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11/1開催【ドコモベンチャーズピッチ】ファッションテックの今が分かる~テクノロジーを活用したアパレルの未来~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年11月1日(火)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】ファッションテックの今が分かる~テクノロジーを活用したアパレルの未来~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、ファッション/アパレル関連で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ3社をお招きしピッチをしていただきました。

  • ファッションに興味のある方

  • ファッションテック関連への投資や事業連携をご検討されている方

  • 新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方

  • 最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

■ドコモ・ベンチャーズによるファッションテック解説

まず冒頭にNTTドコモ・ベンチャーズ 杉浦 甲子郎より、今回のテーマであるファッションテックのトレンドについて解説を行いました。

世界中に多種多様なファッションが存在しますが、その市場規模は大きく、日本の市場も約8兆円規模にのぼります。

ファッションには流行があることは誰もが知っていることかと思いますが、その移り変わりが非常に早くなっていることが直近のトレンドといえます。中国のヘクトコーンとして名が知られるファッションサイトのSHEINは、なんとトレンドの製品への反映が3日で行われるまでになっています。

ファッションをとりまく流行の変化速度

その裏で衣服の大量廃棄等の問題が叫ばれる中、各ファッションブランドが取り組んでいるのがSDGsへの対応です。顧客の体験を損なうことなくサステイナブルをどのように追求するのか、これがファッションテックに求められる一つの視点となります。

もう一つの視点が、「最新のテクノロジーの活用」です。メタバースやXR、NFTを通じてどのように顧客体験を最大化するのか、顧客の趣向も目まぐるしく変化する業界に対して、さまざまなファッションテックの実装が期待されています。

ファッションテックの主なキーワード

これらの視点を付与しつつ、実際にどのようなソリューションをもつスタートアップが事業を展開しているのか、ここから見ていきましょう!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:株式会社ヴァレイ

1社目は、ヴァレイ 谷 英希 様にご登壇いただきました!

<株式会社ヴァレイ 代表取締役 谷 英希 様>

株式会社ヴァレイ 谷 英希 様

・ヴァレイ社の事業内容

ご実家が運営する服屋の廃業の危機をきっかけに、ヴァレイ社を立ち上げたという谷様。アパレルの生産工場がどんどんと海外に流れていく中で、残るべき技術を次世代に繋げていくことで、「日本の縫製業を次世代に繋ぐ」ことをミッションとしています。

・ファッション市場の動向
8.6兆円という巨大な市場を持つ日本のアパレル業界ですが、アパレル物販に対応できる国産工場や生産背景が年々減少し、生産が追いつかないという課題があります。直近の30年間の衣料品の国内生産と輸入の推移では、国内生産は10分の1以下になったにもかかわらず、輸入浸透率は85%から95%以上に上昇しました。

・MY HOME ATELIER(マイホームアトリエ)
そのような現状に対応すべく、ヴァレイ社では、MY HOME ATELIERという事業を展開しています。アパレルメーカーからの縫製依頼を受けて、極小ロボットで最少1着(平均11着)から、自宅で小さな縫製工場のように衣服を生産できます。これにより、結婚や子育て、廃業や介護により働きに出られない「潜在縫製士」が持つ技術を自宅で活かすことができます。

MY HOME ATELIERの特徴

・MY HOME ATELIERの特徴

・安価で大量な海外工場生産とは違い、小ロットで高品質かつ適正価格で生産
・全国250拠点(2022年11月1日現在)
・OEMの仕組みを構築
・特殊ミシンや検品、配送までの仕組みを構築

また、経済産業省からの受注により、コロナ禍で10万着のガウンを全国の登録縫製士とANAホールディングスの共同で製造しました。

・物販過程をトータルサポート
商品を作っても、物販参入のハードルが高いことや、生産、物流、生産管理、財務会計など、「作る」以外の過程が多いことにより、販売に集中できないという課題があります。ヴァレイ社では以下のように、衣服の製造のみならず、物流や販売までの過程を全てサポートしています。

MY HOME ATELIERのサポート体制

・MY HOME ATELIER
お客様の「作りたい」を叶える1着からの生産をサポート
・ヴィロジ
作った製品の受注管理、在庫管理、オリジナルの梱包、個別発送、お直しの対応まで、ECの物流を一括サポート
・ヴィマーク
ECショップ構築、商品撮影サポート、マーケティング分析など、「売れる」をサポート
・新-ARATASHI-
若く才能のあるブランドを発掘、生産から販売までをワンストップで行い、ブランド運営をチームで行うことでデザイナーをサポート

たとえば、ファッションプラットフォーム「ATARASHI」を媒体に、さまざまなインフルエンサーと共同して服作りをサポートしています。

  • 神戸コレクションと配信アプリ「SHOWROOM」の協力で行われたファッションプロデューサーオーディション

  • kemono japan社との共同運営

  • STU48とのコラボレーション

■2社目:park&port株式会社

2社目は、park&port 櫟山 敦彦 様にご登壇いただきました!

