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アンプ探しの旅、終着。

ささやかな歓びをここに記します。

今年に入ってから実は密かに、長いことエネルギーを使って探し続けてきたアンプがついに、手に入りました。

どれがいいのか、そもそもなにがあるのか、から始まった旅でしたが、今や所有したことも使ったこともない真空管アンプに並々ならぬ執着まで持つようになってしまいました。

音の違いや、まつわるうんちくは語ればキリのない世界でしょうから一言で著すと、"浪漫"です。

本当は浪漫以上のモノがありましょうが、いいんです。

damien riceが使っていたという理由だけで東京に希少な英国製VOXのAC30を試奏しにも行きました。
あんな大きいの持ち運ぶのも、ありだな、とか思いながらも、求めている音と違うということで、後ろ髪を引かれつつ方向転換。

同時に気になっていたFenderのアンプから選ぼうと切り替えていきました。

そもそも、お世話になっているライブハウスのマスターから借りたRolandの microCUBEが気に入っていて、小さいのに大活躍で、好きな音がします。

シミュレーターで選んでいたのは、「Black Panel」。
これがなんだか長いことわかっていませんでした。

ある時それはFenderの黒パネルのことだと聞き、まだわからないままでした。

そこから徐々にFenderアンプについて詳しくなっていきます。

不思議と気になることについての情報は、
舞い込んでくるものです。
こちらからなにも言わなくとも。

対バンのミュージシャンからも、Fenderの Deluxe Reverbを使うといいよ、と言われることが数回続き、ついに心が決まり始めます。

デラックスリバーブ。通称デラリバ。

調べれば知られるほど魅力的なアンプで、世界中で愛され続けてきた名機でした。

自宅にいつのまにか置いてあったフェンダーアンプ大図鑑というギターマガジンをめくり、フェンダーアンプについてどんどん詳しくなりました。

選択肢はデラリバだけではないなと思いながらも、デラリバは別格にちょうどいいアンプでした。大きさと重さはともかく。

あらゆるアンプの音を、YouTubeで何本聴き比べたか、その数知れず。
ギターアンプの真実。という本も読みました。
YouTubeなんかではわからない、ことも踏まえた上で、試奏にばかり行けないし、いてもたってもいられず、というか、音を聴くのが楽しくて気がつけば聴き比べていました。

あるとき知人にブルースジュニアを借りました。
これもとてもよくて、欲しくなっちゃいました。
が、もっと大きい、必要以上に大きいデラックスリバーブはまだ気になっていました。音のためなら無駄にデカくとも運び回したかったのです。
音にピンと来る感覚って、あるところからは完全に言語化の限界点を迎えます。

人生でこんなにアンプにこだわる時期が来るなんて、1ミリも思ったことのない30年間でした。
今までそこにあったのに無縁だった世界が、思わぬタイミングで自分事に変わる面白さに思い巡らせながら、
メルカリやその他のショップ通販を夜な夜な見漁りました。

いいものはすぐに売れてしまったり、ビンテージともなれば高価で手が出なかったり。

一度、いい個体が出て、これを買おうかと半分迷いながらも、縁があれば買えるだろうと、悠長に手続きしていたら、1,2秒の差で売れてしまったことがありました。

以来、その個体のことが頭から離れず、恋人を惜しむような切なさを感じながら新たな出品を待ち続けました。

新品を買ってしまっても良かったのかもしれませんが、
新品よりは安いという理由以外に、全くビンテージとは関係ないただの中古なのにも関わらず、ビンテージに惹かれるのと近いような理由で中古品を探していました。雰囲気です。

中古でもそれなりの金額です。状態と見合う買い物になるのか、ということは知識がないとわからなかったりもします。

相場感が掴めてきた頃、この頃の世界情勢から真空管が手に入り難いという展開が加速し、デラックスリバーブの中古も少なくなりそうだと、出ても高いだろうという予測が立ちました。

しばらくはお預けかな、と思いつつも同時に、今月はドラマーとステージに上がる回もあり、これは自分のアンプを使いたい、と強く思うようになりました。

デラックスリバーブは諦めて、Princeton Reverb(Deluxeの一回り小さいアンプでこちらも有名)にしようか、とかその上のTwin Reverb(これは自分の活動規模ではまだ必要としていない大きさ)にしてしまおうかとか、揺れていました。
焦る必要はなかったんですが、早く欲しかったんですね。
欲が占める部分は大きいと思います。

とはいえ待ちながら探すのもとても楽しい時間でした。

そんな中、この数日でなんとか出てきてくれと強く願いながら、ふとヤフオクを開いたら、リバーブが効かない美品という個体が出ていました。
残り2日、というタイミングでこれまで出会った中で最安値。

オークションは未経験だったので、調べながら様子を見ることにしました。

リバーブが効かないのに、買ってしまっていいのだろうか、修理代が高くついたらどうしよう、という心配は残り1日というタイミングで、人に訊いたり調べたりしていたし、仮に効かないままでも使えると思い、本気でこの個体を狙うことにしました。

そして何度も入札がないかチェックしながら終了が近づくにつれ、とてもドキドキしていました。
あと10分、、。

これ以上上がったら払えないので諦めるという最高入札額を入れてあとは待つのみ。
ついに終了時間が、、と思ったら10分の延長。

早く終わってくれ、と初めて味わう緊張感とうらはらに、思っていたほど白熱することもなく終了。

正直、リバーブ壊れてるだけなのにもったいない!
と思うくらい安く落札できました。

期待半分にしておこうと思っていただけに拍子抜けしましたが、小躍りするほど嬉しかったです。

エレキギターはこれでやっと旅支度を終えた気分です。

これで晴れてアンプ探しの旅は終着点を迎えたわけですが、船出はこれからです。
この相棒と共に、大好きなテレキャスターでたくさんライブをします。
このアンプに見合うライブを。

リバーブを直したりしながら大事に付き合っていこうと思います。

2022.9.2

ありがとうございます。アルバム次回作の制作予算に充てさせていただきます!