっています。完成した製品は、QRコードで誰がどこで拾ったごみでできた製品かを把握できるようになっています。

今後は、地球規模でごみの流出をゼロにするため、まずはタカノメの海外での普及に取り組んでいく予定です。

まとめ

今回は、サステナブル関連の代表的な5社のお話をお聞きしました。

どのサービスも地球に優しく、画期的なものばかりでした。サステナブルな世界の実現が非常に楽しみですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら

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