<park&port株式会社 代表取締役 櫟山 敦彦 様>

park&port株式会社 櫟山 敦彦 様

・park&port社の事業内容

park&port社では、「だれもが自分の”スキ”を手に取れる世界を実現する」をモットーに事業を運営しています。もともとアパレルメーカーで働いていたという櫟山様。その後、アナログなアパレル業界を変えたいという思いから、park&port社の設立に至りました。

・今でも閉鎖的なアパレル業界

アパレル市場環境の変化

現在、個人の発信を可能にしたSNSによって趣味嗜好が多様化したことと、非店舗型で商圏に依存しないECチャネルが誕生したことにより、新しいアパレルビジネスが台頭できる環境が存在します。しかし現実には、斬新な新しいビジネスは出てきていません。それは、新規参入がそもそも大変な業界であることと、店舗向けビジネスに特化した、完成された商流が存在するからです。

<知見の壁>
・クローズドな産業構築
・ITリテラシーが低い
・企画が複雑

<商流の壁>
・既存商流
・計画生産
・大量生産
・在庫発注 

従来の商流に対して、”これからの商流”として、EC中心の商流が存在します。

・オンデマンド生産
→すぐ企画してすぐ販売・納品
・少量生産
→販売数に応じた数量の生産
・受注発注
→注文数に応じた発注

しかし、既存の商流に合わせながら、並行してEC中心の商流でビジネスを行う必要があるため、現状はECの利点を活かしきれず、店舗向けの商流に制約されたビジネス展開しかできません。実際にpark&port社がインスタグラムのインフルエンサーに対して行ったアンケートでは、85%もの人が「オリジナルアパレルアイテムを作って販売してみたい」と答えたにもかかわらず、その多くが実際にアイテムを作るとなると「どうしたら良いかわからない」という壁を感じているそうです。

そこで、part&port社では、誰でもアパレル製品を作り流通させることができる、全く新しい仕組みを構築しています。

・MD SUPPORT

MD SUPPORTのビジネスモデル

MD SUPPORTは、企画から発送までをワンストップで提供し、誰でもアパレルビジネスを始められるサービスです。商品開発と量産を切り分けることで高速化を実現します。

1. 作りたい人がデザイン要望を相談する
2. MD SUPPORTが企画化をサポートする
3. サンプル作成特化工場と連携し、素早くサンプル化する
4. 提携先(商社、メーカー、ブランド、工場)にて受注生産
5. MD SUPPORTとして、量産、発送、納品、サポートをする

また、アパレルビジネスを始める際のハードルを下げる項目も整っています。

・初期費用なし
・少量・受注生産可能
・1商品からOK
・専門知見も不要
・短期間(1.5週間、従来は6週間)で企画から生産進行まで行える

MD SUPPORTは、商品の作り手と、それを販売するサービスオペレーターを繋ぐハブとして働き、コミニケーションの促進や進捗共有などを行います。そのため、制作依頼、発注指示、販売依頼など、アパレルの知見がなくても大丈夫だそうです!こうすることで、専門人材に依存しないアパレルビジネスを構築し、一人一人の「作りたい」というニーズに合わせることができます。

■3社目:株式会社DROBE

3社目は、DROBE 山敷 守 様にご登壇いただきました!

<株式会社DROBE 代表取締役CEO 山敷 守 様>

株式会社DROBE 山敷 守 様

・DROBE社の事業内容

DROBE社は、パーソナルコマースと呼ばれるスタイリストによるスタイリングサービス事業をおこなっています。

DROBE社によるパーソナルコマースの流れ

以下の流れで、スタイリストによるスタイリングが簡単に完成します。

1.服の好みやライフスタイル、体形など、70問のアンケートに答える
2.自宅にスタイリストが選んだ商品が届く
3.気に入ったもののみ購入、それ以外を返品

・ファッション市場の見立て
現在、衣服が低価格で売られるようになったことや、過剰配給で市場が溢れるようになったなど、ファッション市場に大きな変化が見られます。一方で、購入者の消費行動には迷いが生じています。たとえば、「ファッション自体は好きだが、どんな服が似合うのかわからない、または商品を購入する自信がない」と感じる人が多いというのが現状です。

これには、以下の理由が挙げられます。

<店舗での購入>
・自分の情報を伝える機会が少ない
・率直な商品の評価は伝えづらい
・ノルマを持つ企業も多く、店頭にある100-300種類の在庫消費バイアスが発生
<ECでの購入>
・検索軸を知っている前提の設計
・多くの商品は見えない/見つからない
・試着/返品できない、もしくはそのハードルが高く、それらができないように見えてしまう

しかし、現在のアパレル業界において、OMOストアライブコマースなど「店舗(オフライン)とEC(オンライン)の融合」という新しい変化が見られるのも事実です。

・パーソナルコマースとしてのスタイリング

この結果、店舗とECに次ぐ、第三の選択肢としてパーソナルコマースが確立され始めています。

パーソナルコマースの特徴
・1to1
→個人の嗜好に沿った最適化
・セレンディピティ
→買い物代行ではない発見のある提案
・シームレス
→自宅で店舗同様に試せる

DROBE社では、パーソナルコマース事業として、200以上を超えるブランドから、15万点を超える商品を取り扱うラインナップとオペレーションを実現しています。ブランド各社と連携し、在庫を持たずその都度在庫を取り寄せることにより、商品の在庫とスタイリングの幅を担保しています。

手動時とAI導入後のスタイリングにかかる時間比較

次に、スタイリストがAIを活用し、顧客ごとに相性を計算することで、より丹念かつスピーディーにパーソナライズされた提案を実現します。

・DROBE社のこれから

DROBE社では、服作りにもAIを導入していきます。商品企画から本生産の流れの中にAI評価という工程を組み込み、お客様の欲しい商品や要素をAIで予測することで、人気商品の生産を可能にします。たとえば、素材やシルエット、丈など一つ一つの項目をシミュレーションし、1商品につき1万以上のパターンを企画していきます。

また、パートナー企業とのコラボレーションにも力を入れています。

HIROTA社とのコラボレーション

まとめ

今回は、ファッション/アパレル関連の代表的な3社のお話をお聞きしました。なお、今回登壇が予定されていた株式会社 SPRING OF FASHION の代表取締役 保坂 忠伸 様ですが、ご本人の体調不良により、残念ながら登壇を辞退されました。事業概要、サービス内容については下記HPをご覧ください。

デジタルによって情報が一元管理され、より便利になったアパレル業界の新しい未来が非常に楽しみですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら


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