2/7開催【スタートアップピッチ】ヘルスケアスタートアップ最前線 ~注目市場フェムテック関連4社をご紹介~イベントレポート
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年2月7日(月)に行われたイベント
【スタートアップピッチ】ヘルスケアスタートアップ最前線
~注目市場フェムテック関連4社をご紹介~
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントでは、妊娠や出産、更年期など女性特有の悩みを解決するフェムテック領域を変革する注目のスタートアップ4社をお招きし、ピッチをしていただきました。
・スマホアプリやデータ解析技術を活用した、最新のフェムテックサービスに興味のある方
・ヘルスケア先進地である欧米で注目を集める女性医療のサービスを知りたい方
に特に必見の内容となっていますので、ぜひ読んでみてください!
■1社目:株式会社TRULY
1社目は、TRULY 二宮様にご登壇いただきました!
<株式会社TRULY 代表取締役CEO 二宮 未摩子様>
・TRULYの事業内容
TRULY社は「更年期、膣ケア、性の悩み」などに応えるオンライン相談サービス「TRULY」を提供しています!
「閉ざされた悩みに向き合い、男女が理解し合える社会へ」というミッションを掲げ、フェムテック領域の中でも、”更年期”の症状にフォーカスしてサービスを展開している会社です。
実は、日本では女性の2人に1人が40代以降のホルモン分泌量の変化による健康課題(更年期障害)を抱えていると言われています。
また、大塚製薬などが協賛している『ホルモンケア推進プロジェクト』で行われたアンケ―トによると、約7割の女性が更年期関連の健康課題により管理職への昇進に足踏みした経験がある、と回答しています。更年期の症状はマネジメントにおける責務が発生する働き盛りの時期に発生するため、多くの女性がキャリアとの両立に苦しんでいるのが現状です。
更年期の症状に苦しむ女性は、世界に約13億人いると言われており、近年はフェムテック分野の中で、更年期の課題解決に特化した「メノテック」という新たな市場も誕生しており、急成長を遂げています。
また最近は、女性の更年期障害だけでなく、男性の更年期障害にも注目が集まっています。女性の更年期では月経異常やのぼせ、発汗、疲労感などといった症状が多く見られる一方で、男性の更年期では中性脂肪・皮下脂肪の増加、動脈硬化など、病気に関わるリスクが高い症状が多いのが特徴です。
このような更年期症状に苦しむ人に対し、オンライン相談サービス「TRULY」では3つの観点から様々なサービスを提供しています!
・「知る」:女性医師や専門家による健康リテラシーに関するコンテンツをセミナーや動画、記事の形式でアプリ上に掲載しています。
・「調べる」:医師や専門家監修のセルフチェック機能により、現在の心やからだの悩みの状態を確認できます。
・「相談する」:人に話せない、病院に行くべきか分からない、といった悩みに対し、医療の専門家が親身に寄り添い、相談に応じてくれます。
これらのサービスは、宋美玄先生を中心とした、高い知名度と豊富な実績を誇る女医・専門家チームが監修しています。
現在のマネタイズ方法については、アプリ有料会員からの課金と、企業向け福利厚生サポートやコンテンツ作成、コンサルティングサービスの料金をいただくことでマネタイズをしています。
今後は、TRULYに集まる会員のリアルなデータを活用し、企業向けに商品開発サポート、マーケティング支援など行い、一つのマネタイズポイントとすることを考えられています。
今後一人でも多くの働き世代が更年期症状と上手く付き合い、自身のキャリアを築いていける未来が訪れることが期待され非常に楽しみです!
■2社目:株式会社ファミワン
2社目は、ファミワン 石川様にご登壇いただきました!
<株式会社ファミワン 代表取締役CEO 石川 勇介様>
・ファミワンの事業内容
ファミワン社は、不妊症看護認定看護師を中心に妊活の専門家がLINEを使って相談や、アドバイス、情報を提供する妊活コンシェルジュサービス「famione」を提供しています!
