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MOIW2023でラブ・ボナペティートの歌詞が気になったので作ってみようと思う【②構成編】

前回の【①解釈編】では、ラブ・ボナペティートの歌詞の意味を解釈しました。

しかし、歌詞の意味が分かったところで、実際に作るにはまだまだ固めなければいけない部分が山ほどあります。
そこで、菓子をどのように作るか、設計図のようなものを作っていきます。

1番の菓子について考える

上で述べた通り、1番と2番の菓子が別物であるという解釈を前提に、まずは1番の菓子について考えます。
まず、【①解釈編】でも書いた通り、1番の菓子は共立てのスポンジ生地に何かしらのクリームを塗ったケーキ(例…ショートケーキ等)である可能性が高いです。
まずはクリームの内容を決めましょう。スポンジケーキがオーソドックスな共立てであることや特にクレームの内容について書いていないことから、今回は最もオーソドックスなクレーム・シャンティ(加糖ホイップ生クリーム。ショートケーキ等でお馴染み)を選ぶことにしました。
今回見送りましたが、クレーム・ブール(バタークリーム)も美味しそうで捨てがたいところですね。ブールの場合は飾り絞りができますので、花の形を絞りたい等ある場合はとてもお勧めします。

さて、クレームをシャンティに特定したとしても、クレームのみのガトーは少し味気ない気もします。かといって、ショートケーキのように果実を使おうとすると、果物がわざわざ果肉として2番の歌詞で出てきていることが引っかかります。
2番で出てくる「果肉」が1番に登場しない以上、果物は使うべきではないでしょう。まだ、エピス(スパイス)を使った方が良さそうです。
しかし、ほんのりとした香りをつけることはできても、エピスはあまり大きく味の変化に寄与しませんし、そもそも、粉末状にしないとそのまま食べられません。

構成的にジャケットイラストと歌詞のガトーとの間に繋がりはなさそうですが、歌詞の中に手がかりが全くない以上、イラストにヒントを求めてみましょう。
まずは、【秋空と紅葉】桑山千雪さんのイラストから。

右下にスポンジケーキのようなものが見える

真ん中にジャムのようなものがありますね。
ブルーベリーのジャムにしては色味が薄くて透き通っています。
ここで、ウィーン菓子のオタクとしてのどぼすの心が「これはスミレのジャムなのではないか?」と問いかけました。
ローズのジャム等、花の花弁を使用したジャムは欧州では日本よりも一般的に食されます。上にスミレのようなエディブルフラワーがのっていることからも、ここをスミレのジャムにすると全体の統一感が生まれます。
また、スミレのジャムはレモン汁を入れることが多いため、レモンのさわやかな酸味がクリームのくどさをマイルドにしてくれることも期待できます。
スミレのジャムを使いましょう。

ジャケット等にももう1種類、参考になりそうなケーキがありました。

CDジャケットにもスポンジケーキと思わしき品が
【叶えて☆ゴールドフィッシュ】大崎 甘奈
右下にもジャケットと同じガトーがあります

エディブルフラワーも良いものですが、ここにスミレの砂糖漬けがあると美味しそうですね。

という訳で、1番のガトーは上記イラストの情報をミックスして、このように構成することにしました。
グラセはホワイトチョコレートのグラサージュ・ショコラに着色料を使います。

1番のガトーの構成イメージ


2番の菓子について考える

2番の菓子は、フロマージュをよく冷やしていることから、おそらくレアチーズケーキでしょう。
とすると、ノワとバニラはおそらく土台部分に使ったと思われます。
シェールやショコラも並べるならノワ等で構成された土台の上と思われます。
せっかくなので、通常ノワに加えるのであればグラハムクラッカーを使う土台部分も、1番で余ったスポンジをよく焼いて使いましょう。

