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Vol.00 人間力的なデザイン思考


・デザイン思考とは

そもそもデザイン思考とは「デザイナーやクリエイターが業務で使う思考プロセスを活用し、前例のない課題や未知の問題に対して最適な解決を図るための思考法」のことを言います。

「アート思考」という似た言葉があり、どちらもアイデアを生み出すための考え方ですが、大きな違いがあります。

・アート思考:自分目線で自由に発想すること。
・デザイン思考:ニーズや目的など、ユーザー視点で考えること。

このように思考の仕方や目的に違いがあり、どちらが優れているという訳ではなく、シーンに合わせて使い分けることが大切です。


・デザイン思考の5つのステップ

では具体的にデザイン思考における5つのポイントをご紹介していきます。

①共感(Empathize)

まず始めにユーザーのニーズを捉えます。
これはデザイン思考の基盤となる非常に重要な部分であり、一連の流れを決める羅針盤のようなものになってきます。

ユーザーのニーズを捉えるための手段として何を知りたいのかを明確にしたインタビューやアンケートなど、つまり「質問」をしていくことで、ユーザーが何に共感していて、何を求めているのかを見つけ出していきます。

この際、ペルソナを細かく設定することも重要になってきます。

②定義(Define)

ユーザーの共感を元に、ユーザーのニーズを定義します。

「もっと使いやすく」「比較的安価で」などの意見があれば、
「機能面と価格面」に課題があることが分かります。

このように共感で得た情報を深堀りしたり、仮設を立てて考えていきます。

③概念化(Ideate)

ここでは、定義で固まった仮説としての課題を解決できるように、
ブレーンストーミングなどの手法を用いて、最適な解決策を見つけていきます。

意見する際は質にこだわり過ぎず、量を意識することが大切になってきます。

※ブレーンストーミング
→課題解決や新しいアイデアを発見するための「集団発想法」


④試作(Prototype)

次に概念化で決まったアイデアの試作を行います。

実際に試作してみることによって、新たな改善点や強みなどに気付くことが出来ます。

試作するうえで大切なのが、「まず作ってみる」ということです。

完成を目指すというより、新たな発見のきっかけにすることがポイントです。

⑤テスト(Test)

最後に試作品に対するユーザーテストを繰り返していきます。

良かった点や悪かった点などのフィードバックを参考に新しい試作品をつくり、テストを続けます。

ニーズにマッチしているかなどを意識しながらしっかりと検討することで、より良い製品やサービスへと繋がっていきます。

これらの5つは必ずしも順番にやらないといけないという訳ではなく、
同時並行で行ったり、何度も手順を往復しても良い。


・まとめ

デザイン思考が求められる理由は、社会の目まぐるしい変化です。

大量の情報がダイレクトに届き、現実と仮想が曖昧になる時代。

世界は複雑に絡み合い、かつてないスピードで地球規模の課題が深刻化されると言われています。

Volatility(変動)
Uncertainty(不確実)
Complexity(複雑)
Ambiguity(曖昧)

で構成された「VUCA」という言葉が現れたように、仮説検証型のアプローチでは後手に回る可能性が高くなっており、不明瞭で複雑な社会に対応する力が求められているのです。

デザイン思考では、共感・定義・概念化・試作・テストというステップで設計を行うため、VUCAの時代でも確実なイノベーションを起こすことができると、必要性が注目されています。

優れたデザインには、人と人、人とモノをよりよく繋ぐ工夫があります。

身の回りに意識を向け(観察)、
どのような問題があるかを探り出し(分析)、
どうすれば良い状況を創り出せるか考える(創造)

こうした一連のデザイン的な思考力が求められる時代になるのではないかと考えています。

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