厚生労働省の調査によると、妊活治療を理由に退職した女性は16%、
退職・雇用形態の変更、または不妊治療の中断をした女性の割合は35%に上ります。
夫婦の3組に1組が不妊治療と仕事を両立できていないのが現状です。
このような課題に対し「famione」は次のような簡単なステップで妊活治療の支援を行っております。
①LINEで友達登録をする
②妊活チェックシートに回答する
③妊活の専門家に質問すると、2~3日後にアドバイスや不妊治療に関する回答が無料で届く
④妊活治療を開始する場合や転院に関して、妊活の専門家が病院選びをサポートする
質問への回答や無料相談は、妊活の専門家である不妊症看護認定看護師や臨床心理士・培養士が対応しています。
不妊治療は各医療機関で方針や料金が異なっているため、病院選びが非常に複雑だと言われていますが、famioneでは、各病院の治療方針や治療実績、仕事と治療の両立の観点など様々な選択基準で病院を比較・提案し、女性の妊活支援を行っています。
顧客アンケートでは、93%ものユーザーが「次もアドバイスを受けたい」と回答しました。
今後の展望としては、一般ユーザー向けのサービスだけでなく、企業向け福利厚生サポートにも力を入れていきたいそうです。
これまで既に多くの大企業がファミワンの妊活サポートサービスを導入してきました。導入していただいた企業の従業員には、通常月額3,980円のところ、無料で何度でも妊活に関する個別相談を実施しています。
同時に、妊活の課題を組織全体に浸透させていくために、管理職の研修や全社セミナー等を開催し、啓発活動にも積極的に取り組んでいます。
長期的な展望としては、妊活支援や啓発活動だけでなく、育児全般、医療機関の予約、創薬、海外への事業展開も進めていきたいそうです。
既にfamioneのサービスには2万人以上のユーザーが登録しているそうですが、妊活支援に対するニーズを踏まえると、今後さらにサービスが拡大していくことが期待できます!
■3社目:vivola株式会社
3社目は、vivola 角田様にご登壇いただきました!
<vivola株式会社 代表取締役CEO 角田 夕香里様>
・vivolaの事業内容
vivola社は、女性の健康課題に関するデータを解析し、AIで健康状態を見守るサービス「cocoromi」を提供しています!
日本は世界トップの体外受精大国であり、その件数は年間45万件に上ると言われています。
また、産みたくても産めない女性が50万人以上存在し、潜在的な人数も含めると100万人以上に上ると推測されています。
このような課題に対して、vivola社が提供するサービス「cocoromi」について具体的に見ていきましょう!
サービスの特徴は3つあります。
①治療スケジュールと治療ログが一括管理できます。
・不妊治療は、血液検査などで通院する頻度が高く、毎回の検査でホルモン値や採卵のデータ、精子データなど多種多様なログが取得できます。それらのデータを記録、管理しやすい仕様になっています。
②治療の統計・同質・パーソナルデータを徹底的に分析できます。
・体外受精成功者の統計データや自分の体質に似た人の比較データ、自身の治療ログを比較することで、自分にあった不妊治療を考える材料として活用していただいています。この点がvivola社の他社との一番の差別化ポイントと言えるでしょう。
③患者限定のSNSや病院検索で情報収集ができます。
・同じ悩みを持つ患者同士がトークルームで気軽に質問を投げかけたり、情報交換をすることができます。また、医師へのインタビューコンテンツの閲覧や病院検索などの機能も備えています。
マネタイズについては、初期フェーズでは不妊治療患者のデータ収集を優先するため無料提供を行い、次フェーズ以降で、ユーザーをある程度獲得してから、医療機関に対して病病連繋システムや類似症例データベースの導入を進め、医療機関からサービス料をいただく形でのビジネスモデルを考えています。
医療機関向けのサービスとして、病病連携システムや類似症例データベースを現在開発中です。これらのサービスと先程紹介したアプリ「cocoromi」は事業シナジーが高いと考えています。
まずC向けにスマホアプリ「cocoromi」を提供し、サービスの認知度向上やユーザーの囲い込みを図ります。次に、ユーザーを病院に送客することで、医療機関に病病連携システムを高い頻度で使用してもらい、システム導入の効果を最大化します。最後に、医療機関に類似症例データベースを活用してもらうことで、医師の経験測にプラスして、患者の治療ログのデータ分析結果を踏まえた各患者にあった不妊治療を提供することで、より患者から選ばれる医療機関になれるように支援していきます。
今後の展開戦略としては、2つの方向性を考えているそうです。
1つ目は、本日説明してきた不妊治療サポート事業を国内に限らず、海外(特に中国や東南アジア)のマーケットにも展開することを考えています。
2つ目は、女性ホルモンに関するデータを蓄積し、女性医療領域全体に広げていきたいと考えています。進捗中の取組みとしては、不妊の原因の1つである子宮内膜症に関する治療法について、国内で最多の症例を持つ総合病院と提携し、患者のデータ解析を行い、個人にあった治療法を提供できるよう研究開発を進めています。
データ解析というテクノロジーを駆使することで、不妊に悩む多くの女性が自分にあった医療機関や治療方法を選択でき、女性のライフステージにおける健康課題の解決に向けて大きく前進することが予想されます!
