見出し画像

追加投資|コミューン:全ての企業に、カスタマーサクセスの力を

DNX Venturesは、コミューン株式会社(以下、コミューン)のシリーズBラウンドに、追加出資させて頂きました。本ラウンドは、新規投資家としてZ Venture Capital(リード)、ジャフコグループに加え、既存投資家であるUB Venturesとの共同出資です。コミューンは、企業向けに統合されたカスタマーサクセスプラットフォームを提供するSaaSスタートアップです。昨年に初回投資させて頂いたシリーズA以来、コミューンは、破竹の勢いで、快進撃を続けてきました。本稿では、このコミューンの快進撃の背景にある、現代の企業に必要なカスタマーサクセスのトレンドと、我々DNX Venturesが追加投資に至った背景について、触れてみたいと思います。

世界で高まるカスタマーサクセス熱

「カスタマーサクセス」という言葉を、メディア等で耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか?

簡単に説明しますと、新規顧客を闇雲に獲得するのではなく、製品を販売した後の既存顧客により添い、成功に導くことで、顧客と共に持続的な成長を実現する、という考え方です。このカスタマーサクセスという概念は、2000年初頭に、SaaS-Software as a Service-の生みの親である、Salesforce.comにより提唱されました。当時のITベンダーは、顧客に実際にシステムが使われなかろうが、顧客が期待した効果が出なかろうが、関係なく、システム導入したら収益を上げる”売切り型”モデルが主流でした。「カスタマーサクセス」は、そのアンチテーゼとして生まれた概念です。

このカスタマーサクセスは、SaaSをはじめとするクラウド企業と共に広がり、拡大を続けています。米トップVCの1つであるBessemer Venture Partnersによると、米国のクラウド企業の時価総額の合計は、2021年2月に約240兆円(2.2 trillion米ドル)にまで急拡大しています(下図)。クラウド企業をはじめに、その後、D2Cなど、他のサブスクリプション型ビジネスに広がり、現在では、既存顧客の継続率や生涯価値(LTV)を経営指標とする、多種多様な産業で、カスタマーサクセスは広がっています。

画像1

米国では、そのため、このカスタマーサクセスのニーズが、年々高まっています。米求職サイト大手LinkedInによると、Customer Success Managerの求人数は、年率+80%で増加しており、「将来最も有望な職業」の第6位に選ばれています。日本でも同様です。エン・ジャパンによると、2021年1-3月のカスタマーサクセス掲載求人数は、前年同期比で3倍、2年前の同期比で8倍以上と、飛躍的にニーズが高まっています。

では、なぜ現代の企業は、カスタマーサクセスを重視するのでしょうか?

ここでは、3つの理由を紹介します。

現代の企業がカスタマーサクセスを重視する3つの理由
1) 企業の持続的な成長を実現する上で、既存顧客の重要性が高まった
2) 現代のイノベーション創出に、カスタマーサクセスは欠かせない
3) カスタマーサクセスが、企業価値向上に大きく影響する

1つ目は、企業の持続的な成長を実現する上で、既存顧客の戦略的な重要性が高まったためです。先進国を中心に、世界経済は成熟化してきています。そのため、企業は、市場の限られたパイを奪い合うようになりました。結果、既存顧客の維持に力を注ぐことが、新規顧客にフォーカスするよりも経済合理性が産まれるようになりました。実際に、米ハーバード・ビジネス・レビューの論文では、「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5-25倍高い」という、調査結果も出ています。そのため、既存顧客の成功を担うカスタマーサクセスは、戦略的に重要なポジションと見なされるようになりました。特に、市場少しずつ縮小している日本市場では、なおさら重要になっています。

2つ目は、現代のイノベーション創出に、カスタマーサクセスは欠かせない考えだからです。テクノロジーの発展により、消費者のニーズの変化も早くなり、イノベーション創出スピードは年々加速しています。そのため、従来あった長期間のR&D投資による、技術起点の「プロダクトアウト」思考では、このスピードについていけず、顧客を起点とした「マーケットイン」思考がより重要になります。そのため、顧客を中心に、部門間のサイロを取り払い、組織全体で価値を産み出すカスタマーサクセスは、イノベーション創出において、重要な役割と考えられています。

3つ目は、カスタマーサクセスが、企業価値向上に大きく影響するようになったためです。米テクノロジー業界の重鎮の1人であるDave Kellogg氏は、米クラウド企業のマルチプルと、業績指標との相関に関する分析結果を公表しました。この分析によると、カスタマーサクセスの重要指標であるNet Dollar Retention(既存顧客からの売上増加率を見る経営指標。通称NDR)が、どの業績指標よりも相関が高いことが示されました。つまり、売上成長率や、利益率よりも、カスタマーサクセスの実現度合いが、企業の時価総額の評価に、より連動することを示唆しています。

