皮膚科医が教える発疹名の見方(皮疹を表す用語、原発疹、続発疹の解説!)
はじめに
皮膚科の用語って、たくさんあってなかなか分かりにくいですよね。
今回は、初学者向け(医学生や看護学生さん、看護師さん、研修医の方、これから皮膚科医になる方)に簡単にイメージをつかめるように解説します!
正直いって、教科書や授業で習っても、簡単には覚えられないですよね。
医学生(おそらく看護学生さんも)なら紫斑と紅斑の違いなどは授業で習ったかと思いますが、実際に見ないと発疹名を覚えるのはなかなか難しいと思います。
そこで、実臨床でとっつきやすいように、厳密さよりも分かりやすさを重視して実際の写真も交えつつ発疹名の見方を解説していきたいと思います!
写真は順次追加していきますが、ないものもあるので、手元にあたらしい皮膚科学などの教科書やアトラスを用意していただければ幸いです。
(適宜、より分かりやすくするために追加で更新していく予定です)
発疹名は多い!
皮膚科で使われている発疹名ってたくさんありますよね。具体的には以下のような発疹名はカルテや教科書、授業などで聞いたことがあるかと思います。
紅斑
紫斑
色素斑、色素沈着
丘疹
腫瘤
水疱
小水疱
嚢腫
膿疱
膨疹
多過ぎるし、漢字だらけでよく分からない!ってなりますよね。
さらに言うと、これが発疹名なのか、疾患名なのかもよく分からない!って人もいるかと思います。
たとえば、以下のようなものですかね。
蕁麻疹
湿疹
さて、ここからは具体的にわかりやすく、順を追って説明していこうと思います。少し教科書的な話も出てきますが、頑張ってついてきてくださいね!
皮疹?発疹?皮膚病変?
まずは、皮膚に出来ている何らかの変化をなんと呼ぶか?呼ぶべきか?というところから始めて行きたいと思います。
さて、少し硬い話になりますが、皮膚病変に関する症候学を「発疹学」といいます。
皮膚科医が発疹というとき、皮膚に現れる変化の総称として使っていると考えてよいです。
皮疹、発疹、皮膚病変はほぼ同義です。どれを使ってもかまいませんが、皮膚科医は皮疹を使うことが多いと思います。コメディカルの皆さんは特に気にしなくていいと思います。
ちなみに、皮膚疾患の数は2000~3000以上あるといわれています。これに対して発疹の数はせいぜい50個程度です。非専門医が皮膚疾患すべて把握することは困難なので、非専門医や看護師は発疹名だけ覚えておけばOKです。
自分で表現できるのがベストですが、発疹名を見て、なんとなく皮疹がイメージできれば十分でしょう。
皮膚科医も診断まですることは求めていません。なんとなく、この発疹の名前はこれかな?くらいのところまで分かれば十分です。
医学生の方や、研修医の方、皮膚科医以外の方向けにコンサルト時に盛り込むべき情報なども後ほど説明したいと思いますが、それは最後にしたいと思います。
皮膚病変の記載の仕方は??
さて、発疹を見たとき、研修医の先生方や医学生でポリクリを回っている方、また場合によっては看護師さんなどもカルテに記載すると思います。
でも、どうやって記載したらいい?全然分からない!と疑問に思うと思います。
極論を言いますと、この2つがあればまずは及第点です。
それは、部位と発疹名です!
例えば、「左下肢に紅斑あり」とか「右頰部に腫瘤あり」などでまずはOKです。
さて、紅斑とか腫瘤とか分からんよ!って思うかもしれませんが、今はスルーしてください。紅斑は赤い発疹、腫瘤は皮膚になんか盛り上がってるものが出来ている程度に今は考えておいてください。後ほど具体的な発疹名については嫌という程解説しますので……。
では部位と発疹名までは書けるよ!っていう方。次は何を書いたらいいの?と思うと思います。では、重要な順にいいますね。
1.大きさ
2.色
3.形
ここまで出来ればもう新米皮膚科医レベルです。内科医でここまでできてれば、皮膚科の先生にあっと驚かれることでしょう。
これらを盛り込むと、具体例はこんな感じですね。
「右頰部に2cm大の黒色~褐色ドーム状の腫瘤あり」
「左下腿遠位2/3~足背にかけてびまん性に紅斑あり」
病変の大きさは実測して数値で示します。広い範囲に出現している紅斑などは数値は必須ではないです。
形は、離れて見た分布・配列、個疹を俯瞰したときの輪郭、側方から見たときの立体的形状、接近・拡大して観察される表面の細かい変化などを記載します。(時間的余裕に応じてより精緻に記載しますが、それは皮膚科医がやればいいと思います…)
さらに目に見えない情報(皮下の病変に対する触診の所見、自覚症状の有無)も必要があれば加えます。
ですが、最初は部位と発疹名さえ言えれば十分!ってところを覚えておいてください。
発疹名の簡単な覚え方は?
さて、ここまで来ると、次に出てくる疑問は発疹名ってなんぞや?ってところでしょう。それが分からないとさっきの「部位と発疹名」のところですらできないのですから。
でも、発疹名って色々あって何が何やらという方も多いでしょう。私も以前はそうでした。
そこで、極論ですが、発疹名は皮面に対して、平坦、隆起、陥凹の3つに分類して覚えるといいと思います。
厳密には教科書では原発疹、続発疹と分けているが、今回はこの分類は気にしないで覚えやすさ重視でいきましょう。
それでは、まずは平坦な発疹からみていきましょう。
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