■4社目:株式会社グレイスグループ
4社目は、グレイスグループ 勝見様にご登壇いただきました!
<株式会社グレイスグループ 代表取締役CEO 勝見 祐幸様>
・グレイスグループの事業内容
グレイスグループ社は、不妊治療大国と言われる日本において「卵子凍結」をより身近な選択肢として捉えてもらうことを目指し、卵子凍結保管サービス「Grace Bank (グレイスバンク)」を提供しています。
日本ではまだ馴染みの薄い「卵子凍結」の領域ですが、既に欧米では一般的に行われている女性医療の一つになっています。特にアメリカでは、2014年のFacebookを皮切りに、GAFAなどの大手企業がその有用性を高く評価し、福利厚生制度としての普及が進み、2020年には社員数2万人以上の企業の19%が導入をしています。
不妊と年齢の関係性について、体外受精による出産率は卵子の加齢が大きく影響していることが分かっています。つまり、医学的には卵子が若ければ母体が高齢になってもかなりの出産率を維持できます。これは、出産適齢期の卵子の質が高く、染色体異常の発現率が低いことによるものです。
それでは、グレイスグループが提供する「Grace Bank」について、具体的な特徴を見ていきましょう!
①最高峰の医療体制:日本IVF(対外受精)学会のトップドクターが経営に参画し、国内最高峰の厳選された生殖医療クリニックと提携しています。
②安全な卵子保管システム:22年間無事故のステムセル研究所と資本提携し、同社保管施設内の大型タンク内で万全な環境で凍結保管をしています。
③画期的な低価格:提携クリニックで採取した卵子を大型保管庫に集約することで、安全性を高めながら低価格を実現しました。
④盤石な経営体制:クレディセゾンと資本提携し、大手VCやトップドクターによる資本参加を実現しました。
若者にとっても気軽に足を運びやすい且つ低価格のクリニック「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」を2022年4月に渋谷にオープン予定です。
若者の街・渋谷だからこそ、様々なところとタイアップをして啓蒙活動を考えています。
さらに、グレイス杉山クリニックSHIBUYAや提携クリニックにおいて、看護師、培養士、不妊カウンセラー資格保有者による不妊治療の無料カウンセリングサービスの提供を2022年4月に開始予定です。
今後、女性の晩婚化・晩産化がさらに進むことが予想される中で、このような新たな女性医療は非常にニーズがあるのではないでしょうか!
まとめ
今回は、フェムテックで課題解決に取り組む4社のお話をお聞きしました。
仕事と妊娠・出産の両立の難しさにより、多くの女性が「子供か仕事か」の二者択一を迫られている状況を改めて痛感し、早急に解決されるべき課題だと認識しました。
2022年4月から不妊治療に対し保険適応されることが決定しており、女性の出産の問題に対する取り組みの流れが、今まさに変わろうとしているように感じます。
国の政策に加えて、今日お話いただいたフェムテック領域で先進的な取組みをされている民間企業の力を掛け合わせて、女性がより多くの選択肢を持つことができるような社会にしていきたいですね。
今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!
次回は【先進セミナー】シリコンバレー便り データセキュリティの最新トレンド~クラウドサービスとの密な関係性とは~についてのレポートです!