以上のように、カスタマーサクセスは、現代を生きる企業にとって、戦略的に重要な概念になっています。我々の投資先であるコミューンは、これまで数多くの企業に対して、カスタマーサクセスの実現を支援してきた、業界をリードするスタートアップです。次の章では、このコミューンへの追加投資に至った背景について、お話したいと思います。

今回の投資によせて

昨年のシリーズAでリード投資家として関わらせて頂いて以来、コミューンは、あらゆる面で目覚しい進化を遂げてきました。そのため、コミューン代表である高田CEOから、当初の計画より前倒しでの資金調達を打診された際に、我々も高田CEOの野心的なゴールを支持し、その場で追加投資をお約束しました。ここでは、我々がこの1年で見てきた、コミューンの目覚しい進化の一部をお伝えしたいと思います。

1) 国内トップクラスのMRR成長率

昨年シリーズAからの1年間で、コミューンはT2D3を上回る高い成長率を実現しました。これは米国トップクラスのSaaSと比肩する成長率です。これを実現できたのも、日本のカスタマーサクセスの牽引役として、愚直にお客様の成功に向き合い続けてきた、コミューンの強さに他なりません。

2) 業界をリードする強力なチーム

昨年DNXが投資した時のコミューンは、まだ10人足らずのチームでした。この1年で、クラウドサインやAI Inside、App Annie等の有力テック企業、博報堂、リクルート、パーソル等の大手企業、BCG等のプロフェッショナル・ファームで活躍していた、多様なバックグランドのリーダー人材を数多く採用し、現在では50人近い規模まで拡大しました。スタートアップの成長を測る、重要な先行指標は、”人”だと我々は考えます。この点でも、コミューンは卓越した進化を遂げています。

3) プロダクトの迅速な進化と今後の展望

コミューンのプロダクトも、この1年で大きく進化しました。橋本CPO、山本CTOのリードの元、ダッシュボードやUI/UXの改善、ナレッジデータベースに代表される新機能も、数多くリリースしています。結果、顧客のエンゲージメントも非常に高く、商談でも高い実績を築き上げてきました。また、ここでは詳しくお話できませんが、中長期のコミューンのプロダクト構想を、顧客の声やコミューンの将来ビジョンを元に練り上げてきており、このコミューンのプロダクトの未来にも大いに期待しています。

4) 全てを支えるコミューンDNA

これまでご紹介してきたコミューンの強さの根源は、コミューンのカルチャーの強さにあると、我々は考えます。コミューンのValueにある「超本質主義」と「チームコミューン」は、コミューンのあらゆる組織活動で実感させられます。なぜ今やるのか?本質を徹底的に突き詰め、チーム一丸となって最高速度でやり切る。もはやカルチャーというより、組織のDNAと言っても過言ではありません。このコミューンDNAの強さこそが、今後のコミューンの成長を、我々が確信している点です。

いま、全ての企業が進めるDX(デジタル・トランスフォーメーション)。この潮流の中で、今後、全ての企業がソフトウェア化していきます。しかしながら、この成否を分ける「カスタマーサクセス」の社会実装は、まだまだ始まったばかりです。今後、コミューンが社会実装を進める、カスタマーサクセスを通して、日本の産業競争力を根本から強化し、日本の素晴らしい未来を創ってくれることを、我々は心から期待しています。DNX Venturesも、コミューンのビジョンの実現に向けて、力強く支援していきたいと思います。

コミューン代表取締役 高田CEOからのコメント

今回の資金調達で、コミューンがDNX Venturesを選んだ理由について、代表の高田CEOより、以下の通りコメントを頂いております。

この度のラウンドにて、前回ラウンドに引き続き、DNXに追加の出資をいただき非常に嬉しく思います。
前回ラウンドからの1年間、倉林さん、高岡さん、湊さんなどDNXの力強いご支援があり、事業成長を実現することができました。特に、SaaSに対する深い知見、経営者の特性に合わせたメンタリング、事業成長を加速するキーパーソンの紹介などに非常に価値を感じています。
今後もDNXと密に連携しながら、プロダクトの非連続な成長とマーケット創造にチームコミューン一丸となって取り組んでまいります。

(おまけ)現在、コミューン積極採用中!

【採用向け会社説明資料】

★直近の採用イベント

【エンジニア向けイベント】

【プロダクト向けイベント】

【ビジネス向けイベント】

メディア掲載

日本経済新聞

DIAMOND SIGNAL

BRIDGE

PR TIMES

(文:倉林 陽、湊 雅之/編集:上野なつみ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?