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2019年7月の記事一覧
「人格崇拝」と「合理化」の行きすぎが、現代人を自己コントロールの檻に閉じ込めている:『自己コントロールの檻』(講談社選書メチエ)
本書は現代社会(といってもこのレビューの20年近く前だが)を、①〈心理主義〉、②〈人格崇拝〉、③〈マクドナルド化〉(合理化)という3つの特徴が、過剰に発達してしまった社会として捉える。社会の〈心理主義〉化とは、「さまざまな社会的現象を個人の心理から理解する傾向や、自己と他者の「こころ」を大切にしなければならないという価値観、そのために必要な技法の知識が社会のすみずみに行き渡ってきている」ことを指す。〈人格崇拝〉とは「個人の人格を尊重すべきものとみなす」ことであり、近代以降の