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投資信託(ファンド)の買いや売りを利用した投資手法について~ハーディング現象の応用~

◆はじめに◆

今回は、投資信託(ファンド)の買いや売りを利用した投資手法について実際に発表された論文を元に考えてみたいと思います。

特に今回は、投資信託におけるハーディング(多くの投資家が類似の投資行動をとること)に焦点をあてて、それを利用して利益を得る手法を考えてみたいと思います。

噛み砕いて説明するので、厳密には間違った表現になっている部分もあるかもしれませんが、ご了承ください。


◆ハーディングについて◆

下記はハーディング現象|証券用語解説集|野村證券(https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ha/A02764.html)より引用です。

人間は、合理的な観点から物事の判断をしたり、自らの行動を決定するよりも、多くの人々と同じ行動をとることに安心感を抱き、周りに同調したり他人の行動に追随してしまう傾向があること。集団から外れたくないという心理から、多くの人間が非合理的な判断に基づく行動をとっていても、そのなかで自分一人が合理的な行動をとることは困難であり、自分の持っている情報を無視してでも非合理的な行動に同調してしまう結果、集団として間違った方向性にいってしまうことがある。行動経済学上において、このような群衆心理に基づく行動のことをハーディング現象と呼ぶ。
投資家によるサブプライムローン関連商品の購入が過熱化し、リーマン・ショックの原因となったことなども一種のハーディング現象とされる。


これまでの研究で、投資家の取引行動が相互に影響し合っている、あるいはハーディング(多くの投資家が同じような投資行動をとること)が存在することが報告されています。

Devenow and Welch[1996]によれば、ハーディングには、合理的なものと非合理的なものが存在するといいます。合理的なものであれば、株価はファンダメンタルバリューに収束しますが、非合理的なハーディングでは、バブルにつながることもあります。

つまり、ハーディング現象が起きると、株価の一方通行が起こりやすいというわけです。株式市場におけるモメンタム効果の原因とも考えられています。

モメンタムに関してはこちらもどうぞ↓


◆投資信託での研究結果◆

細かいところは難しいので、省きますが、野崎他(2014)の論文のデータを引用して解説していきます。

この論文でのサンプルは、04年12月~ 11年12月の期間で保有株数データが存在し、国内株式のみを投資対象としたファンドとしており、時価総額が1000億円以上の銘柄を対象としています。

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