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(読んだ気になれる)「父が娘に語る経済の話。」

こんにちは。ネタバレをそこそこに、読んだ本を紹介していくブログです。今日は、ヤニス・バルファキス著「父が娘に語る経済の話。」について書いていきたいと思います。

この本は、経済というものを学者だけに任せていてはいけない、自分の考えを持つことの大事さを娘に伝えるべく平易な言葉を使って経済を説明していきます。もしこの記事を見て興味をもったらお手に取ってみてください。

たくさんの事が書かれていますが、簡単に読んだ気になるために大きく3つに焦点を当てます。この記事を読めば、知ったかぶりくらいはできるハズです(笑)さっそく、どんな内容なのか見ていきましょう。

1.なぜ格差ができるのか。

歴史を、ヒトが狩猟から農作へ転換した時代まで遡ります。農作物は狩猟で得た肉や魚とは異なり保存ができます。この保存される事でできる「余剰」を記録するために「文字」が生まれ、「借金」や「通貨」という概念が生まれ始めます。通貨を持ち運ぶのは重いので、証書などの「信用」という概念もここで生まれます。この「余剰」から経済の基本が生まれた言っても過言ではありません(個人の感想です)
そして、この余剰から格差が生まれます。余剰があれば更に余剰を生みます。今の経済においても元手がある人の方が更に稼げるというのは容易に想像がつきますね。

2.利益と借金の関係

少し歴史が進んで、これまでの「生産をしてカネを得る」という流れに転換が起きます。それが「借金」です。生産をする前にカネを得る事でより大きな事業を展開できます。借金を返すために利益を追求するーー借金は生産プロセスの潤滑油となりました。そして一般人は貴族にはなれませんが、リスクを取って起業する事で貧困から抜け出せたという事ですね。
当時はちょうど宗教改革の時代であり、カトリックで禁止されていた借金や利子という考えが、プロテスタントによって変わったという背景もあります。このあたりはマックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」にも通じます。この本についても、いつか書きたいと思います。

3.機械化とその先に。

時代は産業革命まで進みます。蒸気機関の発明に代表されるように、労働は機械化・自動化されていきます。機械によって労働を奪われた人たちが機械を壊して回ったラッダイト運動というものもありました。
自動化をすれば人件費が減らせます。原価を下げる事ができるので商品の価格を下げて、競合他社よりも安くできれば買ってもらえる、というのが目先のメリットになります。ただし副作用があります。自動化された事によって労働者を解雇すれば、労働者はカネに困る事になります。労働者も消費者です。自動化でコストダウンして作ったモノも、買ってもらえる人が減ってしまうのです。モノは売れず、経済は止まり始めます
今まさにソフトウェアによって自動化が加速し、GAFAMに代表されるアメリカのテック企業に富が集中しています。著者は解決案の1つとして、その利益を分配する仕組みを上げています。ベーシックインカムを想起しますね。

最後に

さて、読んだ気になれたでしょうか(笑)
この本は全246ページあって読み応えがあります。上記の他に「市場とは」「金融とは」「地球環境」について等、様々な事を説明しています。興味を持って頂けたらお手に取ってくださいね。