また、カラメルはいわゆる生キャラメルのような質感の層(キャラメルクリーム)として置くのがおそらく1番無難なのですが、「ルッシュ(レードル、おたま)」を使っている点、また、「キラキラ」という表現から考えるに、カラメルソースの方が歌詞の意味に沿う気がします。
また、「加えて」と書いてあることから、上からかけたり添えたりするよりも、ガトー本体の中に組み込む方がより妥当なのではないかと考えました。
そこで、1番のガトーから薄くスポンジ生地を取り、カラメルソースを吸わせることで上記条件をクリアさせます。

シェール(果肉)の処理については、【①解釈編】おまけパートのツナ缶曰く甘奈ちゃんの奈には赤リンゴの意味があるとのことでしたので、アルストロメリアをイメージして赤いリンゴを使いましょう。(甜花ちゃんは甜菜糖を使うことで許されたいものです…。)
また、1番の歌詞でスパイスを踊らせた蜂蜜を再利用し、リンゴも温めた蜂蜜で軽く火を通してコンポートにします。

シェールにまとわせるショコラは、包丁で切りやすいようにチョコレートそのままよりもガナッシュが良いかもしれません。

以上をふまえ、2番のガトーの構成はこのようにすることにしました。

グラセは仕上げらしいのでこっちにもグラセを。


また、ドレッセ(盛り付け)するエピスや添えるミント、アンフュゼしたモア(桑の実ジャム)は、お皿にのせることにします。

最終形態の設計図(?)です。

あくまで我々の妄想によって補われた部分が多い菓子なので、「ぼくのかんがえたさいきょうの」を前につけています

こうして、ラブ・ボナペティートの設計図が完成しました。

今回は撮影の予定があったので流れをツナ缶と共有
だんだん雑になってくる工程表


次はいよいよ、この設計図を元に、③実践編で実際にガトーを作っていきます。

→ ③実践編へ続く




おまけ


ちょうどボナぺ周りの計画中、そして③実践編決行日の1週間前ぐらいに名古屋を旅行したので、ノリタケの森で「間に合わないだろうな〜w」と言いながらニオイスミレの絵付けを行いました。

閉館1時間前に滑り込んで慌てて描いた皿。
青が紫に、紫がピンクになります。

ニオイスミレ柄の皿が売り物として見つからなかったのが主な要因です。楽しかった。

そして間に合わないはずだった皿ですが、よほど閑散期だったのでしょうか、決行日の前日ぐらいに届いて間に合ってしまいました。

到着報告の様子
完成品

うっかり「ボナペを皿から作った人」になってしまいましたね。
この皿に菓子達をのせていきます。


使用レシピについて

どぼすは製菓関係の本を読むのが好きなオタクなので、こういった取り組みの場では通常「私の製菓専門書コレクションが火を吹くぜ…!」と美食の追求に走るところなのですが、今回は記事を書く予定があったので、記事を見て作りたくなった方が困らないよう、インターネット上の信頼できるレシピ縛りで構成を考えました。
主に参考にするのは辻調グループのHP。調理専門学校だけあって、基本に忠実で文化に誠実なレシピが多い印象です。

レシピ参考サイト一覧

スポンジ生地(共立て)

チーズケーキ

パンナ・コッタ(カラメルソース)

くるみのローストのやり方

ホワイトチョコレート系グラサージュ
※【③実践編】では半分の分量で作ったものに少量の水で溶いた着色料を加えています。多分1/3ぐらいでも大丈夫です。

ガナッシュ
※【③実践編】でホワイトチョコレートを使用してしまったばっかりに、ガナッシュは通常のチョコレート用のレシピの配合ではうまく固まりませんでした。スイートチョコレートを使用するか、こちらのレシピの使用を推奨します。
ホワイトチョコレートの場合、そのままでも良いかもしれません。包丁をきちんとお湯で温めて切れば切れるはずです。


諸々参考にした結果の買い物メモがこちら。チーズムースが結構余ったので減らしてもいいかもしれません。

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